ホームなぜ、そう言うのか > ご家族の立場
ご家族の側から

ご家族は、何を求められる立場なのか

まず、これだけ

ご家族から強く言われると、「どこまで応えればいいのか」が分からなくなります。逆に、遠慮されて何も言われないときも、それはそれで困ります。

決まりの中で、ご家族は「お客さま」でも「部外者」でもありません。置かれている場所が、はっきり書かれています。⚠ 苦情を言える人/説明を受ける人/同意する人/連絡を受ける人——場面ごとに、名前の出方が違います。

そして⚠ ご家族の名前が入っている場面と、入っていない場面があります。そこを知っておくと、「答えられること」と「持ち帰ること」を、その場で分けられます。

やさしい日本語で読むくわしい根拠を見る

最終更新:2026年9月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. ご家族の名前が、はっきり入っている場面
  2. ⚠ 苦情の条文は、途中から「利用者」だけになります
  3. ◎ でも、道が閉じているわけではありません
  4. 「説明する」と「同意をもらう」は別です
  5. だから、こう言えば通ります
  6. ここから先は、持ち帰ってください
  7. 記録にどう残すか
  8. まとめ

ご家族の名前が、はっきり入っている場面

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)と、指定介護老人福祉施設の基準(同第39号)から拾います。サービスの種類ごとに条番号は違いますが、形はほぼ同じです。

場面条文での書かれ方
苦情の受付「提供した指定訪問介護に係る利用者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない」(37号 第36条第1項)
事故が起きたとき「事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない」(37号 第37条第1項)
計画の説明「訪問介護計画の作成に当たっては、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない」(37号 第24条第3項)
ケアプランの原案「居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得なければならない」(38号 第13条第10号)
アセスメント「利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない」(38号 第13条第7号)
担当者会議利用者及びその家族の参加を基本としつつ……担当者を招集して行う会議」(38号 第13条第9号)

ご家族は、6つの場面で条文に名前が出てきます。「本人のことだから家族は関係ない」という立場では、まったくありません。

とくに担当者会議は「利用者及びその家族の参加を基本としつつ」と書かれています。⚠ ご家族は、呼ばれる側ではなく、いる前提の側です。

⚠ 苦情の条文は、途中から「利用者」だけになります

ここは、条文を並べると見えます。同じ第36条(39号なら第33条)の中で、主語が変わります。

誰の苦情と書かれているか
第1項利用者及びその家族からの苦情 …… 事業所の窓口
第2項「前項の苦情」を受け付けたら内容等を記録(=家族からの苦情も、記録の対象です)
第3項利用者からの苦情に関して市町村が行う調査に協力
第5項利用者からの苦情に関して国民健康保険団体連合会が行う調査に協力

ただし、これを「家族は市町村や国保連に相談できない」と読まないでください。

この条文が決めているのは「事業者が協力しなければならない調査の範囲」であって、誰が相談してよいかではありません。市町村の窓口も地域包括支援センターも、ご家族からの相談を受け付けています。条文の書き分けがある、という事実だけを書いています。 Điều luật ghi "khiếu nại của người sử dụng VÀ GIA ĐÌNH" ở cửa sổ tiếp nhận của cơ sở. Nhưng điều đó KHÔNG có nghĩa gia đình không được liên hệ chính quyền.

◎ でも、道が閉じているわけではありません

ご家族に「どこに言えばいいのか」と聞かれたら、3つ答えられます。

「うちに言われても」と返さないでください。条文は、事業所の窓口を「設置する等の必要な措置を講じなければならない」としています。受けること自体が義務です。

「説明する」と「同意をもらう」は別です

ここは、混ざりやすいところです。条文を並べると、きれいに書き分けられています。

 条文の書き方
説明する相手「利用者又はその家族に対して説明し」 …… ご家族への説明で足りる場合があります
同意する人利用者の同意を得なければならない」 …… ケアプランは文書により利用者の同意(38号 第13条第10号)

「ご家族が納得したから、同意が取れた」にはなりません。条文の上では、同意するのはご本人です。⚠ ご本人の判断が難しい場合にどうするかは、条文には書かれていません。成年後見や、事業所・保険者の運用の話になります。その場で決めないでください。

