なぜ委員会・指針・研修・担当者が、増え続けるのか
また同じような会議。また同じような書類。「先月もやりませんでしたか」と言いたくなります。
決まりの中で、同じ4つの言葉が何度もくり返されているからです。委員会・指針・研修・担当者。感染症、身体拘束、事故防止、虐待防止——それぞれ別のところに、ほぼ同じ形で書かれています。
やっていないと報酬が減ります。⚠ 身体拘束だけ、ほかの10倍です。そして「拘束をしたから」ではなく「会議をしていないから」減ります。1件も拘束がない月でも対象になり得ます。
もくじ
4点セットが、4回くり返されています
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)から並べます。訪問介護や通所介護なら省令第37号で、番号は違いますが同じ形です。
| 何の措置か | 条文が求める中身 |
|---|---|
| 感染症・食中毒 第27条第2項 | ①対策を検討する委員会をおおむね3月に1回以上開催し、結果を従業者に周知徹底 ②指針の整備 ③研修およびまん延の防止のための訓練を定期的に ④厚生労働大臣が定める手順に沿った対応 |
| 身体的拘束等の適正化 第11条第6項 | ①適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催し、結果を周知徹底 ②指針の整備 ③研修を定期的に ⚠ 担当者の規定はありません |
| 事故発生の防止 第35条第1項 | ①指針の整備(事故が発生した場合の対応、報告の方法等を記載) ②報告され、分析を通じた改善策を従業者に周知徹底する体制 ③委員会および研修を定期的に ④⚠ これらを適切に実施するための担当者を置くこと |
| 虐待の防止 第35条の2 | ①対策を検討する委員会を定期的に開催し、結果を周知徹底 ②指針の整備 ③研修を定期的に ④⚠ これらを適切に実施するための担当者を置くこと |
| 業務継続計画 第24条の2 | ①感染症や非常災害の発生時にサービス提供を継続するための計画(BCP)の策定 ②従業者への周知、研修および訓練を定期的に ③定期的な見直し ⚠ 委員会・指針・担当者の規定はありません |
4つの言葉が同じ形で並んでいると、外から見れば「また同じものを作らされている」ようにしか見えません。
◎ でも、中身は少しずつ違います。訓練が要るのは感染症と業務継続計画だけ。担当者が要るのは事故防止と虐待防止だけ。ここを見分けられると、書類が減ります。
⚠ 開催の頻度は、同じではありません
| 委員会 | 条文が書いている頻度 |
|---|---|
| 感染症・食中毒(第27条第2項第1号) | ⚠ おおむね3月に1回以上 |
| 身体的拘束等の適正化(第11条第6項第1号) | ⚠ 3月に1回以上(「おおむね」が付いていません) |
| 事故発生の防止(第35条第1項第3号) | 定期的に |
| 虐待の防止(第35条の2第1号) | 定期的に |
◎ 「3月に1回以上」と書かれているのは2つだけです。ほかは「定期的に」で、間隔は条文に書かれていません。⚠ ただし「定期的に」を年1回と読むか半年に1回と読むかは、保険者の運用に幅があります。必ず確認してください。
だから、こう考えると分かりやすくなります。
⚠ 感染症と身体的拘束は、四半期ごとに必ず来ます。これは条文が数字で決めています。予定に入れておくものであって、思いついたときにやるものではありません。
Hai cuộc họp — phòng chống lây nhiễm và hạn chế thân thể — luật ghi rõ "ít nhất 3 tháng 1 lần". Đây là lịch cố định, không phải làm khi nhớ ra.
