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訪問介護・通所介護

訪問介護・通所介護で働く人へ

訪問先には、呼べる人がいません。施設なら、廊下に出れば誰かがいます。訪問先では、判断する人も、記録する人も、あなた一人です。

しかも、事故の中身が施設とは違います。転倒だけではありません。物を壊した、なくした、家族に頼まれて断れなかった、やっていいのか分からないままやった。——このあたりが、訪問の実際です。

ここでは、その場で一人で決めるための順番を書いています。厚生労働省の通知と基準省令をもとに整理していますが、最後は事業所の規程とケアマネジャーの判断です。迷ったら持ち帰ってください。持ち帰るための言い方も書きました。

最終更新:2026年10月 / 高齢者支援実務研究所

◎ 10本すべての記事に【やさしい日本語】をつけました。 施設の記事(50本)と同じ形です。どの記事も、書き出しにある みどりのボタンから読めます。

◎ むずかしい 日本語(にほんご)が 苦手(にがて)な 人(ひと)は、 記事の 書(か)き出(だ)しに ある みどりの ボタンから 読(よ)んで ください。 ふりがなと、みじかい 文(ぶん)で 書いて あります。

訪問の事故は、4つの型に分かれます

訪問介護・通所介護の事故は、施設とは中身の割合が違います。転倒だけでなく、物の破損や紛失、頼まれごと、そしてヘルパー自身のけがが、同じくらいの重さで並びます。型ごとに、その場で最初にすることと、最初に読む記事をまとめました。

型その場で最初にすること最初に読む記事
転倒・体調の急変ご本人の様子を確かめ、事業所(サービス提供責任者)に電話。反応がない・呼吸がおかしいときは、事業所より先に119番事故が起きたとき、誰に、何を、どの順で
物を壊した・なくしたその場で弁償の約束をしない。壊れた物と置いてあった場所を確かめ、すぐ事業所に電話紛失・破損のほうが多い
頼まれごとで線を越えそうその場で引き受けず、「事業所に確かめてお返事します」と持ち帰るどう断るか・掃除はどこまでか
ヘルパー自身のけが・ハラスメント我慢して続けず、その日のうちに事業所へ伝えるヘルパー自身のけが・精神的暴力

その場で、一人で決めないこと

決めないのは、逃げることではありません。「確かめてお返事します」は、ご利用者とご家族と、あなた自身を守る言葉です。

見ていない時間のことを、どう書くか

訪問では、事故の多くがヘルパーのいない時間に起きています。見ていないことを、見たように書かないでください。「訪問時、居間の床に座っておられた。ご本人によると、朝トイレに行く途中で転んだとのこと」のように、見たことと、聞いたことを分けて書きます(見ていないときに起きたことをどう書くか)。小さなことは3行のヒヤリハットで十分です。

いま公開している記事(10本)

