座面クッションが合っていないと、何が起きるか ——車いすを替える前に、ここを見る
ずり落ちる方をティルトに替える前に、クッションを見てください。 いちばん多い原因は、車いすではなくクッションです。へたっている。裏返しに入っている。前後が逆。体に合っていない。
クッションを替えるだけで、ずり落ちが止まることがよくあります。 ここを飛ばして車いすを替えると、新しい車いすでも同じことが起きます。 この記事は、クッションが合っていないと何が起きるか、毎日1分で見ること、2週間の試し方をまとめたものです。
合っていないと、何が起きるか
| クッションの状態 | 起きること |
|---|---|
| へたっている | 褥瘡と、ずり落ちが増えます。坐骨・仙骨に圧が集中する。座面が低くなって、ひざが上がり、骨盤が後ろに倒れる |
| 裏返し・前後が逆 | 形が体に合わない。前が高いはずのものが後ろに来て、前にすべる。座り直しても、すぐ戻る |
| ずれて入っている | 座面の前や横にすき間ができ、体が片側に傾く。アームサポートに寄りかかって、ひじ・上うでにあざ |
| カバーがすべる | 体が前にすべる。仙骨座りになる。あごが上がって、誤嚥にもつながる |
| 厚みが合わない | 厚すぎ → 足が床に届かない・アームが低くなる。薄すぎ → 坐骨に圧。寸法は、クッションを入れた状態で合わせる |
| 湿っている・汚れている | 皮ふがふやけて、こすれに弱くなる。赤み・褥瘡の入口 |
ずり落ちも、おしりの赤みも、ひじのあざも、同じクッションから起きていることがあります。
「その方」ではなく「そのクッション」を見てください。5秒で分かることが多い場所です。
16のサインのうち、1(30分でずり落ちる)・2(行くたびに座り直し)・7(座っていられる時間が短くなった)・8(仙骨・尾骨・坐骨の赤み)は、まずクッションに向かうサインです。 車いすの替えどき 16のサインに。
毎日1分 — 座っていただく前に見る4つ
- 正しい向きで入っているか。前後・上下。カバーのタグや、メーカーの表示で見る。裏返しになっていないか
- 座面の奥までぴったり入っているか。前や横にすき間がないか。ずれていないか
- 座面・背もたれに異物がないか。リモコン・タオル・食べこぼし。クッションの下にも
- 座ったあと、深く座れているか。足底が接地しているか。体が左右に傾いていないか
「裏返しに入っていた」は、恥ずかしいことではありません。よく起きることです。 洗って戻すとき、移乗で外したとき、別のフロアから借りたとき。だから、毎日、座っていただく前に1分で見る。 見る順番を決めて、外国人職員にも新人にも、同じ4つを教えてください。
へたりの見方 — 月1回、手で押す
| 見かた | こうなっていたら、へたっています |
|---|---|
| 手のひらで押す | 押した跡がすぐ戻らない。底に手が当たる感じがする |
| 座った跡を見る | 立ったあとも、おしりの形にへこんだまま |
| 厚みを比べる | 同じ型の新しいものと並べて、明らかに薄い |
| 中身を見る | ウレタンが崩れている・ちぎれている。空気の入るものなら、抜けている・もれている |
へたったクッションは、褥瘡と ずり落ちの両方を増やします。月1回、全台の点検のときに、クッションも手で押してください。 点検の表はフットサポート・アームサポートの型べつリスクの最後にあります。
2週間、試して記録する
クッションを見直したら、2週間、記録します。これが、次の相談の材料になります。
| 記録すること | どう見るか |
|---|---|
| ずり落ちた回数 | 1日に何回、座り直したか。減っていれば、クッションが原因だったということ |
| 座っていられた時間 | 「30分もたない」が「1時間」になったか |
| 仙骨・尾骨・坐骨の赤み | 毎日見る。押しても消えない赤みは、看護師へ |
| 傾く方向と時間帯 | いつも同じ側に傾くなら、寸法の問題かもしれない |
「ずり落ちるんです」
→ 「クッションを替えてみては」で終わります。
