なぜ生活相談員の仕事の範囲は、事業所ごとに違うのか
「それは相談員の仕事でしょう」「いや、うちではやっていません」。前の職場と範囲がまったく違って、どちらが正しいのか分からなくなります。
⚠ どちらも正しいのです。介護の決まりを機械で全部さがしましたが、生活相談員の「仕事の中身」を決めた条文が、ひとつも見つかりませんでした。出てくるのは何人置くかと常勤かどうかと兼ねてよいかだけです。
◎ では、どこで決まっているか。事業所の「運営規程」です。決まりは「従業者の職種、員数及び職務の内容」を運営規程に書けと求めています。◎ つまり、確かめる場所があります。
もくじ
全部さがして、出てきたのは「人数」だけでした
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)と、指定介護老人福祉施設の基準(同第39号)の全文を機械で検索しました。
⚠ 「生活相談員」が出てくるのは、省令第37号で18か所、省令第39号で7か所。その中身は、次のどれかだけでした。
- 何人置くか(例:特養は「入所者の数が百又はその端数を増すごとに一以上」)
- 常勤でなければならないか(例:特養の生活相談員は常勤)
- 兼ねてよいか/置かないことができるか(併設事業所などの読み替え)
⚠ 「生活相談員は〇〇を行う」と書いた条文は、確認した範囲で見つかりませんでした。
これが答えです。仕事の中身が決まっていないので、事業所が決めています。
⚠ 「前の職場ではやっていた/やっていなかった」は、記憶違いではありません。そして「これは相談員の仕事ではない」と言い切れる条文も、同じように存在しません。
◎ 唯一、仕事らしいことが書かれている1か所
特養の基準に、1か所だけあります。入所者が居宅で日常生活を営めるかどうかを定期的に検討するという条文の、次の項です。
前項の検討に当たっては、生活相談員、介護職員、看護職員、介護支援専門員等の従業者の間で協議しなければならない。(省令第39号 第7条第5項)
◎ ここでも、生活相談員は「協議するメンバーの1人」として出てくるだけです。生活相談員だけの仕事として書かれているものは、ありません。
ケアマネジャーやサ責と比べると、はっきりします
| 職種 | 仕事の中身を書いた条文 |
|---|---|
| 介護支援専門員 | ◎ 省令第38号 第13条に第1号から第27号まで。アセスメント、担当者会議、同意、交付、モニタリング、主治医への意見照会……一連の業務がすべて条文 |
| サービス提供責任者 | ◎ 省令第37号 第24条(訪問介護計画)+第28条第3項の8つ。利用の申込みの調整、意向の把握、情報提供、担当者会議への出席、指示、研修…… |
| 生活相談員 | ⚠ 員数と常勤要件と兼務の可否だけ。職務を定めた条文は、確認した範囲でありません |
⚠ これは「軽い仕事だ」という意味ではまったくありません。むしろ逆で、条文が枠をくれないので、何をどこまでやるかを、その事業所で決めなければならないという話です。 Luật KHÔNG quy định công việc cụ thể của "nhân viên tư vấn đời sống". Chỉ quy định SỐ NGƯỜI. Vì vậy mỗi cơ sở tự quyết định — nên khác nhau là đương nhiên.
◎ 決めているのは「運営規程」です
省令第37号第29条(施設なら対応する条)です。
指定訪問介護事業者は、……次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(運営規程)を定めておかなければならない。
一 事業の目的及び運営の方針
二 従業者の職種、員数及び職務の内容
三 営業日及び営業時間 ……(以下略)
◎ 「職務の内容」は、運営規程に書くことになっています。つまり——あなたの仕事の範囲は、条文ではなく、あなたの事業所の運営規程に書いてあります。
◎ 運営規程は、見せてもらえるものです。事業所には掲示等の義務があり、契約のときの重要事項説明にも関わります。「うちの運営規程を見せていただけますか」は、まったく失礼な質問ではありません。
⚠ 資格の要件も、実は介護保険の決まりの外にあります
特養の生活相談員の資格要件は、介護保険法の省令ではなく、老人福祉法に基づく省令にあります。特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条第2項です。
生活相談員は、社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。
⚠ 「これと同等以上の能力を有すると認められる者」——誰が認めるのかは、書かれていません。◎ ここが、都道府県によって扱いが変わる入口です。社会福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員・一定の実務経験などを、独自に加えている自治体があります。
そして⚠ 通所介護の生活相談員については、省令第37号に資格要件を定めた条文がありません。こちらも自治体の条例や解釈によります。だから「隣の市では認められるのに」ということが起きます。
だから、こう言えば通ります
| 場面 | 言い方の型(いずれも一例です) |
|---|---|
| 「それは相談員の仕事でしょう」 | ◎ 「うちの運営規程では、誰の職務になっていますか。一度そろえておきたいです」 =◎ 押し返すのではなく、書いてある場所に戻す言い方です |