訪問先で、どこまでやっていいか 介護職ができる行為の通知は、いま1本ではなく3本あります。平成17年の一覧に、令和4年12月と令和7年12月で足されました。爪切り・服薬・湿布・お薬カレンダーまで、1枚に並べ直しています。 医行為でない行為/服薬介助/爪切り/喀痰吸引 掃除はどこまでか 草むしり・窓ガラス磨き・大掃除・おせちができない理由を、3つの区分で整理しました。そして、同居家族がいるというだけで断ってはいけません。厚労省が3回、同じ事務連絡を出しています。 生活援助の範囲/同居家族/断り方の型 事故が起きたとき、誰に、何を、どの順で 訪問介護は第37条、通所介護は第104条の3です。そして報告様式は2024年11月に差し替わり、令和3年の通知は廃止されました。手元の様式が古くなっていないか確かめてください。 第一報/報告様式/2年保存/発見と転倒の書き分け 一人で入る家で、見ていないときに起きたことをどう書くか 見た・聞いた・思ったを分けて書く。倒れているのを見つけたら「転倒」ではなく「発見」。ご家族の話は「〇〇様より……と聞く」。「前回訪問時にはなかった」と書けるのは、訪問の記録の強みです。例文20本つき。 見ていない時間/発見/ご家族の話/写真 訪問介護のヒヤリハットは3行でいい(訪問版 例文50本) ①いつ・どこで ②何があった ③どうした。玄関の段差、コード、花びん、蛇口、鍵、ペット。そして「一人で決めた」「2人で行くべきだと思った」。書く時間は次の訪問の前の車の中でいい。 3行/物のヒヤリ/一人で決めた/体制のこと 訪問介護の事故は、転倒より紛失・破損のほうが多い 賠償責任共済の事故報告では、訪問の56.3%が紛失・破損、転倒は23.2%。壊したら①安全 ②事業所に電話 ③ご本人に一言 ④記録。「申し訳ありません」は言っていい。「弁償します」は言わない。「盗まれた」と言われたときも。 56.3%/言っていい言葉/盗まれた/賠償の主語 家族に頼まれて線を越えそうになったとき、どう断るか 断るのはあなたではなく「計画」です。頼まれることの4つの型と、断り方の3つの文(受け取る・制度の言葉で・次につなぐ)。「提供拒否の禁止」との違い、保険外サービスという出口、越えてしまったときの動き方。 計画にないこと/3つの文/提供拒否/保険外サービス 出口が遠い・鍵がかかる・声が届かない ——一人で入る家の備え 危険は人・場所・動物・自分の4つ。事業所に求められている備えを知り、入る前の1分で出口と鍵と人を見て、出口とご本人の間に立つ。手が出た・触られた・鍵をかけられたら、止めて、出て、電話。途中で帰ることは放棄ではありません。 入る前の1分/立つ場所/離れる線/2人訪問 訪問系は精神的暴力がいちばん多い(施設は身体的暴力) 厚生労働省の調査では、訪問介護でハラスメントを受けた職員の81%が精神的暴力、特養は身体的暴力が90%。3人に1人がこの1年に受けています。2026年10月からカスタマーハラスメント対策が事業主の義務に。 81%/何がハラスメントか/2026年10月/契約解除の正当な理由 移動中の事故と腰痛 ——ヘルパー自身のけが 令和6年の社会福祉施設の労災死傷者は13,980人。転倒4,854、腰痛4,802、交通事故620。ただし訪問介護だけの統計は存在しません。2025年6月から熱中症対策が事業者の義務に。労災かどうかを決めるのは事業所ではありません。 13,980人/移動・暑さ・一人/熱中症の義務/労災 施設の記事(50本)も、そのまま使えます 転倒・転落・誤薬・誤嚥・入浴・移乗・内出血・ヒヤリハット。見る順番と記録の残し方は、場所が変わっても同じです。訪問の場面に読み替えて使ってください。 記事一覧へ

外国人ヘルパーの方へ ——やさしい日本語の版があります

◎ この区分の10本と同じ内容を、外国人ヘルパー本人に向けて、ぜんぶ やさしい日本語で書いた区分があります。記事8本(家に入ってから出るまで/事故の電話の5つ/「わかりました」の前に/していいこと/こわしたとき/たのまれたとき/2025年4月から/相談先)と、日本語・ベトナム語・英語の ことばの表4本。外国人ヘルパーのために

◎ 外国人(がいこくじん)の ヘルパーの 人(ひと)は、こちらを 読(よ)んで ください。ぜんぶ やさしい 日本語(にほんご)で、ふりがなが あります。

「何をどうしていいか分からない」のは、あなたのせいではありません。

通知が3本に分かれていたり、様式が去年差し替わっていたり、訪問だけ全国共通の基準がなかったりします。分かりにくいものを、分かりにくいまま渡されているだけです。ここでは、それを1枚ずつ並べ直しています。

いま困っていることから調べられます

事故の名前が分からなくても大丈夫です。「転んだ」「むせた」「あざができた」から、見る順番をたどれます。いずれも一例です。事業所に合わせて読み替えてお使いください。

困りごとから調べる → 本のご案内 理解度チェック(15問)

根拠にした資料

この区分の記事は、次の資料をもとに整理しています。
  • 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故の報告様式等について」令和6年11月29日(介護保険最新情報 Vol.1332)
  • 厚生労働省「医師法第17条…の解釈について」平成17年7月26日/同(その2)令和4年12月1日/同(その3)令和7年12月26日
  • 厚生労働省「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」平成12年11月16日 老振第76号
  • 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」平成11年9月17日 老企第25号
  • 厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」令和4年3月改訂版/同「事例集」令和4年3月
  • 厚生労働省「令和6年における労働災害発生状況(確定値)」令和7年5月
  • 公益財団法人介護労働安定センター「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業」報告書 平成30年3月
  • 当研究所『介護事故防止 実務マニュアル』
この区分について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 事業所によって、利用者さんによって、そして保険者(市町村)によって、取り扱いは変わります。 実際の対応は、所属事業所の規程および、医師・看護師の指示、市町村の定めに従ってください。制度・通知は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。