なぜ「もう受けられない」と言うのか
新しい方のことで電話したら、「いまは受けられません」。断られた、避けられた——そう感じます。
⚠ たいていは、お金の話ではなく人の話です。利用者が一定の人数を超えると、ケアマネジャーをもう1人置かなければならない決まりがあります。採れなければ、受けられません。
◎ そして、よく言われる「45人を超えると単価が全部半分になる」も正確ではありません。下がるのは新しく契約した人のぶんだけです。似ている数が3つ混ざっているので、この記事で分けます。
もくじ
混ざっている3つの数
| どの制度か | 効き方 |
|---|---|
| ① 人員基準 省令38号 第2条第2項・第3項 | ⚠ 44(または49)で、介護支援専門員がもう1人必要になる。置けなければ基準違反。「受けられない」の本体はこれ |
| ② 逓減制 告示20号 居宅介護支援費 注1 | 45(または50)以上の部分の単価が下がる。⚠ 下がるのは超えたぶんだけで、既存の利用者は下がらない |
| ③ 特定事業所加算 告示95号 第84号イ(10) | ⚠ 1人当たり45名(または50名)以上になると、加算がまるごと落ちる。逓減より痛いことがある |
「44」と「45」が1つずれているのは、書き方の違いです。44人ごとに1人(人員基準)と、45件目から下がる(逓減制)。
同じことを言っているように見えて、片方は置く人の話、もう片方はお金の話です。混ぜて説明されると、どうしても分からなくなります。
① 人員基準 — これが「受けられない」の本体です
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第2条です。
第1項 指定居宅介護支援事業者は、事業所ごとに一以上の員数の……介護支援専門員であって常勤であるものを置かなければならない。
第2項 前項に規定する員数の基準は、利用者の数……が四十四又はその端数を増すごとに一とする。
第3項 ⚠ ケアプランデータ連携システムを利用し、かつ、事務職員を配置している場合における員数の基準は、利用者の数が四十九又はその端数を増すごとに一とする。
⚠ 「44又はその端数を増すごとに一」です。45人目を受けた瞬間に、常勤の介護支援専門員が2人必要になります。人を採れなければ、その45人目は受けられません。
なお、その事業所が指定介護予防支援もあわせて行っている場合は、介護予防支援の利用者数に3分の1を掛けた数を足して数えます(第2条第2項かっこ書き)。
だから、こう考えると分かりやすくなります。
「もう受けられません」は、値段の話ではなく定員の話であることが多いです。⚠ 断られたのは、あなたや利用者さんの事情ではありません。その事業所が、いま何人置けているかの話です。
"Không nhận thêm được" thường KHÔNG phải vì tiền. Luật quy định cứ 44 người dùng thì phải có thêm 1 care manager chính thức. Nếu không tuyển được người thì không nhận thêm được.
② 逓減制 — ⚠ 下がるのは新しい人のぶんだけです
指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月10日 厚生省告示第20号)の、居宅介護支援費 イ⑴ 注1です。令和6年度改定後の数字を並べます。
| 区分(居宅介護支援費(Ⅰ)) | 1月あたりの単位数 |
|---|---|
| (ⅰ) 取扱件数が45未満の場合、または 45以上の場合の45未満の部分 | 要介護1・2 1,086単位 要介護3・4・5 1,411単位 |
| (ⅱ) 取扱件数が45以上の場合の 45以上60未満の部分 | 要介護1・2 544単位 要介護3・4・5 704単位 |
| (ⅲ) 60以上の部分 | 要介護1・2 326単位 要介護3・4・5 422単位 |
⚠ 「45未満の部分」「45以上60未満の部分」という書き方に注目してください。件数全体にかかるのではなく、部分ごとに単価が違います。
誰が「45以上の部分」になるのかは、老企第36号が決めています。
居宅介護支援費(ⅰ)、(ⅱ)又は(ⅲ)の利用者ごとの割り当てに当たっては、利用者の契約日が古いものから順に、1件目から44件目(常勤換算方法で1を超える数の介護支援専門員がいる場合にあっては、45にその数を乗じた数から1を減じた件数まで)については居宅介護支援費(ⅰ)を算定し、45件目以降については、取扱件数に応じ、それぞれ居宅介護支援費(ⅱ)又は(ⅲ)を算定すること。ただし、居宅介護支援費(Ⅱ)を算定する場合は、「44件目」を「49件目」と、「45」を「50」と読み替える。
◎ ここが、いちばん誤解されているところです。
「あと1人受けたら、事業所の収入が全部半分になる」——そうはなりません。割り当ては契約日が古い順なので、新しく受けた人のぶんが(ⅱ)になるだけです。ほかの利用者の単価は変わりません。