| 前の職場と違う | 「前のところでは相談員がやっていた範囲です。こちらではどうなっていますか」 =⚠ どちらが正しいかではありません。事業所ごとに決めるものです |
| 仕事が際限なく増える | 「運営規程に書かれている職務の内容を、一度見直していただけませんか。」 =◎ 個人の負担の話ではなく、規程の話にすると通りやすくなります |
| 新しく入った人に説明する | 「法令には相談員の職務が書かれていないので、うちの運営規程で決めています。これです」 =◎ 最初にこれを言えると、あとの「聞いていない」が減ります |
| 資格要件を聞かれた | 「都道府県によって扱いが違うので、保険者にご確認ください。」 =⚠ 「同等以上の能力を有すると認められる者」の範囲が、地域で違います |
ここから先は、確かめてください
| 中身 | |
|---|---|
| 条文で決まっていること | 置く人数/常勤かどうか/兼務や不設置ができる場合/運営規程に職務の内容を書くこと ⚠ ここは動きません |
| 事業所が決めること | ◎ 職務の内容そのもの。運営規程に書かれています。◎ 見せてもらってください |
| 自治体によって違うこと | ⚠ 資格要件の「同等以上の能力を有すると認められる者」の範囲/通所介護の相談員の資格の扱い 保険者に聞くのが確実です |
記録にどう残すか
職務の範囲を確かめたとき
〇月〇日 管理者〇〇に、〇〇(業務名)が誰の職務に当たるかを確認。運営規程では〇〇の職務として記載されている/記載がないことを確認した。記載がない業務については、〇月の会議で整理することとなる。
◎ 「言った・言わない」になりやすいのが、まさにこの職種です。条文が枠をくれないぶん、事業所の中で決めた形を、書いて残しておくことが効きます。
まとめ
- ⚠ 省令第37号・第39号を全文検索した範囲で、生活相談員の「職務」を定めた条文はありません。出てくるのは員数・常勤要件・兼務の可否だけ
- 唯一の例外らしき記述も、「生活相談員、介護職員、看護職員、介護支援専門員等の従業者の間で協議」——協議メンバーの1人としての登場です
- 対照:ケアマネジャーは第13条に第1号〜第27号、サービス提供責任者は第24条+第28条第3項の8つ
- ◎ 職務の内容を決めているのは「運営規程」(省令第37号 第29条第2号「従業者の職種、員数及び職務の内容」)。◎ 見せてもらえます
- ⚠ 資格要件は老人福祉法の省令(省令第46号 第5条第2項)にあり、「これと同等以上の能力を有すると認められる者」の範囲は自治体で違います
- ⚠ 通所介護の生活相談員には、省令に資格要件の条文がありません
- ◎ 「それは相談員の仕事か」は、運営規程に戻して話すといちばん早い
やさしい 日本語(にほんご)
1 なにが おきますか
「それは 相談員(そうだんいん)の 仕事(しごと)でしょう」
「いいえ、うちでは やって いません」
前(まえ)の 職場(しょくば)と、ぜんぜん ちがいます。
2 なぜ ちがいますか
◎ どちらも 正(ただ)しいです。
法律(ほうりつ)を ぜんぶ さがしました。
⚠ 「生活相談員は 〇〇を する」と 書(か)いた ところが、ありませんでした。
書いて あるのは 3つ だけです。
◇ 何人(なんにん)おくか ◇ 常勤(じょうきん)か ◇ ほかの 仕事と かねて いいか
3 では、どこで きまりますか
◎ 事業所(じぎょうしょ)の「運営規程(うんえいきてい)」です。
法律に 「職務(しょくむ)の 内容(ないよう)を 運営規程に 書く」と あります。
◎ 運営規程は、見(み)せて もらえます。
4 あなたは こう 言(い)います
- ◎ 「うちの 運営規程では、だれの 仕事に なって いますか」
——けんかに なりません。書いて ある 場所(ばしょ)に もどす 言い方です。 - ◎ 新(あたら)しい 人(ひと)に——
「法律には 書いて いません。うちの 運営規程で 決(き)めて います」
5 これは まちがいでは ありません
◇ 前の 職場と ちがう ——ふつうの ことです
◇ となりの 市(し)と ちがう ——資格(しかく)の きまりも、市や 県(けん)で ちがいます
※ この ページは 日本(にほん)の 法律に ついて 書いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の 運営規程を、いちど 見(み)せて もらって ください。
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誰の仕事かをそろえるときの、たたき台にしています。いずれも一例です。事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。
様式をダウンロード → 困りごとから調べる根拠にした資料
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条・第121条・第175条・第29条ほか(全文を機械検索)
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第2条・第7条(全文を機械検索)
- 特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条
- 社会福祉法(昭和26年法律第45号)第19条第1項
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条(対照のため)
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。