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職種のあいだ

なぜ、そう言うのか

この区分だけ、書いていることが違います。ほかの記事は「自分がどう動くか」を書いたものです。ここは「相手が、なぜそう言うのか」を書いたものです。

看護師に報告したのに動いてもらえない。ケアマネジャーに頼んだら「プランにないので」と返ってくる。管理者は記録のことばかり言う。——相手の背中に何が乗っているかが見えないと、話が通りません。そして、通らないことが積み重なると、こちらが「自分の勉強が足りないのだ」と思うようになります。

そうではありません。それぞれの職種が、それぞれ別の法律と、別の責任を背負っています。背負っているものが違うので、同じ場面を見ても、出てくる言葉が違うだけです。

どの記事にも、書き出しに「まず、これだけ」があります。条文の番号を1つも使わずに、いちばん大事なところだけを書いた場所です。そこだけ読んで閉じても大丈夫です。

そして、緑の「やさしい日本語で読む」ボタンがあります。むずかしい 日本語(にほんご)が 苦手(にがて)な 人(ひと)は、そこから 読(よ)んで ください。ふりがなと、みじかい 文(ぶん)で 書(か)いて あります。

最終更新:2026年9月 / 高齢者支援実務研究所

この区分の約束

ここは、人の気持ちを書く場所ではありません。4つだけ、決めています。

決めていることなぜ
相手の気持ちは書きません「看護師はこう感じている」は推測です。書くのは条文・報酬・責任の所在だけにします。「この条文で罰則の対象になる」は、確かめられる事実です
どちらが正しいとも書きません構造を並べるところまでが、ここの役目です。そのうえでどうするかは、あなたと、あなたの事業所が決めることです
相手を責めません同時に、あなたにも自分を責めさせません。勉強が足りないから通じないのではありません。背負っているものが違うから通じないのです
出口は「記録」ですほかの記事と同じです。確かめたこと・伝えたことを残す。それが、次に同じ場面になったときのあなたを助けます

「言い方が悪かったのかな」と思う前に、相手の条文を見てください。

言い方で通ることもありますが、言い方では絶対に通らない線もあります。その線がどこにあるかを知っていると、無駄に傷つかずにすみます。そして、通る言い方も見つかります。

いま公開している記事(24本・完結)

予定していた24本が、これで全部そろいました。看護師8本・ケアマネジャー6本・管理者と行政5本・ご家族3本・生活相談員とサービス提供責任者2本です。

看護師の側から(8本)

なぜ「医師の指示がないとできない」と言うのか 看護師が背負っているのは、保健師助産師看護師法の第37条です。破ると、施設ではなくその看護師本人が罰則の対象になります。そして、指示なしで動ける例外は、条文にたった1つしかありません。 保助看法第37条/臨時応急の手当/療養上の世話と診療の補助 なぜ夜勤帯に看護師がいないのか 人員基準は「常勤換算」で書かれています。100人の特養で必要な看護職員は常勤換算3人。そして夜勤の基準の条文は「介護職員 又は 看護職員」です。意地悪でも人手不足でもなく、条文がそう書かれています。 常勤換算/夜勤基準の告示/協力医療機関/施設の種類ごとの差 なぜ喀痰吸引は、研修を受けても条件が多いのか これは「医行為でなくなった」話ではありません。診療の補助であることを認めたうえで、法律で例外的に解禁されたものです。だから①医師の指示 ②看護職員との連携 ③事業所の登録、の3つが残ります。 社会福祉士及び介護福祉士法 附則第10条/5行為/第1〜3号研修 なぜ「数値だけ報告して」と言われるのか 測ることと、決めることは、通知の中で分かれています。「測られた数値をもとに投薬の要否などを判断することは医行為」と、はっきり書いてあります。そして「異常値は報告するべき」とも書いてあります。 平成17年通知 注2/範囲外の異常値/準備はよくて開始はだめな理由 なぜ看護師は記録にこだわるのか 介護施設の基準省令に「看護記録」という語は0件です。看護師は、法令で求められていない形の記録を、職業教育のほうから背負って現場に来ています。「記載がない看護実践は、実際に行われていても事実と認定されないことがある」——この一文が土台にあります。 看護記録は0件/医療法施行規則第20条10号/訂正のしかた/代行して書くとき なぜ「まず医師に連絡」なのか — 急変と看取り いわゆる「24時間ルール」を整理しています。厚生労働省が「誤った解釈」と名指ししたのは「死亡診断書を書けない」と「警察に届け出なければならない」の2つです。⚠ ただし「診察なしで書ける」という意味ではありません。 医師法第20条/医政医発0831第1号/第20条の2・第28条/経過措置 なぜ特養・老健・グループホームで、看護師との距離が違うのか 「前の職場では」の正体です。定員100人で、看護職員は特養3人・老健約10人。そして老健は医療法が定める「医療提供施設」で、特養は入っていません。グループホームは条文に「看護職員」の語が1つもありません。 医師の員数/医療提供施設/看護及び医学的管理の下における介護 なぜ「気づいたら言って」と言うのに、指摘が返ってくるのか 報告を受けた側は、①事実への対応②任せてよい相手かの判定を同時に行う立場にあります。倫理綱領 本文6 と 本文7 です。◎ 対処は言い方ではなく順番。①事実 ②やったこと ③「ここから先はどうしますか」。 倫理綱領 本文6・本文7/看護業務基準1-2-4/准看護師 第6条