居宅介護支援費(Ⅱ)は、ケアプランデータ連携システムの利用と事務職員の配置を両方行い、届出をした事業所が算定できるもので、区切りが50になります。⚠ 片方だけでは足りません。
「取扱件数」は、あなた1人の担当数ではありません
老企第36号が計算方法を定めています。
取扱件数=事業所全体の利用者(月末に給付管理を行っている者)の総数 + 指定介護予防支援に係る利用者の数 × 3分の1
を、その事業所の常勤換算方法により算定した介護支援専門員の員数で除して得た数
⚠ つまり「事業所の平均」です。担当ごとの偏りは、この計算には出てきません。「私はまだ30件です」と言っても、事業所の平均が45を超えていれば逓減がかかります。
そして常勤換算なので、非常勤の介護支援専門員も分母に入ります。「常勤が2人だから90件まで」ではありません。
③ 特定事業所加算の件数要件
厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日 厚生労働省告示第95号)第84号イ(10)です。
指定居宅介護支援事業所において指定居宅介護支援の提供を受ける利用者数が当該指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員一人当たり四十五名未満であること。ただし、居宅介護支援費(Ⅱ)を算定している場合は五十名未満であること。
⚠ これは(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)のような「部分」ではありません。要件を満たさなくなると、特定事業所加算そのものが算定できなくなります。加算は利用者全員にかかっているので、1件受けたことで、全員ぶんの加算が落ちるということが起こり得ます。
◎ 「逓減で少し下がるだけなら受けてくれてもいいのに」と思える場面でも、こちらが効いていることがあります。ケアマネジャーが「事業所として受けられない」という言い方をするのは、自分1人の判断ではないからです。
◎ 令和6年度に、数がゆるくなりました
| 変わったこと | |
|---|---|
| 逓減制の区切り(Ⅰ) | ◎ 40 → 45(1件目から39件目 → 1件目から44件目が(ⅰ)) |
| 逓減制の区切り(Ⅱ) | ◎ 45 → 50 |
| 介護予防支援の換算 | ◎ 2分の1 → 3分の1(同じ人数でも、取扱件数が小さく出ます) |
| (Ⅱ)の要件 | ⚠ ケアプランデータ連携システムの利用かつ事務職員の配置に(従前は「情報通信機器の活用又は事務職員の配置」) |
| 単位数((Ⅰ)(ⅰ)) | 1,076/1,398単位 → ◎ 1,086/1,411単位 |
◎ 「40件までしか持てない」と聞いたことがある人へ。それは令和6年3月までの数字です。いまは45(データ連携+事務職員なら50)です。
だから、こう言えば通ります
| 場面 | 言い方の型(いずれも一例です) |
|---|---|
| 「もう受けられません」と言われた | 「人員の関係でしょうか、それとも加算の関係でしょうか。」 =理由が分かると、次に行く先が変わります。人員なら他事業所へ、加算なら時期を待てる場合があります |
| 時期を待てないか聞きたい | 「いつごろなら受けていただけそうですか。」 =件数は毎月動きます。◎ 「今は無理」と「ずっと無理」は違います |
| 他をあたるように言われた | 「近くで、いま受けられる事業所をご存じですか。」 =ケアマネジャーは地域の状況を持っています。断る側も気にしています |
| どこにも断られた | ◎ 「地域包括支援センターに相談したいのですが、窓口を教えていただけますか。」 =§8 のとおり、まだ道は残っています |
| こちらが事業所側のとき | 「いま件数が要件のぎりぎりなので、受けられるようになったらご連絡します。」 =理由を言わずに断ると、相手は「うちが避けられた」と受け取ります |
断られたときに、まだ残っている道
◎ 「ケアマネジャーが見つからない=サービスが使えない」ではありません。
- 地域包括支援センターに相談する。⚠ 介護保険法第115条の46第1項の包括的支援事業を行う機関で、事業所の紹介はその役割の中にあります
- 市町村の介護保険担当窓口に相談する
- いわゆるセルフプラン(利用者本人が居宅サービス計画を作り、市町村に届け出る)。⚠ 介護保険法施行規則第64条第1号ニに、代理受領のルートとして書かれています。詳しくはなぜ「プランにないからできない」と言うのかに整理しています
- 居宅療養管理指導と特定施設入居者生活介護は、⚠ 居宅サービス計画に位置付けられていなくても代理受領の対象になります(同条第2号)
⚠ ただし、セルフプランは給付管理も自分で行うことになります。手続きの負担は小さくありません。まず地域包括支援センターに相談するのが、いちばん現実的です。
記録にどう残すか
断られた理由を確かめたとき
13:20 〇〇居宅介護支援事業所へ新規の依頼。「現在、事業所全体の件数が要件のぎりぎりで、今月は受けられない。来月以降であれば相談可能」との回答。担当者〇〇。次回〇月〇日に再度連絡することとする。
