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管理者・行政の側から

運営指導で、実際に何を見られるのか

まず、これだけ

「来月、運営指導です」。その一言で事業所の空気が変わります。怖いのは、何を見られるか分からないからです。

見る範囲は、あらかじめ決まっています。原則1か月前に紙が届き、そこに「準備すべき書類」が書かれます。そこに無いものを当日いきなり求めることは、国の決まりの想定外です。

◎ しかも、その決まりは来る側にも制限をかけています。印刷はしなくてよい(画面で確認する)/利用者の記録は原則3人まで/高圧的な言動は控える担当者の主観で指導しない

やさしい日本語で読むくわしい根拠を見る

最終更新:2026年9月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 「実地指導」は「運営指導」になりました
  2. 見られるのは3つの区分です
  3. ◎ 事前に通知が来ます(原則1月前)
  4. ◎ 指針が、自治体の側に置いている制約
  5. ⚠ 指導と監査は、まったく別のものです
  6. 監査に切り替わる4つの場合
  7. だから、こう言えば通ります
  8. ここから先は、本当に無理です
  9. 記録にどう残すか
  10. まとめ

「実地指導」は「運営指導」になりました

令和4年3月31日 老発0331第6号「介護保険施設等の指導監督について(通知)」です。この通知が、次の2つを廃止しています。

廃止されたもの 
平成18年10月23日 老発第1023001号
「介護保険施設等の指導監督について」
旧・指導監督通知
令和元年5月29日 老指発0529第1号
「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について」
「実地指導」の語を使っていた通知

いまの指針は、別添1「介護保険施設等指導指針」と別添2「介護保険施設等監査指針」の2本立てです。指導と監査は、別々の指針で動いています。

見られるのは3つの区分です

指導指針 第3の2(1)です。運営指導は次のア〜ウの内容について、原則、実地に行う。

区分中身
ア 介護サービスの実施状況指導個別サービスの質(施設・設備や利用者等に対するサービスの提供状況を含む)に関する指導
イ 最低基準等運営体制指導基準等に規定する運営体制に関する指導(ウに関するものを除く)
ウ 報酬請求指導加算等の介護報酬請求の適正実施に関する指導

ア〜ウは、分割して実施しても差し支えないと書かれています。またイとウは、実地でなくても確認できる内容に限り、オンライン等を活用できます(情報セキュリティの確保が前提)。⚠ その際は「介護保険施設等の過度な負担とならないよう十分に配慮する」とも書かれています。

頻度は、原則として指定又は許可の有効期間内に少なくとも1回以上。⚠ 居住系サービス・施設系サービスは、3年に1回以上の頻度で行うことが望ましいとされています。

◎ 事前に通知が来ます(原則1月前)

指導指針 第5の2(1)です。文書により、原則として1月前までに、次の6つが通知されます。

 通知される事項
運営指導の根拠規定及び目的
運営指導の日時及び場所
指導担当者
介護保険施設等の出席者(役職名等で可)
準備すべき書類等
当日の進め方、流れ等(実施する運営指導の形態、スケジュール等)

1つだけ例外があります。指導対象となる介護保険施設等において高齢者虐待が疑われる等の理由により、あらかじめ通知したのでは日常におけるサービスの提供状況を確認することができないと認められる場合は、指導開始時にこれらの事項が通知されます。

だから、こう考えると分かりやすくなります。
通知の⑤に「準備すべき書類等」が書かれています。そこに無いものを当日いきなり求められることは、指針の想定外です。不安なら、通知書をもう一度読んでください。見る範囲は、そこに書いてあります。 Thông báo gửi trước 1 tháng có ghi rõ "giấy tờ cần chuẩn bị". Phạm vi kiểm tra đã được ghi ở đó. Nếu lo lắng, hãy đọc lại thông báo.