「クッションの向きを直して、へたりも見て、2週間みました。それでもまだ30分で3回ずり落ちます」
→ 次の段階(寸法・支え)の話になります。
2週間で変わらなければ、次は寸法です。車いすの寸法が合っているか、指とこぶしで測るに。 それでも直らないとき、はじめてティルトを検討します——ティルトは上位互換ではない。
クッションの種類は、選ぶのは専門職
クッションには、ウレタンのもの、空気の入るもの、ゲルのもの、組み合わせたものなど、いろいろあります。 どれがその方に合うかは、理学療法士・作業療法士・福祉用具専門相談員が、座位と皮ふの状態を見て決めます。 介護職が選ぶものではありません。
- 介護職の仕事は、3つ。向きとへたりを見る。ずれを直す。記録して報告する
- 勝手に別の方のクッションと交換しない。その方のために選ばれたものです
- 座布団やタオルを重ねて厚みを足さない。すべって前にずれることがあります。足すなら専門職に相談
- 洗い方・乾かし方は、メーカーの表示どおりに。湿ったまま使わない
クッションは、車いすの中でいちばん安い部品で、いちばん効く部品です。 車いすを1台替える前に、クッションを1枚見る。そこに15分かければ、その方の1年が変わります。
まとめ
- ずり落ちの、いちばん多い原因はクッション。車いすを替える前に、ここを見る
- へたり・裏返し・ずれ・すべるカバー・厚み・湿り。褥瘡・ずり落ち・あざ・誤嚥につながる
- 毎日1分、座っていただく前に向き・すき間・異物・座れているか
- 月1回、手で押してへたりを見る
- 見直したら2週間記録。「試したこと」があると、相談が次の段階に進む
- 種類を選ぶのは専門職。介護職は、見る・直す・報告する
やさしい 日本語(にほんご)
1 ずり落(お)ちる ときは、まず クッション
◎ 車(くるま)いすを かえる 前(まえ)に、クッションを 見(み)ます。
◎ クッションを 直(なお)すだけで、ずり落ちが 止(と)まる ことが あります。
2 すわる 前に、1分(ぷん)で 見る 4つ
- 向(む)き:前(まえ)と 後(うし)ろ、上(うえ)と 下(した)。うらがえしでは ないか
- すき間(ま):おくまで 入(はい)って いるか。ずれて いないか
- 物(もの):リモコンや タオルが 下に ないか
- すわった あと:深(ふか)く すわれて いるか。足(あし)は ゆかに つくか
3 へたって いるか
◎ 手(て)で おします。すぐ もどらなければ、へたって います。
⚠ へたった クッションは、おしりの きず(褥瘡・じょくそう)と ずり落ちを ふやします。
4 して いい こと・いけない こと
◎ 向きを 直す。ずれを 直す。報告(ほうこく)する。——これは あなたの しごとです。
⚠ ほかの 人(ひと)の クッションと 取(と)りかえません。
⚠ タオルや ざぶとんを かさねません。すべります。
⚠ どの クッションが いいかを きめるのは、専門(せんもん)の 人です。
Việc chọn đệm ngồi là của chuyên viên. Bạn kiểm tra hướng đệm, độ lún, và báo cáo.
※ この ページは 日本(にほん)の 法律(ほうりつ)と、現場(げんば)の きまりに ついて 書(か)いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
ふりがなと やさしい 日本語は、この 研究所(けんきゅうじょ)が つけた ものです。ベトナム語は 参考訳(さんこうやく)です。まちがいが あれば、教(おし)えて ください。
あわせて読む
根拠にした資料
- 『介護事故防止 実務マニュアル』巻末付録C「車いすの選び方と、替えどき」(選ぶ順番——まず、座り方とクッションを見直す/16のサイン)、付録B「車いすの点検チェックリスト」(クッションの向き・へたり)本のご案内
- 車いす用クッションの各メーカーが公表している取扱説明書(向きの表示、洗い方、交換の目安)
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。