だから、こう言えば通ります

場面言い方の型(いずれも一例です)
強い口調で言われたいまうかがったことは、記録して管理者に必ず伝えます。
=苦情は受け付けて記録するところまでが条文です。◎ 受け止める、と伝えるだけで場が変わることがあります
「どこに言えばいいのか」事業所の窓口は〇〇です。市町村の介護保険の窓口や、国保連の相談窓口もあります」
=⚠ 止めようとしない。条文に道がある話です
同意をご家族から取ろうとしたときご本人にもご説明させてください。同意はご本人からいただくことになっています」
=ケアプランは文書により利用者の同意です
担当者会議に呼ぶか迷うご家族にもご参加いただく形が基本と聞いています。ご都合はいかがでしょうか」
=「利用者及びその家族の参加を基本としつつ」
その場で答えられない私では決められません。管理者に伝えて、〇日までにご連絡します。
=◎ 決める人と期限を置くのが、いちばん通ります

ここから先は、持ち帰ってください

中身
その場で決めないこと費用・賠償・責任の話(→ なぜその場で「賠償します」と言わないのか
記録を見せるかどうか(→ 「記録を見せてください」と言われたとき
ご本人の判断が難しいときの同意の取り方
サービスを増やす・減らす(ケアプランの話なので、ケアマネジャーへ)
その場でしてよいこと起きたことを伝える/いましていることを伝える/苦情を受け止めて記録する/窓口を案内する/次にいつ連絡するかを伝える

記録にどう残すか

ご家族からご意見をいただいたとき
〇月〇日 15:40 長女 〇〇様(続柄:長女)より、「入浴の回数を増やしてほしい」とのご意見。当方より、サービスの回数はケアプランに関わるためケアマネジャー〇〇へお伝えする旨を説明し、了承を得た。15:55 ケアマネジャー〇〇へ連絡ずみ。

「誰が」「何を」「こちらは何と答えたか」の3つを書いてください。苦情の内容等の記録は条文の義務で、完結の日から2年間の保存の対象です。⚠ その場の空気ではなく、言葉を残してください。

まとめ

やさしい 日本語(にほんご)

1 なにが おきますか

ご家族(かぞく)に つよく 言(い)われました。
どうして こう なったんですか
あなたは こまります。どこまで 答(こた)えて いいのか、わかりません。

2 ご家族は どんな 立場(たちば)ですか

法律(ほうりつ)に、ご家族の ことが 6つの 場面(ばめん)で 書(か)いて あります。

苦情(くじょう)を 言(い)う ◇ 事故(じこ)の 連絡(れんらく)を 受(う)ける
計画(けいかく)の 説明(せつめい)を 受ける ◇ 面接(めんせつ)を 受ける
会議(かいぎ)に 出(で)る

ご家族は「お客(きゃく)さん」でも「関係(かんけい)ない 人」でも ありません。

3 だいじな ちがい

説明(せつめい) …… ご本人(ほんにん)か、ご家族に する
同意(どうい) …… ご本人から もらう

「ご家族が いいと 言った」=「同意が とれた」では ありません。

4 あなたは どう 言(い)いますか

5 その場(ば)で 決(き)めない こと

お金(かね)の こと ⚠ 記録を 見(み)せるか ⚠ サービスを ふやすか

※ この ページは 日本(にほん)の 法律に ついて 書いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。

ご家族への連絡記録の様式を配っています

続柄・日時・伝えたこと・こちらの答えを、1枚で残せる形にしています。いずれも一例です。事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。

様式をダウンロード → 困りごとから調べる

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公開されている資料をもとに整理しています。
  • 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第24条・第36条・第37条
  • 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第7号・第9号・第10号・第26条
  • 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第33条・第35条
  • 介護保険法(平成9年法律第123号)第23条・第176条第1項第3号
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。法令や通知の解釈を最終的に行うのは、所管の行政庁と裁判所です。 ここに挙げた条番号は訪問介護・居宅介護支援・指定介護老人福祉施設のものです。サービスの種類ごとに条番号も内容も異なります。 ご本人の判断が難しい場合の同意の取り方は、条文だけでは決まりません。成年後見の有無や、事業所・保険者の運用によります。必ずご確認ください。 ここで書いているのは、事業者に課されている法令上の枠組みです。特定のご家族の考えや意図を書いたものではありません。 実際の対応は、所属事業所の規程および、管理者の指示に従ってください。制度・通知・法令は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。