◎ 指針が、自治体の側に置いている制約

ここが、この記事でいちばん知ってほしいところです。指導指針は、自治体に対して次のように書いています。

【確認する範囲】運営指導(ア及びイに限る。)においては、確認項目以外の項目は、特段の事情がない限り確認を行わないものとし、確認文書以外の文書は原則求めないものとする。(第3の2(3))

【資料は1部】運営指導の事前又は当日に提出を求める資料及び書類の写等については1部とし、自治体が既に保有している文書(新規指定時、指定更新時及び変更時に提出されているもの等)については再提出を求めない。(第5の2(3)エ)

【印刷は不要】各種書面について、当該書面に代えて電磁的記録により管理されている場合は、ディスプレイ上で内容を確認することとし、別途、印刷した書類等の準備や提出は求めない。(同上)

【利用者は原則3名以内】利用者等へのサービスの質を確認するためにその記録等を確認する場合は、特に必要と判断する場合を除き、対象は原則として3名以内とする。ただし、居宅介護支援事業所については、原則として介護支援専門員1人あたり1名〜2名の利用者についてその記録等を確認する。(同オ)

そして第7「指導にあたっての留意点」には、こう書かれています。

1 高圧的な言動は控え、改善が必要な事項に対する指導や、より良いケア等を促す助言等については、介護保険施設等との共通認識が得られるよう留意する。

3 運営指導は、基準等に基づき行うものとし、担当職員の主観に基づく指導や、当該介護保険施設等に対する前回の指導内容と根拠なく大きく異なる指導は行わない。

4 運営指導における個々の指導にあたっては、具体的な状況や理由を聴取し、根拠規定やその趣旨・目的等について懇切丁寧な説明を行う。

5 運営指導の際、介護保険施設等の出席者については、必ずしも事前に通知した者に限定することなく、実情に詳しい従業者や介護保険施設等を経営する法人の労務・会計等の担当者が同席することは差し支えない。

5つめは、とくに使えます。「事前に名前を出した人しか出られない」ということはありません。詳しい人を呼んでよいと指針に書かれています。

⚠ 指導と監査は、まったく別のものです

 指導(別添1)と監査(別添2)
根拠指導=法第23条・第24条
監査=法第76条ほか、多数の条文(立入検査等)
目的指導=「介護保険施設等の支援を基本とし……サービスの質の確保及び保険給付の適正化を図る」
監査=「事実関係を的確に把握し、公正かつ適切な措置を採ることを主眼とする」
事前通知指導=原則1月前まで
監査監査開始時に通知(運営指導から移行した場合は口頭で通告)
通知の中身⚠ 監査の通知には、指導には無い項目が入ります。⑥虚偽の報告又は答弁、検査忌避等に関する罰則規定
結果指導=改善を要する事項があれば後日文書で通知し、文書で報告を求める
監査勧告・命令・指定の取消し等の行政上の措置

指導指針の目的の条文には「介護保険施設等の支援を基本とし」という言葉が入っています。建前だと感じるかもしれませんが、指針の書きぶりは、その言葉に沿って作られています(§4)。

監査に切り替わる4つの場合

指導指針 第6「監査への変更」です。運営指導を実施中に次に該当する状況を確認した場合は、運営指導を中止し、直ちに監査を行うとされています。

 切り替わる場合
1人員、施設及び設備並びに運営に関する基準に従っていない状況が著しいと認められる場合又はその疑いがあると認められる場合
2介護報酬請求について、不正を行っていると認められる場合又はその疑いがあると認められる場合
3不正の手段による指定等を受けていると認められる場合又はその疑いがあると認められる場合
4高齢者虐待等により、利用者等の生命又は身体の安全に危害を及ぼしていると認められる場合又はその疑いがあると認められる場合

4つとも「又はその疑いがあると認められる場合」が付いています。確定していなくても切り替わります。

裏返すと、記録の書き漏らしや加算要件の勘違いは、この4つには当たりません。そこは指導の中で「改善を要すると認められる事項」として文書で通知され、文書で報告する——という流れになります。

だから、こう言えば通ります

場面言い方の型(いずれも一例です)
通知書に無い書類を求められた準備すべき書類として通知いただいた中には無かったものですが、いま出せるか確認します。
=断るのではなく、事実を置く言い方です。指針は「確認文書以外の文書は原則求めない」としています
全部印刷するよう言われた◎ 「電磁的記録で管理しているので、画面でご確認いただけますか。
=指針にそのまま書かれています
詳しい人がその場にいない◎ 「実情に詳しい者を同席させてもよいと聞いています。呼んでもよろしいでしょうか」
=第7の5です
根拠が分からない指摘を受けたどの基準のどの条文に当たるか、教えていただけますか。
=第7の4「根拠規定やその趣旨・目的等について懇切丁寧な説明を行う」。⚠ 争う言い方ではなく、記録に残すための質問です
前回と違うことを言われた前回は〇〇とご指導いただいた部分です。取扱いが変わったのでしょうか」
=第7の3「前回の指導内容と根拠なく大きく異なる指導は行わない」

