なぜ「誰に連絡した?」と真っ先に聞かれるのか
事故のあと、管理者が真っ先に聞くのはたいていこれです。「ご家族には連絡した? 誰に? 何時に?」——手当のことより先に聞かれると、順番が違う気がします。
◎ 国が配っている事故報告の様式に、そのための欄があるからです。「家族等への報告」——報告した方の続柄と報告年月日を書く欄です。
そして、その報告書は事故のあと5日以内を目安に出すことになっています。⚠ あとから思い出して書くには、5日は短い。だから、その場で聞かれます。
もくじ
様式に「続柄」と「報告年月日」の欄があります
令和6年11月29日 老高発1129第1号・老認発1129第1号・老老発1129第1号「介護保険施設等における事故の報告様式等について(通知)」——介護保険最新情報Vol.1332です。⚠ 厚生労働省老健局の3つの課の連名で出ています。
この様式には、事故の概要、発生時の対応、発生後の状況、原因分析、再発防止策……といった項目が並びます。そのなかに「家族等への報告」の欄があり、報告した家族等の続柄と報告年月日を書きます。
◎ 「連絡したかどうか」ではなく「誰に、いつ」まで書く欄になっています。
管理者が真っ先に聞くのは、心配だからでもあり、ここが空くと報告書が出せないからでもあります。⚠ 「ご家族に連絡しました」だけでは、欄が埋まりません。
◎ 5日以内が目安。原因は待たなくていい
同じ通知に、出し方が書かれています。
第1報 少なくとも第1〜6項目について、事故発生後速やかに、遅くとも5日以内を目安に提出すること。
その後 状況の変化等必要に応じて、追加の報告を行い、事故の原因分析や再発防止策等については、作成次第報告すること。
◎ 「原因が分かってから」ではありません。先に出して、あとから足す形が通知の想定です。⚠ 「まだ原因が分からないので」と抱えているうちに5日が過ぎる——これがいちばん避けたい形です。
⚠ そして報告の対象になる事故の範囲は、市町村によって違います。国が全国そろえたのは2つだけで、そのほかは各自治体の取扱いによる、と通知に書かれています。そこは なぜ事故の報告基準が市町村ごとに違うのか に整理しました。
連絡そのものは、報告とは別の義務です
⚠ 市町村への「報告」と、ご家族への「連絡」は、別の話です。報告の対象にならない事故でも、連絡の義務は消えません。
指定居宅サービス等基準(平成11年厚生省令第37号)第37条第1項(訪問介護)
……事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
指定介護老人福祉施設基準(同第39号)第35条第2項
……事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
| 効き方 | |
|---|---|
| ご家族への連絡 | ⚠ 条文の義務。「速やかに」とあります。◎ 報告対象かどうかと関係なくかかります |
| 市町村への報告 | 通知の様式による報告。対象は死亡・治療が必要になった事故+各自治体の取扱い |
| 記録 | ⚠ 条文の義務。事故の状況と採った処置。完結の日から2年間保存 |
⚠ 訪問介護の条文は、連絡先に「当該利用者に係る居宅介護支援事業者等」——つまりケアマネジャーを明記しています。◎ ご家族に連絡して終わり、ではありません。
⚠ 「続柄」を書く欄がある、ということの意味
様式が続柄を求めているということは、「ご家族の誰に伝えたか」が、あとから分かる形で残るということです。
⚠ だから「連絡先の方」と「実際に介護に関わっている方」が違う場合、そこが表に出ます。長男が連絡先になっているけれど、実際に通ってきているのは長女——という形は珍しくありません。どちらに伝えたかで、あとの受け取られ方が変わることがあります。
◎ 迷ったら、事業所の連絡先一覧に登録されている方を優先し、そのうえで「ほかにお伝えする方はいらっしゃいますか」と聞いてください。それも記録に残します。 Mẫu báo cáo có ô ghi "quan hệ với người dùng" (con trai, con gái...). Vì vậy hãy ghi rõ ĐÃ BÁO CHO AI, LÚC MẤY GIỜ.