ケアマネジャーの側から(6本)

なぜ「プランにないからできない」と言うのか 「保険がきかない」という話ではありません。⚠ 法第41条第1項の原則は、いったん全額を払って、あとから9割を返してもらう「償還払い」です。1割で済むのは第6項の代理受領という例外で、その入口の条件が施行規則にあります。 法第41条第1項・第6項/施行規則第64条/給付管理票/法第22条第3項 なぜ日時をずらすだけで担当者会議なのか 省令第13条第16号が、変更にも第3号から第12号までを準用しています。◎ 本当に日時だけなら「軽微な変更」で会議は要りません。⚠ ただし通知は「あくまで例示。個別に判断されるべき」と釘を刺しています。 第13条第16号の準用/軽微な変更/運営基準減算/やむを得ない理由3類型 なぜケアマネジャーは毎月かならず来るのか 条文は3つ。月1回の面接/その面接は居宅を訪問して/月1回の記録。⚠ そして通知が「特段の事情に、介護支援専門員に起因する事情は含まれない」と限定しています。「忙しかった」は理由になりません。 第13条第14号イロハ/特段の事情/テレビ電話の3条件/情報連携シート なぜ区分変更をすぐ出さないのか 条文は「現に受けている区分以外の区分」としか書いていません。⚠ 第29条第2項が第27条を準用=調査から最初のやり直し。だから下にも動きます。そして有効期間が原則6か月に取り直されます。 法第29条・第30条/施行規則第42条/有効期間/代行できる4者 なぜ「主治医の指示がないと」と言うのか 第20号は「指示がある場合に限り」。⚠ ただし対象は通知が名指しする7つだけで、通所介護(デイサービス)は入っていません。入っているのは通所リハ(デイケア)のほうです。ここが現場でいちばん混ざります。 第13条第19号・第20号/7つの医療サービス/訪問看護指示書/被保険者証の記載 なぜ「もう受けられない」と言うのか 44・45・45名。似た数が3つ混ざっています。人員基準・逓減制・特定事業所加算は別の制度です。◎ そして逓減で単価が下がるのは、契約が新しい人のぶんだけ。全員が半分になるのではありません。 省令38号第2条/逓減制の単位数/取扱件数は事業所の平均/告示95号第84号

管理者・行政の側から(5本)

なぜ管理者は「記録がない」を問題にするのか 省令が名指しする記録は6種類、完結の日から2年間保存。⚠ そのうち4つは「何かが起きたとき」の記録です。身体的拘束・市町村への通知・苦情・事故。起きたのに無いと、そこだけ空きます。 省令39号第37条の6種類/法第23条・24条・76条/保存年限は条例 なぜ委員会・指針・研修・担当者が増え続けるのか 同じ4点セットが、条文の中で何度もくり返されています。感染症・身体的拘束・事故防止・虐待防止。そして落ちる額は身体拘束だけ100分の10——ほかの10倍です。 3月に1回は2つだけ/担当者は2つだけ/減算の率/テレビ電話可 運営指導で、実際に何を見られるのか 「実地指導」は、いまの指針にはない言葉です。そして指針は自治体の側にも制約を置いています。確認文書以外は原則求めない/印刷は求めない/記録の確認は原則3名以内/高圧的な言動は控え。 老発0331第6号/3区分/原則1月前の通知/監査との違い なぜ事故の報告基準が市町村ごとに違うのか 国がそろえたのは2つだけ(死亡/医師の診断を受け治療が必要になった事故)。⚠ 「その他の事故の報告については、各自治体の取扱いによるものとすること」と通知に書かれています。 Vol.1332/5日以内を目安/続柄と報告年月日/法74条・81条の条例 なぜその場で「賠償します」と言わないのか 条文は「賠償すべき事故が発生した場合は……速やかに」。⚠ 誰が「賠償すべき」と判断するかは、条文に書かれていません。◎ ただし「申し訳ありません」は言ってよい言葉です。 省令37号第37条3項/連絡・措置・記録の3つ/保険は条文に0件/苦情の道