ここから先は、本当に無理です

中身
法令上の線
(言い方では動きません)
運営指導そのものを断ることはできません。根拠は法第23条・第24条です。
⚠ そして監査に移行したら、性質が変わります。通知に罰則規定の項目が入り、虚偽の報告や検査忌避は罰則の対象です。その場で取り繕わないでください。
高齢者虐待が疑われる場合は、事前通知なしで来ます。これも指針に書かれています
相談できる線日程/オンラインで行う部分/出席者(追加してよい)/書類の形式(画面での確認)/確認文書の範囲
いずれも指針に根拠があります。ぶつけるのではなく、根拠を添えて相談してください

記録にどう残すか

当日、その場で受けた指摘
〇月〇日 14:20 運営指導。担当者〇〇氏より、身体的拘束等の記録に「時間」の記載が無い月がある旨の指摘。根拠として省令第11条第5項をご説明いただく。当方より、〇月分から様式を改める旨を回答。後日文書での通知を待つ。

根拠を確かめたとき
15:05 〇〇の加算要件について指摘。どの告示・通知に基づくかを確認したところ、〇〇とご教示いただいた。当方で条文を確認のうえ、〇月〇日までに報告する。

その場で言われたことを、その場で書いてください。後日の文書通知と突き合わせられます。⚠ そして、その場で結論を出さないでください。「持ち帰って確認します」は、この場面では正しい答えです。

まとめ

やさしい 日本語(にほんご)

1 なにが おきますか

来月(らいげつ)、運営指導(うんえいしどう)が あります
みんなが 急(きゅう)に いそがしく なります。
あなたは 思(おも)います。「こわい

2 なぜ こわく 感(かん)じますか

何(なに)を 見(み)られるか わからないから です。
でも、見る ものは 決(き)まって います。

1か月(げつ)前(まえ)に、紙(かみ)が 来(き)ます。
その 紙に 「用意(ようい)する 書類(しょるい)」が 書(か)いて あります。

◎ そして 国(くに)の きまりに、こう 書いて あります。
紙に 書いて ない 書類は、ふつうは 求(もと)めない
パソコンの 画面(がめん)で 見る。印刷(いんさつ)は しなくて いい
利用者(りようしゃ)さんの 記録は、ふつうは 3人(にん)まで
強(つよ)い 言(い)い方(かた)は しない
くわしい 人(ひと)が いっしょに 出(で)て いい

3 あなたは どう 言(い)いますか

4 これは ちがう ものです

指導(しどう) …… 1か月前に 紙が 来る。助(たす)ける ためと 書いて ある
監査(かんさ) …… ⚠ その日(ひ)に 来る。うそを つくと 罰(ばつ)が ある

だから、その場で つくろわないで ください。
 わからない ことは「わかりません」で いいです。

※ この ページは 日本(にほん)の 法律に ついて 書いて います。市(し)や 県(けん)で やり方(かた)が ちがう ことが あります。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見て ください。

指摘を書き取る様式を配っています

その場で言われたことと、根拠として示された条文を、1枚で残せる形にしています。いずれも一例です。事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。

様式をダウンロード → 困りごとから調べる

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公開されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「介護保険施設等の指導監督について(通知)」令和4年3月31日 老発0331第6号(別添1 介護保険施設等指導指針/別添2 介護保険施設等監査指針)
  • 介護保険法(平成9年法律第123号)第23条・第24条・第76条ほか
  • (本通知により廃止)平成18年10月23日 老発第1023001号/令和元年5月29日 老指発0529第1号
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。法令や通知の解釈を最終的に行うのは、所管の行政庁と裁判所です。 確認項目および確認文書は、サービス種別ごとに別に定められています。また、運営指導の実際の運用は自治体によって異なります。必ず、通知された文書と、保険者の示す取扱いに従ってください。 ここに書いたのは、指針が定めている枠組みです。個別の指導の適否についての判断ではありません。 実際の対応は、所属事業所の規程および、保険者の定めに従ってください。制度・通知・法令は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。