「担当者」が要るのは2つだけです
◎ 条文が「担当者を置くこと」と書いているのは、事故発生の防止(第35条第1項第4号)と虐待の防止(第35条の2第4号)の2つだけです。感染症・身体的拘束・業務継続計画には、担当者を置けという規定がありません。
⚠ ただし、置いてはいけないという意味でもありません。実務上まとめて1人が担っている事業所もあります。条文が求めているのは2つ、という話です。
外したときに落ちる額は、10倍ちがいます
令和6年度介護報酬改定(令和6年3月15日 厚生労働省告示第86号による改正)後の、告示第21号ほか各単位数表の注です。
| 減算 | 率 |
|---|---|
| 身体拘束廃止未実施減算 | ⚠ 所定単位数の100分の10 |
| 高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数の100分の1 |
| 業務継続計画未策定減算 | 所定単位数の100分の1(⚠ 施設・居住系サービスは100分の3) |
⚠ 身体拘束だけ、桁が違います。ほかの2つの10倍です。管理者が身体的拘束の委員会にとくにうるさいのは、ここに理由があります。
そして、⚠ 身体拘束廃止未実施減算は「拘束をしたから」ではなく「第11条第4項から第6項までの措置を講じていないから」落ちます。拘束が1件も無い月でも、委員会を開いていなければ対象になり得ます。同じことは虐待防止措置未実施減算にも当てはまります——虐待が発生した場合ではなく、措置を講じていない場合の減算です。
◎ 業務継続計画は、いま実際に効いています
業務継続計画未策定減算には経過措置がありました。告示第86号 附則第2条により、令和7年3月31日までの間は適用しない(ただし、感染症の予防及びまん延の防止のための指針および非常災害に関する具体的計画を策定していない場合は、この限りでない)。
⚠ その経過措置は、令和7年3月31日で終わっています。令和7年4月1日以降は、業務継続計画を策定していなければ減算の対象です。
同じく、令和6年度に対象が広がった身体拘束廃止未実施減算(短期入所・特定施設・小規模多機能型居宅介護・認知症対応型共同生活介護などの新たな対象)も、同じ告示の附則第4条が令和7年3月31日までは適用しないと定めていました。こちらも終わっています。
◎ 「まだ猶予がある」という言い方は、もう当てはまりません。これは令和8年9月の時点での話です。
◎ テレビ電話でよい、と条文に書いてあります
条文のかっこ書きを、見落とさないでください。
感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を……(第27条第2項第1号)
身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)を……(第11条第6項第1号)
事故発生の防止のための委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)及び従業者に対する研修を……(第35条第1項第3号)
虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を……(第35条の2第1号)
◎ 4つとも書かれています。全員を同じ部屋に集める必要は、条文の側からは求められていません。
また、いずれの委員会も「その結果について、介護職員その他の従業者に周知徹底を図ること」が中身に入っています。⚠ 開くだけでは条文を満たしません。だから管理者は、出席しなかった人に議事録を回して確認印を求めます。
だから、こう言えば通ります
| 場面 | 言い方の型(いずれも一例です) |
|---|---|
| 委員会が多すぎると感じる | 「どれが3月に1回で、どれが定期的でしょうか。まとめられるものはありますか」 =数字が決まっているのは感染症と身体的拘束の2つだけです |
| 同じ書類を何度も作らされる | 「担当者を置くよう書かれているのは、事故防止と虐待防止の2つだと聞きました。ほかは兼ねる形でよいでしょうか」 =押し切る話ではなく、確かめる言い方です |
| 集まれない | ◎ 「条文にテレビ電話等を活用してよいと書かれています。オンラインで参加できますか」 |
| 欠席した | 「議事録をいただけますか。周知徹底まで含めて条文になっていると聞きました」 =受け取る側から言うと、話が早いことがあります |
| BCPはまだ先だと言われた | ⚠ 「経過措置は令和7年3月末で終わっていると聞きました。現状はどうなっていますか」 |
ここから先は、本当に無理です
| 線 | 中身 |
|---|---|
| 法令上の線 (言い方では動きません) | ⚠ 感染症と身体的拘束の委員会は「3月に1回以上」です。年1回にはできません。 ⚠ そして委員会は開けば終わりではありません。4つとも「その結果について従業者に周知徹底を図ること」が条文の中身に入っています。 ⚠ 拘束が1件も無い月でも、措置を講じていなければ減算の対象になり得ます。 |
| 相談できる線 | 開催の方法(テレビ電話等)/議題のまとめ方/担当者を兼ねるか/議事録の形式/研修の回数と組み方 ◎ 「定期的に」としか書かれていないものは、保険者の運用の範囲で相談できます |