ご家族の側から(3本)

ご家族は、何を求められる立場なのか ご家族の名前は6つの場面で条文に出てきます。担当者会議は「利用者及びその家族の参加を基本としつつ」——呼ばれる側ではなく、いる前提の側です。⚠ ただし「説明」は家族でもよく、「同意」は本人と書き分けられています。 苦情の第1項と第3項の書き分け/説明と同意/窓口の3つ 「記録を見せてください」と言われたとき その場で見せない。これで合っています。法律は「本人が請求できる」と書いていて、ご家族はそのままでは本人ではありません。◎ ただし代理人ならできます。だから「見せられません」とも言いません。 個情法第33条/代理人/生存する個人/開示しない3つの場合 なぜ「誰に連絡した?」と真っ先に聞かれるのか 国の事故報告様式に、報告した方の続柄報告年月日を書く欄があるからです。そして第1報は5日以内が目安。⚠ あとから思い出して書くには、5日は短い。◎ つながらなかったことも記録します。 Vol.1332の様式/5日以内/連絡は報告とは別の義務/時刻を並べる

生活相談員・サービス提供責任者の側から(2本)

なぜ生活相談員の仕事の範囲は、事業所ごとに違うのか 省令を全文検索しましたが、生活相談員の「職務」を定めた条文はありませんでした。あるのは員数と常勤要件だけ。◎ 決めているのは事業所の「運営規程」で、そこには「職務の内容」を書くことになっています。 員数だけ/運営規程 第2号/資格要件は老人福祉法の側/自治体差 なぜサービス提供責任者は「まずケアマネに」と言うのか 訪問介護計画は「既にケアプランがあるときは、その内容に沿って作成しなければならない」。⚠ 向きは一方通行です。◎ そしてケアマネジャーへの情報提供は、サ責の条文上の仕事——たらい回しではありません。 第24条2項の一方通行/変更も準用/第28条3項の8つ/二の二と三

この24本で、何が言えるようになったか

相手が5つの職種に分かれていても、通し方の型は同じでした。

  1. 相手の背中に乗っているものを、条文で確かめる(気持ちではなく)
  2. 言い方では動かない線と、相談できる線を分ける
  3. その場で決めないことを、決めておく(費用・賠償・記録の開示・同意)
  4. 確かめたこと・伝えたことを、記録に残す

そして、どの記事にも「ここから先は本当に無理です」を置いています。できないことを早く知るほうが、消耗しません。

医師・リハビリ職・薬剤師・福祉用具専門相談員・地域包括支援センター・救急・警察も、いずれ書きます。先に上の5つから書くのは、日々の場面でいちばん数が多いからです。

「この人は、何をする人か」を先に知りたいときは、こちらです。  職種べつに読む(4本)

この区分は「困っている場面」から入って、相手の背中に何が乗っているかを書いたものです。 職種そのものの説明——資格は何か、条文が決めている仕事は何か、決めていないところはどこか——は、別の棚にまとめています。

いま困っていることから調べられます

事故の名前が分からなくても大丈夫です。「転んだ」「むせた」「あざができた」から、見る順番をたどれます。いずれも一例です。事業所に合わせて読み替えてお使いください。

困りごとから調べる → 様式をダウンロード

根拠にした資料

この区分の記事は、個人の経験ではなく、次の資料をもとに整理しています。
  • 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)
  • 医師法(昭和23年法律第201号)
  • 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)および同法施行規則
  • 介護保険法(平成9年法律第123号)
  • 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
  • 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)
  • 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)
  • 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)
  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
  • 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」平成17年7月26日 医政発第0726005号/同(その2)令和4年12月1日 医政発1201第4号/同(その3)令和7年12月26日 医政発1226第12号
  • 厚生省告示第29号「厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」平成12年2月10日
  • 医療法(昭和23年法律第205号)および医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)
  • 厚生労働省「医師法第20条ただし書の適切な運用について(通知)」平成24年8月31日 医政医発0831第1号
  • 公益社団法人日本看護協会「看護職の倫理綱領」2021年3月/「看護記録に関する指針」平成30年5月/「看護業務基準(2021年改訂版)」
この区分について 一般的な情報提供を目的としています。法令や通知の解釈を最終的に行うのは、所管の行政庁と裁判所です。ここに書いたことは、条文と通知を読みやすく並べ直したものであり、個別の場面についての判断ではありません。 事業所によって、利用者さんによって、そして保険者(市町村)によって、取り扱いは変わります。 実際の対応は、所属事業所の規程および、医師・看護師の指示、市町村の定めに従ってください。制度・通知・法令は改正されることがあります。
相手の職種について ここで書いているのは、その職種に課されている法令上の枠組みです。特定の誰かの考えや意図を書いたものではありません。