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事故報告

事故報告書に「特変なし」と書いてはいけない

「特変なし」——書きやすい4文字です。

けれど、これは何も見ていないのと同じに読まれます。 何を見て、どうだったのかが、まったく分からないからです。

かわりに「意識清明、BP142/80、外傷なし」と書けば、それは見た証拠になります。

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 書きかえの一覧
  2. 「見た」と「見ていない」を、必ず分ける
  3. 事故報告書に、必ず入れること
  4. 書き直さない・消さない
  5. 他の方の名前を書かない
  6. 書く時間を、業務時間の中に取る
  7. 数えて、様式を直す
  8. まとめ

書きかえの一覧

✕ 書かない〇 こう書く
「特変なし」何を見て、どうだったかを書く。「意識清明、BP142/80、外傷なし」
「転倒しました」(見ていないとき)「床にいるところを発見しました
「ぶつけたと思います」「あざを見つけました。原因は分かりません
「いつものこと」「よくある」書かない。軽く扱った記録として読まれます
「経過観察」だけ何を、いつまで、何時間ごとに見るのかを書く
「様子観察中」誰が、どこで、どんな体勢で見ているのかを書く

「特変なし」は、いちばん使ってほしくない言葉です。

何も書いていないのと、同じに読まれます。

「見た」と「見ていない」を、必ず分ける

✕ 見ていないのに断定する

「転倒しました」
「ベッドから落ちました」
「むせて誤嚥しました」
「ぶつけたと思います」
→ 見ていないなら、これは推測です。推測を事実として書くと、あとで記録全体の信頼が落ちます。

〇 見たことだけを書く

「床にいるところを発見しました」
「ベッドの横の床にいました」
「むせているところを見ました」
「あざを見つけました。原因は分かりません」
「発見しました」は、いちばん正確な言葉です。

「分かりません」と書くことは、いい加減な記録ではありません。いちばん正確な記録です。 そして、あとで別の事実が出てきたときに、記録が矛盾しません。
推測を書くときは「〜と思われる」と、はっきり分けて書いてください。

書き分けのくわしい例は 「転倒」と「発見」の書き分け にあります。

事故報告書に、必ず入れること

項目書き方(一例)
① 発見の時刻8月25日 10:20(最終確認 9:45
② 発見者介護職員 〇〇(目撃はしていない
③ 場所102号室 居室内、ベッド右側の床
④ 発見時の状況左側臥位。頭は足元側。ベッド高さ「中」、柵3本すべて上がっていた。床はクッションフロア、マットなし
⑤ 本人の第一声「トイレに行こうと思って」(言葉どおりに
⑥ 観察したこと意識清明。BP142/80、脈80、体温36.2。右肩に発赤3cm。変形・腫脹なし。頭部に外表所見なし。首の痛み・しびれなし
⑦ 対応動かさず観察 → 2名で座位へ介助 → 10:30 看護師〇〇へ連絡 → 10:45 医師△△へ報告

「最終確認 9:45」の1行が、いちばん大事です。 何時間そこにいたのかが分かります。長ければ、脱水・低体温も疑うことになります。

書き直さない・消さない

記録を書き直す・消す
□ 「飲んだ」と書いてから、あとで実は飲んでいなかったと気づいても直さない
□ 誰にも言わずに、次の勤務者の記録に任せる

まちがえたら、まちがえたと書く。これが、あなたを守る唯一の方法です。 記録を書き換えると、まちがい自体より重い問題になります。

他の方の名前を書かない

事故報告書は、あとで開示されることがあります。 他の利用者さんの名前を書くと、そこで問題になります。

書く時間を、業務時間の中に取る

疲れているときに書かないでください。 勤務が終わってから、思い出しながら書くと、精度が落ちます。

書く時間を業務時間の中に取ることは、施設の側で用意することです。 そして、初めての職員には、リーダーが横について一緒に書いてください。

数えて、様式を直す

数えること読み方(一例)
「特変なし」と書かれた件数0を目指す
推測と事実が混ざっていた件数様式か記入例の問題です
報告書が24時間以内に出た率低ければ書く時間の問題
「不明・記録なし」が多い様式の問題。「発見時刻」と「第一報の時刻」の2つの欄を作る

「特変なし」が多いときは、記入例を配ってください。何を見て何を書くかを、実例で示すのがいちばん早く直ります。 様式は 様式のダウンロード から印刷できます。

まとめ

この方は、どこに気をつける?

利用者さんの状態を選ぶと、注意する場面と部位が出ます。印刷して、カンファレンスの資料に使えます。

困りごとから調べる → 様式をダウンロード

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
  • 厚生労働省 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)に関する案内
  • 厚生労働省 労働安全衛生法に基づく事業場におけるメンタルヘルス対策・産業保健に関する指針
  • 公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業(ヒヤリ・ハット事例収集)
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 手順・寸法・時間は、すべて目安一例です。 判断に迷うこと、いつもと違うと感じたことは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。