どこにも断られたとき
16:05 近隣3事業所(〇〇・〇〇・〇〇)に依頼するも、いずれも件数を理由に受け入れ不可。ご家族へ状況を説明し、地域包括支援センター〇〇へ相談する方針を確認。〇月〇日に同センターへ連絡予定。
◎ 「いつ、どこに、何と言われたか」を並べて書いてください。地域包括支援センターや市町村に相談するとき、この一覧がそのまま説明になります。
まとめ
- ⚠ 混ざりやすい3つ。①人員基準(44/49)②逓減制(45/50)③特定事業所加算の件数要件(45名/50名)
- 「受けられない」の本体は①人員基準。45人目には常勤の介護支援専門員がもう1人必要(省令38号 第2条第2項)
- ◎ 逓減制で下がるのは、契約日が新しい人のぶんだけ(老企36号「契約日が古いものから順に」)。全員が半分になるのではありません
- 単位数は(ⅰ) 1,086/1,411、(ⅱ) 544/704、(ⅲ) 326/422(令和6年度)
- ⚠ 取扱件数は「事業所の平均」。事業所全体の利用者数+介護予防支援の利用者数×1/3 ÷ 常勤換算の介護支援専門員数
- ⚠ 特定事業所加算は「部分」ではなく、要件を外すと加算そのものが落ちます(告示95号 第84号イ(10))
- 居宅介護支援費(Ⅱ)はケアプランデータ連携システムの利用かつ事務職員の配置+届出
- ◎ 令和6年度に 40→45/45→50 に、介護予防支援の換算も 1/2→1/3 にゆるみました
- ◎ 断られてもサービスが使えないわけではありません。地域包括支援センター・市町村・セルフプランの道があります
やさしい 日本語(にほんご)
1 なにが おきますか
あたらしい 利用者(りようしゃ)さんの ことで、
ケアマネジャーの 事業所(じぎょうしょ)に 電話(でんわ)しました。
「いまは 受(う)けられません」
あなたは 思(おも)います。「なぜ? ことわられた?」
2 なぜ そう 言(い)いますか
お金(かね)の 話(はなし)では ありません。
⚠ 人(ひと)の 話です。
法律(ほうりつ)に こう 書(か)いて あります。
「利用者が 44人(にん)に なるごとに、ケアマネジャーを 1人(ひとり)ふやす」
だから 45人目(にんめ)を 受けるには、
ケアマネジャーを もう 1人 やとわなければ なりません。
やとえないと、受けられません。
◎ 「あなたが きらわれた」のでは ありません。
3 よく ある まちがい
「45人に なると、ぜんいんの お金が 半分(はんぶん)に なる」
——⚠ ちがいます。
お金が 下(さ)がるのは、あたらしく 契約(けいやく)した 人の ぶんだけです。
まえから いる 人は 下がりません。
4 あなたは どう しますか
- 「いつごろなら 受けられますか」
——件数(けんすう)は 毎月(まいつき)かわります。「いまは むり」と「ずっと むり」は ちがいます。 - ◎ どこにも ことわられた とき——
地域包括支援(ちいきほうかつしえん)センターに 相談(そうだん)して ください。
市(し)や 町(まち)の 窓口(まどぐち)でも いいです。
※ この ページは 日本(にほん)の 法律に ついて 書いて います。市町村(しちょうそん)で やりかたが ちがう ことが あります。かならず 聞(き)いて ください。
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いつ、どこに、何と言われたか。1枚に並べておくと、次の相談がそのまま進みます。いずれも一例です。項目は事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。
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- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第2条
- 指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月10日 厚生省告示第20号)別表 居宅介護支援費 イ⑴・⑵ 注1・注2
- 厚生労働省告示第86号(令和6年3月15日)による同基準の改正
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日 厚生労働省告示第95号)第84号
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」平成12年3月1日 老企第36号(令和6年度改定版)
- 介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の46/介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第64条
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。