なぜ「主治医の指示がないと入れられない」と言うのか
「デイに行きたい」と伝えたら、「お医者さんの指示がないとできません」と返ってきた。デイに行くだけなのに、と思います。
⚠ 「デイ」は2つあります。デイサービスは医師の指示が要りません。デイケア(リハビリのほう)は要ります。ショートステイも、特養のものは要らず、老健のものは要ります。
同じ呼び名で中身がちがうものが、現場でいちばん混ざります。◎ だから、まず「どちらの話でしょうか」と確かめると、話が一気に進みます。
もくじ
3つの決まりが、1組で動いています
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条の、第19号・第19号の2・第20号です。
| 号 | 中身 |
|---|---|
| 第19号 | 利用者が訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスの利用を希望している場合その他必要な場合には、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならない ⚠ 「求めるものとする」ではなく「求めなければならない」です。そして利用者の同意が先に要ります |
| 第19号の2 | 前号の場合において、居宅サービス計画を作成した際には、当該居宅サービス計画を主治の医師等に交付しなければならない ◎ 交付の方法は対面のほか、郵送やメール等でも差し支えない(老企第22号) |
| 第20号 | 医療サービスを位置付ける場合は主治の医師等の指示がある場合に限りこれを行う 医療サービス以外を位置付ける場合は、医学的観点からの留意事項が示されているときは、当該留意点を尊重してこれを行う |
「指示があるか確認する」までがケアマネジャーの義務で、指示を出すかどうかは医師が決めます。
だから「ケアマネさんが渋っている」ように見える場面の多くは、まだ医師に届いていないだけのことがあります。◎ 「意見はもう求めましたか」と聞くと、話が前に進みます。
⚠ 指示が要るのは、この7つです
第20号の「医療サービス」が何を指すのかは、条文には書かれていません。解釈通知(平成11年7月29日 老企第22号)が名指ししています。
訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、居宅療養管理指導、短期入所療養介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(訪問看護サービスを利用する場合に限る。)及び看護小規模多機能型居宅介護(訪問看護サービスを利用する場合に限る。)については、主治の医師等がその必要性を認めたものに限られるものであることから、介護支援専門員は、これらの医療サービスを居宅サービス計画に位置付ける場合にあっては主治の医師等の指示があることを確認しなければならない。
| 主治の医師等の指示が要るもの | この7つに入っていないもの |
|---|---|
| 訪問看護 | 訪問介護(ホームヘルプ) |
| 訪問リハビリテーション | 通所介護(デイサービス) |
| 通所リハビリテーション(デイケア) | 短期入所生活介護(特養等のショート) |
| 居宅療養管理指導 | 訪問入浴介護 |
| 短期入所療養介護(老健等のショート) | 福祉用具貸与・特定福祉用具販売 |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 (⚠ 訪問看護サービスを利用する場合に限る) | 認知症対応型通所介護 |
| 看護小規模多機能型居宅介護 (⚠ 訪問看護サービスを利用する場合に限る) | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) |
⚠ 右の欄も「医師と関係ない」という意味ではありません。第20号の後段があります。医療サービス以外でも、主治の医師等から医学的観点の留意事項が示されているときは、その留意点を尊重して位置付けることになっています。
デイサービスとデイケアは、まったく別です
⚠ ここが、現場でいちばん混ざるところです。
- 通所介護(デイサービス) …… 7つに入っていません。主治医の指示は要件ではありません
- 通所リハビリテーション(デイケア) …… ⚠ 7つに入っています。指示がある場合に限り位置付けられます
- 短期入所生活介護(特別養護老人ホーム等のショートステイ) …… 入っていません
- 短期入所療養介護(介護老人保健施設・介護医療院等のショートステイ) …… ⚠ 入っています
◎ 「デイに行きたい」と言われたときは、まずどちらの話かを確かめてください。デイサービスなら医師の指示は要件ではなく、デイケアなら要件です。同じ「デイ」でも、ケアマネジャーの返事が変わるのは、これが理由です。 "Day service" và "Day care" là hai thứ khác nhau. Day care (phục hồi chức năng) CẦN chỉ định của bác sĩ. Day service thì KHÔNG. Hãy hỏi rõ là loại nào trước.
