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車いす

車いす ——合っていない車いすが、事故を起こす

すねのあざ、ずり落ち、むせ、おしりの赤み。別々の事故に見えますが、同じ1台の車いすから起きていることがあります。 合っていない車いすは、事故を起こすだけでなく、座っていられる時間を削り、人と会う機会を減らし、食べる力を落とします。

この区分の8本は、介護職が自分でできること——名前をそろえる、順番を守る、指で測る、手でなでる、記録に残す——に絞りました。 車いすを選び、調整するのは専門職の仕事です。気づいて報告するところまでが、介護職の仕事です。

最終更新:2026年10月 / 高齢者支援実務研究所

「この変更は、その方が今できていることを、何か1つでも奪っていないか。」

車いすを替えるとき、判断に迷ったときの、ひとつの問いです。奪うのなら、それに見合う理由があるか。チームで言葉にして、記録に残す。

車いすの事故は、4つの型に分かれます

車いすで起きる事故は、ばらばらに見えて、実は4つの型にまとまります。どの型も、毎日の短い確認で早く気づけます。気づいたら、選び直しや調整ができる人(理学療法士・作業療法士・福祉用具の担当者など)につなぐのが、介護職の役目です。

型毎日見るところ最初に読む記事
ずり落ち・転落クッションを手で押して、底に手が当たらないか/座り直しの回数が増えていないか座面クッションが合っていないと、何が起きるか
すね・前腕のあざフットサポートとアームサポートの角/同じ場所にくり返していないかフットサポート・アームサポートの型べつリスク
食事のときのむせあごが上がっていないか/ティルトの角度が食事のときも同じになっていないかティルトとリクライニングは別のもの
おしりの赤み座っている時間/クッションのへたりと向き座面クッションと寸法の測り方

「車いすを替える」の前に、順番があります

合っていないと感じたとき、いきなり別の車いすやティルト式に替えたくなります。けれど多くの場合、先に見直すのはクッション、次に寸法(座幅・奥行き・足の高さ)、その次に体の支えです。替えると、その方が今できていること(自分でこぐ、足で床を蹴る、立ち上がる)を失うことがあります(ティルトは上位互換ではない)。替えるかどうかは、何を得て何を失うかをチームで言葉にしてから決め、記録に残します。

施設の車いすと、在宅の車いす

施設で使う車いすは、原則として施設が用意するものです。在宅で使う介護保険の福祉用具貸与は、施設に入っている間は使えません。そのため施設では、理想の1台がすぐには来ないことがあります。そのときは、あるもので補い、「何を我慢しているか」を記録に1行残してください。次に相談するときの材料になります(理想の車いすがないとき、何で補うか)。

相談するときに持っていくもの

記事 8本

車いすの部品の名前 ——「あの足のところ」では、伝わらない 13の部品の図と、日本語・ベトナム語・英語。その部品が、どの事故と関係するか。6つの機種の見分け方も。 申し送りの共通の言葉・詰所に貼る ティルトとリクライニングは別のもの リクライニング=ずれる。ティルト=ずれない。ティルトが先、リクライニングが後。倒したら10秒の背抜き・尻抜き。ティルトの方の食事介助12手順。 背抜き・枕とセット・角度はラベルで ティルトは上位互換ではない ——替えると失う6つのこと 順番はクッション → 寸法 → 支え → そこで、はじめてティルト。いきなりティルトが、いちばん多いまちがい。 選ぶ順番・状態べつ早見表 車いすの替えどき 16のサイン 1つでも当てはまれば、相談する理由になる。12番「こがなくなった」だけは、先に車いすを疑う。誰に、何を持って相談するか。 気づくのは、いつも介護職 車いすの寸法が合っているか、指とこぶしで測る 座幅は指2〜3本、奥行きはこぶし1つ、ひざ90度、肩が上がらない。道具はいりません。真横から写真を1枚。 6か所・5分で終わる 理想の車いすがないとき、何で補うか あるもので代用するのは、悪いことではない。「何を我慢しているか」を記録に1行。7組の補い方。倉庫を見る。 代用の記録・費用は相談員へ 座面クッションが合っていないと、何が起きるか ずり落ちの、いちばん多い原因。車いすを替える前に、ここを見る。へたり・裏返し・ずれ。毎日1分の4つ。2週間の記録。 いちばん安くて、いちばん効く部品 フットサポート・アームサポートの型べつリスク 固定式はすねが当たる。便利な型ほど、事故の種類が増える——戻し忘れ・付け忘れ・ロック不完全・挟み込み。声に出す。毎日1分・月1回15分の点検表。 「フットサポート、上げます」

どこから読むか

いま困っていること読む順番
ずり落ちる・座り直しが多いクッション → 寸法 → ティルトは上位互換ではない
すね・ひじにあざがくり返すフットサポート・アームサポート → すねのあざと車いす → 部品の名前
ティルトの方がむせる・おしりが赤いティルトとリクライニング → むせない誤嚥
車いすを替えたい・替えるべきか迷う16のサイン → 選ぶ順番 → ないときの補い方
申し送りが伝わらない・外国人職員に教えたい部品の名前(ベトナム語・英語つき) → 移乗の用語

この区分のもとになったのは、『介護事故防止 実務マニュアル』の巻末付録A・B・C(食事の姿勢と車いす/車いすの機能べつ事故リスク早見表/車いすの選び方と替えどき)です。 本では、施設の車いすを全台見直すときの進め方まで載せています。本のご案内

「すねのあざが今月8件」——数えると、車いすが見えます

部位べつの集計表とボディマップは、様式のページにあります。月1回数えると、どの車いすの、どの部品を見るかが決まります。登録は要りません。

様式を見る → 困りごとから調べる

根拠にした資料

この区分の記事は、次の資料をもとに整理しています。
  • 『介護事故防止 実務マニュアル』巻末付録A「食事の姿勢/介助レベルべつの誤嚥リスク」、付録B「車いすの機能べつ 事故リスク早見表」、付録C「車いすの選び方と、替えどき」
  • 日本産業規格 JIS T 9201(手動車いす)の用語・寸法
  • 車いす・クッション・装具の各メーカーが公表している取扱説明書と、適合の考え方
  • 厚生労働省「介護保険における福祉用具」(福祉用具貸与の対象と、施設入所中の扱い)
この区分について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 寸法・角度・時間は、すべて目安です。車いすの選定・調整は、理学療法士・作業療法士・福祉用具専門相談員・医師の評価によります。必ず多職種で決め、記録に残してください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語・英語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。