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ご家族の側から

「記録を見せてください」と言われたとき

まず、これだけ

ご家族に「その日の記録を見せてください」と言われる。断るのも失礼だし、勝手に見せていいのかも分からない。手が止まります。

その場で見せない。これで合っています。隠すためではありません。記録を見せるかどうかを決めるのは、あなたではないからです。法律は「本人が請求できる」と書いていて、ご家族はそのままでは「本人」に当たりません。

ただし「見せられません」とも言わないでください。ご家族に代理を頼まれている場合など、見せられる形もあります。その場で言うのは「窓口をご案内します」までです。

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最終更新:2026年9月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 請求できるのは「本人」と書かれています
  2. ◎ 代理人なら、できます
  3. ⚠ 亡くなった方の情報は、この法律の外にあります
  4. 見せないことができる3つの場合
  5. 「書き直してほしい」と言われたとき
  6. だから、こう言えば通ります
  7. ここから先は、持ち帰ってください
  8. 記録にどう残すか
  9. まとめ

請求できるのは「本人」と書かれています

個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第33条第1項です。

本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの……開示を請求することができる。

主語が「本人」です。そしてこの法律で「本人」とは、その情報によって識別されるご本人のことです。ご家族は、そのままでは「本人」ではありません。

だから、こう考えると分かりやすくなります。
ご家族が見たいと言うのは、ごく自然なことです。⚠ でも、その記録に書かれているのはご本人のことで、ご本人には「自分の情報を自分で管理する」立場があります。その場で職員が判断してしまうと、ご本人の側の権利を飛び越えることになります。 Luật ghi rõ: người có quyền yêu cầu xem hồ sơ là CHÍNH NGƯỜI ĐÓ. Gia đình không tự động có quyền này. Đừng tự quyết định tại chỗ.

◎ 代理人なら、できます

同じ法律の第37条第3項です。

開示等の請求等は、政令で定めるところにより、代理人によってすることができる。

だから「ご家族だから絶対に見られない」ではありません。ご本人から委任を受けた代理人や、法定代理人であれば、請求できる形があります。⚠ 誰が代理人に当たるかを確かめるのは、事業所の手続きです。その場で職員が判断することではありません。

そして第32条第1項第3号は、事業者に「開示等の請求等に応じる手続」を本人の知り得る状態に置くことを求めています。◎ つまり、手順は決まっているはずです。入職したときに一度、自分の事業所の手続きを確かめておくと、いざというときに迷いません。

⚠ 亡くなった方の情報は、この法律の外にあります

これは、意外に知られていません。同じ法律の第2条第1項です。

この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

「生存する個人」です。亡くなった方の情報は、この法律でいう「個人情報」に当たりません。だから、ご遺族からのお求めは、この法律の開示請求とは別の枠組みで考えることになります。

枠組みが無いわけではありません。医療の分野には、厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」(平成15年9月12日 医政発第0912001号)があり、「9 遺族に対する診療情報の提供」で、開示を求めうる遺族の範囲を「患者の配偶者、子、父母及びこれに準ずる者」としています。

ただし、これは医療機関向けの指針です。介護事業所にそのまま当てはまるものではありません。介護の場面では、個人情報保護委員会・厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」と、事業所の規程、保険者の示す取扱いによります。やはり、その場で決める話ではありません。

見せないことができる3つの場合

第33条第2項ただし書です。請求されても、全部または一部を開示しないことができる場合が3つ挙げられています。

開示しないことができる場合
本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
他の法令に違反することとなる場合

「一」に注意してください。介護の記録には、ほかの利用者さんのことや、ご家族どうしの関係についての記載が入っていることがあります。それは「第三者」の情報です。◎ だから「そのまま全部お見せする」とは限りません。ここを判断するのも、事業所の手続きです。

そして第33条第3項——開示しない旨を決定したときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならないとされています。⚠ 黙って放置するのは、条文の想定外です。

「書き直してほしい」と言われたとき

これも、その場で受けないでください。根拠は第34条第1項です。

本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないときは、当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除……を請求することができる。

「事実でないとき」です。日付や回数の書き間違いは、この対象になり得ます。⚠ 一方、「そういう言い方をしないでほしい」「もっとよく書いてほしい」は、事実の話ではありません。条文の訂正請求とは別の相談になります。

そして、どちらであっても、その場で書き直さないでください。あとから日付をさかのぼって直すのは改ざんです。直すときは「〇月〇日 追記」「〇月〇日 訂正」と分かる形で残します。