◎ 「主治の医師等」は、主治医意見書を書いた医師に限りません
老企第22号に、はっきり書かれています。
また、ここで意見を求める「主治の医師等」については、要介護認定の申請のために主治医意見書を記載した医師に限定されないことに留意すること。
特に、訪問リハビリテーション及び通所リハビリテーションについては、医療機関からの退院患者において、退院後のリハビリテーションの早期開始を推進する観点から、入院中の医療機関の医師による意見を踏まえて、速やかに医療サービスを含む居宅サービス計画を作成することが望ましい。
◎ これは、退院支援のときに効きます。「かかりつけの先生の予約が来月なので待ちましょう」となりかけたら、入院中の主治医の意見でも進められることが通知に書かれていると伝えられます。
⚠ ただし、誰を「主治の医師等」とするかを決めるのはケアマネジャーです。押し切る話ではなく、選択肢として出す話です。
訪問看護には、もう1本べつの条文があります
ケアマネジャーの「確認義務」とは別に、訪問看護事業所の側にも条文があります。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第69条です。
| 項 | 中身 |
|---|---|
| 第1項 | 管理者は、主治の医師の指示に基づき適切な指定訪問看護が行われるよう必要な管理をしなければならない |
| 第2項 | ⚠ 指定訪問看護の提供の開始に際し、主治の医師による指示を文書で受けなければならない |
| 第3項 | 主治の医師に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を提出し、密接な連携を図らなければならない |
| 第4項 | 当該事業所が指定訪問看護を担当する医療機関である場合は、文書による指示と計画書・報告書の提出を診療記録への記載をもって代えることができる |
⚠ つまり、訪問看護をめぐっては「指示」が2か所で要求されています。
① ケアマネジャーが指示があることを確認する(省令38号 第13条第20号)
② 訪問看護事業所が文書で指示を受ける(省令37号 第69条第2項)
「訪問看護指示書」と呼ばれている書類は、②のためのものです。①と②は別のことなので、片方だけでは足りません。
被保険者証に書いてあることも、条文で縛られています
省令第38号第13条第24号です。ここも見落とされがちです。
介護支援専門員は、利用者が提示する被保険者証に、法第73条第2項に規定する認定審査会意見又は法第37条第1項の規定による指定に係る居宅サービス若しくは地域密着型サービスの種類についての記載がある場合には、利用者にその趣旨(種類の指定については、その変更の申請ができることを含む。)を説明し、理解を得た上で、その内容に沿って居宅サービス計画を作成しなければならない。
| 被保険者証の記載 | 効き方 |
|---|---|
| 認定審査会意見 | 法第27条第5項第2号の意見が、同条第7項第2号により被保険者証に記載されます。 ⚠ サービス事業者の側にも「配慮するよう努めなければならない」という条文があります(法第73条第2項) |
| サービスの種類の指定 | 法第37条第1項により、市町村が受けられるサービスの種類を指定できます。 ◎ ただし第2項に「変更の申請をすることができる」とあり、第13条第24号はその説明も義務づけています |
◎ 「うちのサービスは使えないと言われた」ときは、被保険者証にこの記載がないかを確かめてください。種類の指定であれば、変更の申請という道が条文に用意されています。
だから、こう言えば通ります
| 場面 | 言い方の型(いずれも一例です) |
|---|---|
| 「主治医の指示がないと」と言われた | 「主治の先生への意見照会は、もう出していますか。こちらから出せる情報があればお出しします」 =第19号は「意見を求めなければならない」義務です。止まっている場所が分かります |
| デイに行かせたい | 「デイサービスとデイケア、どちらの話でしょうか。」 =デイケア(通所リハ)だけが7つに入っています |
| 退院後すぐリハビリに入れたい | ◎ 「入院中の先生のご意見でも進められると通知にあると聞きました。その形は取れますか」 =老企第22号が「望ましい」と書いている場面です |
| 訪問看護が始まらない | 「訪問看護指示書は、もう事業所に届いていますか。」 =省令37号第69条第2項。ケアマネジャーの確認とは別に、事業所が文書で受け取る必要があります |
| サービスが使えないと言われた | 「被保険者証に、サービスの種類の指定は入っていますか。」 =法第37条第1項。◎ 入っていれば、変更の申請ができることになっています(同条第2項) |
ここから先は、本当に無理です
| 線 | 中身 |
|---|---|
| 法令上の線 (言い方では動きません) | ⚠ 7つの医療サービスを、指示がないまま計画に位置付けることはできません。第20号は「指示がある場合に限り」と書いています。 また、訪問看護は事業所が文書で指示を受けないと開始できません(省令37号 第69条第2項)。「口頭で聞いています」では足りません。 そして、指示を出すかどうかを決めるのは医師です。ケアマネジャーにも事業所にも決められません |
