車いす ——合っていない車いすが、事故を起こす
すねのあざ、ずり落ち、むせ、おしりの赤み。別々の事故に見えますが、同じ1台の車いすから起きていることがあります。 合っていない車いすは、事故を起こすだけでなく、座っていられる時間を削り、人と会う機会を減らし、食べる力を落とします。
この区分の8本は、介護職が自分でできること——名前をそろえる、順番を守る、指で測る、手でなでる、記録に残す——に絞りました。 車いすを選び、調整するのは専門職の仕事です。気づいて報告するところまでが、介護職の仕事です。
「この変更は、その方が今できていることを、何か1つでも奪っていないか。」
車いすを替えるとき、判断に迷ったときの、ひとつの問いです。奪うのなら、それに見合う理由があるか。チームで言葉にして、記録に残す。
車いすの事故は、4つの型に分かれます
車いすで起きる事故は、ばらばらに見えて、実は4つの型にまとまります。どの型も、毎日の短い確認で早く気づけます。気づいたら、選び直しや調整ができる人(理学療法士・作業療法士・福祉用具の担当者など)につなぐのが、介護職の役目です。
| 型 | 毎日見るところ | 最初に読む記事 |
|---|---|---|
| ずり落ち・転落 | クッションを手で押して、底に手が当たらないか/座り直しの回数が増えていないか | 座面クッションが合っていないと、何が起きるか |
| すね・前腕のあざ | フットサポートとアームサポートの角/同じ場所にくり返していないか | フットサポート・アームサポートの型べつリスク |
| 食事のときのむせ | あごが上がっていないか/ティルトの角度が食事のときも同じになっていないか | ティルトとリクライニングは別のもの |
| おしりの赤み | 座っている時間/クッションのへたりと向き | 座面クッションと寸法の測り方 |
「車いすを替える」の前に、順番があります
合っていないと感じたとき、いきなり別の車いすやティルト式に替えたくなります。けれど多くの場合、先に見直すのはクッション、次に寸法(座幅・奥行き・足の高さ)、その次に体の支えです。替えると、その方が今できていること(自分でこぐ、足で床を蹴る、立ち上がる)を失うことがあります(ティルトは上位互換ではない)。替えるかどうかは、何を得て何を失うかをチームで言葉にしてから決め、記録に残します。
施設の車いすと、在宅の車いす
施設で使う車いすは、原則として施設が用意するものです。在宅で使う介護保険の福祉用具貸与は、施設に入っている間は使えません。そのため施設では、理想の1台がすぐには来ないことがあります。そのときは、あるもので補い、「何を我慢しているか」を記録に1行残してください。次に相談するときの材料になります(理想の車いすがないとき、何で補うか)。
相談するときに持っていくもの
- 真横から撮った写真1枚(座っている姿勢が分かるもの)
- 指とこぶしで測った寸法(座幅は指2〜3本、奥行きはこぶし1つが目安。測り方)
- いつから、どのくらいの頻度で起きているか(あざなら部位べつの数)
記事 8本
どこから読むか
| いま困っていること | 読む順番 |
|---|---|
| ずり落ちる・座り直しが多い | クッション → 寸法 → ティルトは上位互換ではない |
| すね・ひじにあざがくり返す | フットサポート・アームサポート → すねのあざと車いす → 部品の名前 |
| ティルトの方がむせる・おしりが赤い | ティルトとリクライニング → むせない誤嚥 |
| 車いすを替えたい・替えるべきか迷う | 16のサイン → 選ぶ順番 → ないときの補い方 |
| 申し送りが伝わらない・外国人職員に教えたい | 部品の名前(ベトナム語・英語つき) → 移乗の用語 |
この区分のもとになったのは、『介護事故防止 実務マニュアル』の巻末付録A・B・C(食事の姿勢と車いす/車いすの機能べつ事故リスク早見表/車いすの選び方と替えどき)です。 本では、施設の車いすを全台見直すときの進め方まで載せています。本のご案内
あわせて読む
根拠にした資料
- 『介護事故防止 実務マニュアル』巻末付録A「食事の姿勢/介助レベルべつの誤嚥リスク」、付録B「車いすの機能べつ 事故リスク早見表」、付録C「車いすの選び方と、替えどき」
- 日本産業規格 JIS T 9201(手動車いす)の用語・寸法
- 車いす・クッション・装具の各メーカーが公表している取扱説明書と、適合の考え方
- 厚生労働省「介護保険における福祉用具」(福祉用具貸与の対象と、施設入所中の扱い)
ベトナム語・英語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。