だから、こう言えば通ります

場面言い方の型(いずれも一例です)
「記録を見せて」と言われた記録をご覧いただく手続きが決まっていますので、窓口をご案内します。私の判断でお見せすることができない決まりになっています」
=◎ 断っていません。案内しています。言い方はこれで足ります
「家族なのに見られないのか」ご本人からの委任など、ご覧いただける形があると聞いています。そこも含めて窓口でご確認いただけますか」
=代理人による請求ができることになっています
その場で少しだけ見せてと言われた⚠ 「ほかの方のことが書かれている場合があるので、私では出せません。
=「第三者の権利利益」の話です。理由を1つ添えると、押し問答になりにくい
「書き直してほしい」どの部分が事実と違うか、教えていただけますか。そのまま管理者に伝えます」
=⚠ その場で直さない。「事実でないとき」かどうかを聞き取るところまで
亡くなった方のことを聞かれた取り扱いが別になりますので、管理者から改めてご説明させてください。
=⚠ 個人情報保護法の枠の外の話です。いちばん慎重に

ここから先は、持ち帰ってください

中身
その場でしないこと記録を見せる/コピーを渡す/写真を撮らせる
記録をその場で書き直す(日付をさかのぼって直すのは改ざんです)
「見せられません」と言い切る(代理人による請求ができる形があります)
「規則ですから」で終わらせる(窓口を案内するところまでが親切です)
その場でしてよいこと手続きの窓口を案内する/理由を1つ添える/どの部分のことか聞き取る/管理者にそのまま渡す/次にいつ連絡するかを伝える

記録にどう残すか

開示を求められたとき
〇月〇日 16:10 長女 〇〇様(続柄:長女)より、「〇月〇日の介護記録を見せてほしい」とのお申し出。当方より、手続きの窓口をご案内し、その場ではお見せできない旨を説明。ご了承いただく。16:20 管理者〇〇へ報告ずみ。記録の提示・複写は行っていない。

「見せていない」と書いておいてください。あとで「見せた・見せない」になったときに、いちばん効きます。⚠ これはご家族を疑うための記録ではありません。お互いの記憶を守るための記録です。

まとめ

やさしい 日本語(にほんご)

1 なにが おきますか

ご家族(かぞく)が 言(い)います。
きょうの 記録(きろく)を 見(み)せて ください
あなたは こまります。見せて いいのか、わかりません。

2 どう すれば いいですか

その場(ば)では 見せません。これで 合(あ)って います。

法律(ほうりつ)に 「本人(ほんにん)が たのめる」と 書(か)いて あります。
ご家族は、そのままでは 「本人」では ありません

かくして いるのでは ありません。
あなたが 決(き)める ことでは ないのです。

3 でも「見せられません」とも 言(い)いません

◎ ご本人から たのまれた 人(ひと)なら、見られる 形(かたち)が あります。
◎ 手続(てつづ)きの まどぐちが、事業所(じぎょうしょ)に あります。

4 あなたは こう 言(い)います

5 これは ぜったいに しません

その場で 見せる/コピーを わたす/写真(しゃしん)を とらせる
その場で 記録を 書(か)きなおす ——これは 改ざん(かいざん)です

◎ 記録に 「見せて いない」と 書いて おいて ください。

※ この ページは 日本(にほん)の 法律に ついて 書いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりが いちばん だいじです。かならず 見(み)て ください。

ご家族対応の記録の様式を配っています

お申し出の内容と、こちらが何と答えたか(何をしていないか)を残せる形にしています。いずれも一例です。事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。

様式をダウンロード → 困りごとから調べる

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公開されている資料をもとに整理しています。
  • 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第1項・第32条・第33条・第34条・第37条
  • 厚生労働省「診療情報の提供等に関する指針の策定について」平成15年9月12日 医政発第0912001号(同指針 7・8・9)
  • 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」
  • 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第37条/指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第39条
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。当研究所は弁護士ではなく、ここに書いたことは法律相談ではありません。 開示するかどうか、どの範囲で開示するかを判断するのは事業者であり、最終的な解釈は所管の行政庁と裁判所によります。 「診療情報の提供等に関する指針」は医療機関向けのものです。介護事業所における取り扱いは、ガイダンス・事業所の規程・保険者の定めによります。 ここで書いているのは、事業者に課されている法令上の枠組みです。特定のご家族の考えや意図を書いたものではありません。 実際の対応は、所属事業所の規程および、管理者の指示に従ってください。制度・通知・法令は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。