訪問介護・通所介護で働く人へ
訪問先には、呼べる人がいません。施設なら、廊下に出れば誰かがいます。訪問先では、判断する人も、記録する人も、あなた一人です。
しかも、事故の中身が施設とは違います。転倒だけではありません。物を壊した、なくした、家族に頼まれて断れなかった、やっていいのか分からないままやった。——このあたりが、訪問の実際です。
ここでは、その場で一人で決めるための順番を書いています。厚生労働省の通知と基準省令をもとに整理していますが、最後は事業所の規程とケアマネジャーの判断です。迷ったら持ち帰ってください。持ち帰るための言い方も書きました。
◎ 10本すべての記事に【やさしい日本語】をつけました。 施設の記事(50本)と同じ形です。どの記事も、書き出しにある みどりのボタンから読めます。
◎ むずかしい 日本語(にほんご)が 苦手(にがて)な 人(ひと)は、 記事の 書(か)き出(だ)しに ある みどりの ボタンから 読(よ)んで ください。 ふりがなと、みじかい 文(ぶん)で 書いて あります。
訪問の事故は、4つの型に分かれます
訪問介護・通所介護の事故は、施設とは中身の割合が違います。転倒だけでなく、物の破損や紛失、頼まれごと、そしてヘルパー自身のけがが、同じくらいの重さで並びます。型ごとに、その場で最初にすることと、最初に読む記事をまとめました。
| 型 | その場で最初にすること | 最初に読む記事 |
|---|---|---|
| 転倒・体調の急変 | ご本人の様子を確かめ、事業所(サービス提供責任者)に電話。反応がない・呼吸がおかしいときは、事業所より先に119番 | 事故が起きたとき、誰に、何を、どの順で |
| 物を壊した・なくした | その場で弁償の約束をしない。壊れた物と置いてあった場所を確かめ、すぐ事業所に電話 | 紛失・破損のほうが多い |
| 頼まれごとで線を越えそう | その場で引き受けず、「事業所に確かめてお返事します」と持ち帰る | どう断るか・掃除はどこまでか |
| ヘルパー自身のけが・ハラスメント | 我慢して続けず、その日のうちに事業所へ伝える | ヘルパー自身のけが・精神的暴力 |
その場で、一人で決めないこと
- 弁償や費用の約束。誰が賠償すべきかは、その場では決まりません。お詫びは言ってよい言葉です(なぜその場で「賠償します」と言わないのか)。
- 医療的なことを、やってよいかどうか。薬・軟膏・血圧などは、やってよい範囲が通知で決まっています(訪問先で、どこまでやっていいか)。
- 計画にないことを引き受けること。「今日だけ」が次から当たり前になります(なぜ「プランにないからできない」と言うのか)。
決めないのは、逃げることではありません。「確かめてお返事します」は、ご利用者とご家族と、あなた自身を守る言葉です。
見ていない時間のことを、どう書くか
訪問では、事故の多くがヘルパーのいない時間に起きています。見ていないことを、見たように書かないでください。「訪問時、居間の床に座っておられた。ご本人によると、朝トイレに行く途中で転んだとのこと」のように、見たことと、聞いたことを分けて書きます(見ていないときに起きたことをどう書くか)。小さなことは3行のヒヤリハットで十分です。
いま公開している記事(10本)
外国人ヘルパーの方へ ——やさしい日本語の版があります
◎ この区分の10本と同じ内容を、外国人ヘルパー本人に向けて、ぜんぶ やさしい日本語で書いた区分があります。記事8本(家に入ってから出るまで/事故の電話の5つ/「わかりました」の前に/していいこと/こわしたとき/たのまれたとき/2025年4月から/相談先)と、日本語・ベトナム語・英語の ことばの表4本。外国人ヘルパーのために
◎ 外国人(がいこくじん)の ヘルパーの 人(ひと)は、こちらを 読(よ)んで ください。ぜんぶ やさしい 日本語(にほんご)で、ふりがなが あります。
「何をどうしていいか分からない」のは、あなたのせいではありません。
通知が3本に分かれていたり、様式が去年差し替わっていたり、訪問だけ全国共通の基準がなかったりします。分かりにくいものを、分かりにくいまま渡されているだけです。ここでは、それを1枚ずつ並べ直しています。
あわせて読む
事故の名前が分からなくても大丈夫です。「転んだ」「むせた」「あざができた」から、見る順番をたどれます。いずれも一例です。事業所に合わせて読み替えてお使いください。
困りごとから調べる → 本のご案内 理解度チェック(15問)根拠にした資料
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故の報告様式等について」令和6年11月29日(介護保険最新情報 Vol.1332)
- 厚生労働省「医師法第17条…の解釈について」平成17年7月26日/同(その2)令和4年12月1日/同(その3)令和7年12月26日
- 厚生労働省「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」平成12年11月16日 老振第76号
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」平成11年9月17日 老企第25号
- 厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」令和4年3月改訂版/同「事例集」令和4年3月
- 厚生労働省「令和6年における労働災害発生状況(確定値)」令和7年5月
- 公益財団法人介護労働安定センター「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業」報告書 平成30年3月
- 当研究所『介護事故防止 実務マニュアル』
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。