だから、こう伝えれば通ります
管理者に渡すときは、様式の欄に入る形でそのまま言うと、いちばん早いです。
| 場面 | 言い方の型(いずれも一例です) |
|---|---|
| 管理者に報告するとき | ◎ 「〇時〇分、長女の〇〇様に電話でお伝えしました。受診の予定と、いまの状態をご説明しています」 =時刻・続柄・氏名・手段・伝えた中身。これで様式の欄が埋まります |
| ご家族に電話するとき | 「〇時〇分に、〇〇で転倒されました。いま〇〇をしています。結果が出次第、あらためてご連絡します。」 =⚠ 費用・責任の話はしない(→ 賠償の記事) |
| 誰に連絡すればいいか迷う | 「連絡先の一覧では〇〇様になっています。この方でよろしいでしょうか」 =迷ったら管理者に一言。判断を1人で背負わない |
| ほかにも伝える人がいそう | 「ほかにお伝えしたほうがよい方はいらっしゃいますか。」 =◎ 聞いておくと、あとの行き違いが減ります |
つながらないとき
◎ 「つながらなかった」も、そのまま記録してください。条文は「速やかに連絡を行う」と求めていますが、相手が出ないことまで防げとは書かれていません。
残すのは3つです。◎ ①かけた時刻 ②かけた先(続柄と氏名) ③つながらなかったこと・留守番電話に入れたかどうか。そして次にいつかけ直すかを決めて、それも書きます。
⚠ 「何度かかけました」ではなく、時刻を並べてください。「16:05/16:40/17:20 いずれも応答なし」——これが、いちばん強い記録になります。
記録にどう残すか
つながったとき
〇月〇日 12:05 長女 〇〇様(続柄:長女)へ電話にて連絡。11:20 に居室内で転倒されたこと、現在の状態、これから受診することをお伝えした。「受診結果が出たら再度連絡してほしい」とのご要望。15:30 受診結果を再度連絡。
つながらなかったとき
〇月〇日 16:05/16:40/17:20 長男 〇〇様(続柄:長男)へ電話するも、いずれも応答なし。17:20 に留守番電話へ、折り返しのお願いを残す。明朝8:30 に再度連絡予定。管理者〇〇へ状況を報告ずみ。
◎ 続柄と時刻。この2つが入っていれば、事故報告書にそのまま書き写せます。⚠ あとから思い出して書くと、たいてい時刻が曖昧になります。電話を切ったその場で、メモだけでも残してください。
まとめ
- 国の事故報告様式(Vol.1332)に「家族等への報告」欄があり、続柄と報告年月日を書きます
- ◎ 第1報は「速やかに、遅くとも5日以内を目安」。原因分析・再発防止策は作成次第でよい
- ⚠ 市町村への「報告」と、ご家族への「連絡」は別の義務です。報告対象でない事故でも、連絡と記録はかかります
- ⚠ 訪問介護の条文は、連絡先にケアマネジャー(居宅介護支援事業者等)を明記しています
- ⚠ 「連絡先の方」と「実際に関わっている方」が違うことがあります。迷ったら管理者に一言、そして「ほかにお伝えする方は」と聞く
- ◎ つながらなかったことも記録する。「何度か」ではなく時刻を並べる
- ◎ 渡し方の型=時刻・続柄・氏名・手段・伝えた中身。これで様式の欄が埋まります
やさしい 日本語(にほんご)
1 なにが おきますか
事故(じこ)が おきました。
管理者(かんりしゃ)が いちばん さきに 聞(き)きます。
「家族(かぞく)に 連絡(れんらく)した? だれに? 何時(なんじ)に?」
あなたは 思(おも)います。「けがの ほうが 先(さき)では?」
2 なぜ さきに 聞(き)きますか
◎ 国(くに)の 用紙(ようし)に、書(か)く らんが あるからです。
◇ だれに 言(い)ったか(続柄/つづきがら=長男・長女など)
◇ いつ 言ったか(日(ひ)にち)
そして その 用紙は 5日(か)いないに 出(だ)します。
⚠ あとから 思(おも)い出(だ)すには、5日は みじかいです。
3 だいじな こと
◎ 原因(げんいん)が わからなくても、先(さき)に 出して いいです。
原因は あとから 書きます。
4 あなたは こう 言(い)います
◎ この 5つを 言(い)って ください。
「12時5分に、長女(ちょうじょ)の 〇〇さんに、電話(でんわ)で、転倒(てんとう)と いまの ようすを、つたえました」
◇ 何時(なんじ) ◇ だれ(つづきがら) ◇ 名前(なまえ) ◇ 電話か 会(あ)ってか ◇ 何を 言ったか
5 電話(でんわ)が つながらない とき
◎ つながらなかった ことも 書(か)いて ください。
⚠ 「何回(なんかい)か かけました」 …… だめ
◎ 「16:05/16:40/17:20 出(で)ませんでした」 …… いい
※ この ページは 日本(にほん)の 法律に ついて 書いて います。市(し)や 町(まち)で きまりが ちがう ことが あります。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
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続柄と、つながる時間帯を書いておける形にしています。いずれも一例です。事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。
様式をダウンロード → 困りごとから調べる根拠にした資料
- 厚生労働省老健局高齢者支援課長・認知症施策・地域介護推進課長・老人保健課長「介護保険施設等における事故の報告様式等について(通知)」令和6年11月29日 老高発1129第1号・老認発1129第1号・老老発1129第1号(介護保険最新情報Vol.1332)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第37条・第39条
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第35条・第37条
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。