記録にどう残すか
委員会の議事録(周知まで書く)
〇月〇日 16:00〜16:40 身体的拘束等の適正化のための委員会(第〇回・前回〇月〇日)。出席〇名(うちテレビ電話装置等による参加〇名)。議題:①前回以降の身体的拘束等の実施状況 ②〇〇さんの離床センサーの運用の見直し ③指針の見直しの要否。
周知:〇月〇日、議事録を全従業者に配付し、〇月〇日までに確認印を得た(未確認〇名は〇月〇日に個別に説明ずみ)。
研修の記録
〇月〇日 17:30〜18:10 高齢者虐待の防止のための研修(年〇回のうち第〇回)。参加〇名。⚠ 欠席者〇名には〇月〇日に資料を配付し、〇月〇日に理解の確認を行った。担当者〇〇。
◎ 「開いた」だけでなく「周知した」まで書いてください。条文の中身が、そこまでで1つになっています。ここが抜けていると、開いていても足りない扱いになり得ます。
まとめ
- ⚠ 同じ4点セット(委員会・指針・研修・担当者)が、条文の中で何度もくり返されています
- ⚠ 委員会が「3月に1回以上」なのは、感染症(おおむね3月に1回以上)と身体的拘束(3月に1回以上)の2つだけ。事故防止と虐待防止は「定期的に」
- ⚠ 「担当者を置くこと」は、事故発生の防止と虐待の防止の2つだけ
- 訓練が要るのは感染症のまん延防止と業務継続計画。研修だけで足りるものと分かれています
- ⚠ 減算は身体拘束廃止未実施=100分の10、虐待防止措置未実施=100分の1、業務継続計画未策定=100分の1(施設・居住系は100分の3)。身体拘束だけ桁が違います
- ⚠ いずれも「発生したから」ではなく「措置を講じていないから」の減算です
- ⚠ 業務継続計画と、新たに対象になった身体拘束の経過措置は、令和7年3月31日で終わっています
- ◎ 4つの委員会とも、条文に「テレビ電話装置等を活用して行うことができる」と書かれています
- ◎ ただし「その結果について従業者に周知徹底を図ること」までが条文の中身です
やさしい 日本語(にほんご)
1 なにが おきますか
また 会議(かいぎ)です。また 書類(しょるい)です。
「感染症(かんせんしょう)の 委員会(いいんかい)」
「身体拘束(しんたいこうそく)の 委員会」
「事故(じこ)の 委員会」「虐待(ぎゃくたい)の 委員会」
あなたは 思(おも)います。「同(おな)じ こと ばかり」
2 なぜ そう なりますか
⚠ 法律(ほうりつ)が、同じ かたちで 何回(なんかい)も 書(か)いて いる からです。
「委員会」「指針(ししん)」「研修(けんしゅう)」「担当者(たんとうしゃ)」
——この 4つが、4回 くりかえされて います。
やらないと、お金(かね)が へります。
◇ 身体拘束 …… 100分の10
◇ 虐待防止 …… 100分の1
◇ 業務継続計画(BCP) …… 100分の1(施設は 100分の3)
⚠ 身体拘束だけ、10倍(ばい)です。
だから 管理者(かんりしゃ)は、そこに いちばん うるさいです。
3 だいじな こと
⚠ 拘束を 1回も して いなくても、委員会を して いなければ お金が へります。
「した から」では なく「やって いない から」です。
4 あなたは どう 言(い)いますか
- ◎ 集(あつ)まれない とき——
「テレビ電話(でんわ)で 出(で)て いいですか」
——法律に 「できる」と 書いて あります。 - ◎ 休(やす)んだ とき——
「議事録(ぎじろく)を ください」
——「みんなに 知(し)らせる」まで が、法律の 中身(なかみ)です。
※ この ページは 日本(にほん)の 法律に ついて 書いて います。サービスの 種類(しゅるい)で 条(じょう)の 番号(ばんごう)が ちがいます。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
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「開いた」だけでなく「周知した」まで書ける形にしています。いずれも一例です。事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。
様式をダウンロード → 困りごとから調べる根拠にした資料
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第11条第4項〜第6項・第24条の2・第27条第2項・第35条・第35条の2
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)(対応する各条)
- 指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)ほか各単位数表の注
- 厚生労働省告示第86号(令和6年3月15日)による改正および同附則第2条・第4条(経過措置)
- 厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日 厚生労働省告示第95号)
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。