| 相談できる線 | どの医師を「主治の医師等」とするか(主治医意見書の医師に限りません)/意見照会をいつ出すか/計画の交付の方法(郵送・メール可)/被保険者証の種類指定について変更の申請をするか |
記録にどう残すか
指示の有無を確認したとき
11:15 ケアマネジャー〇〇へ、通所リハビリテーションの利用開始時期を確認。「主治医への意見照会を〇月〇日に出しており、回答待ち。回答があり次第、担当者会議を設定する」との回答。こちらからは〇〇の状況について情報提供の用意がある旨を伝達。
デイの種類を取り違えていたとき
15:40 家族より「デイに行かせたい」との相談。通所介護(デイサービス)と通所リハビリテーション(デイケア)で手続きが異なることを説明。ご希望はリハビリを受けたいとのことであったため、デイケアは主治医の指示が要件になる旨を伝え、ケアマネジャー〇〇へ引き継ぐ。
◎ 「どちらのサービスの話か」を記録に書いておいてください。あとから「言った・言わない」になりやすいのは、たいていここです。
まとめ
- 第19号=医療サービス希望時は利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならない
- 第19号の2=作成した計画を主治の医師等に交付しなければならない(◎ 郵送・メール可)
- 第20号=医療サービスは指示がある場合に限り位置付ける/医療サービス以外も留意事項が示されていれば尊重
- ⚠ 指示が要るのは通知が名指しする7つ(訪問看護/訪問リハ/通所リハ/居宅療養管理指導/短期入所療養介護/定期巡回・随時対応型訪問介護看護と看護小規模多機能型居宅介護は訪問看護を使う場合に限る)
- ⚠ 通所介護(デイサービス)と短期入所生活介護は、この7つに入っていない
- ◎ 「主治の医師等」は主治医意見書を書いた医師に限られない。退院時は入院中の医師の意見でも進められる(老企第22号)
- ⚠ 訪問看護は事業所が文書で指示を受けるという別の条文がある(省令37号 第69条第2項)
- 第24号=被保険者証の認定審査会意見・サービスの種類の指定には沿って作らなければならない。◎ 種類の指定は変更の申請ができる(法第37条第2項)
やさしい 日本語(にほんご)
1 なにが おきますか
「デイに 行(い)きたい」と 言(い)いました。
ケアマネジャーが 言います。
「お医者(いしゃ)さんの 指示(しじ)が ないと できません」
あなたは 思(おも)います。「デイに 行くだけ なのに?」
2 なぜ そう 言(い)いますか
⚠ 「デイ」は 2つ あります。
◇ デイサービス(通所介護/つうしょかいご)
…… お医者さんの 指示は いりません。
◇ デイケア(通所リハビリテーション)
…… お医者さんの 指示が いります。
法律(ほうりつ)に 「指示が ある ときだけ」と 書(か)いて あります。
「だけ」です。ケアマネジャーは 変(か)えられません。
ショートステイも 2つ あります。
特養(とくよう)の ショートは 指示 いりません。
老健(ろうけん)の ショートは 指示が いります。
3 あなたは どう 言(い)いますか
- ◎ まず 聞(き)いて ください。
「デイサービスですか、デイケアですか」 - 「お医者さんに、もう 聞(き)きましたか」
——ケアマネジャーは 聞(き)く 義務(ぎむ)が あります。まだ かも しれません。 - ◎ 病院(びょういん)から 帰(かえ)った ばかりの とき——
「入院中(にゅういんちゅう)の 先生(せんせい)の 意見(いけん)でも いいと 聞(き)きました」
——国(くに)の 通知(つうち)に 書いて あります。
4 これは できません
◇ 指示が ないまま、デイケアや 訪問看護(ほうもんかんご)を はじめる——できません。
◇ 訪問看護は「口(くち)で 聞いた」では だめです。紙(かみ)が いります。
◇ 指示を 出(だ)すか どうかを 決(き)めるのは お医者さんです。
ケアマネジャーでは ありません。
※ この ページは 日本(にほん)の 法律に ついて 書いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
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何を伝えて、何を聞くか。1枚に収まる形にしています。いずれも一例です。項目は事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。
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- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第19号・第19号の2・第20号・第24号
- 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」平成11年7月29日 老企第22号(令和6年度改定版)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第69条
- 介護保険法(平成9年法律第123号)第27条第5項・第7項、第37条、第73条第2項
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。