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理想の車いすがないとき、何で補うか ——「何を我慢しているか」を記録に残す

理想の車いすは、たいてい施設にありません。 買えない。順番待ち。ほかの方が使っている。倉庫にあるのは古い型だけ。 だから現場は、あるもので何とかしています。それは悪いことではありません。

大事なのは、「何を我慢しているのか」を分かったうえで代用することです。 分かっていれば、その分を別のやり方で補えます。分かっていないと、そこが事故になります。 この記事は、よくある7組の代用と補い方、記録に残す一文、そして倉庫の話です。

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最終更新:2026年9月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 代用するときの、7組の補い方
  2. 記録に残す一文 — 3つのときに効く
  3. 倉庫を見る — 買わなくても解決することがある
  4. 費用と手続き — 施設の種類で違う
  5. まとめ

代用するときの、7組の補い方

左が「本当はこれ」、右が「あるのはこれ」。それぞれ、何を我慢しているか、その代わりに何に気をつけるかを書きました。

① 本当はティルト+リクライニング → あるのはティルトだけ

我慢しているもの:背もたれの角度を細かく変えられない。血圧・呼吸に合わせた微調整ができない。

② 本当はティルト → あるのはリクライニングだけ

我慢しているもの:倒すと必ずずり落ちます。骨盤を安定させられない。

③ 本当はモジュール型(寸法が合う) → あるのは標準型でサイズが合わない

我慢しているもの:座幅が広い/座面が高い/奥行きが長い。

④ 本当は座位保持装置(オーダー) → あるのはティルト

我慢しているもの:変形・強い傾きを完全には支えられない。

⑤ 本当は標準型(自走できる) → あるのは介助型しか空いていない

我慢しているもの:自分で動けなくなります。これがいちばん失うものが大きい。

⑥ 本当はアームサポート跳ね上げ式 → あるのは固定式

我慢しているもの:横移乗ができません。抱え上げになります。

⑦ 本当はフットサポート着脱・跳ね上げ式 → あるのは固定式

我慢しているもの:移乗のたびにすねが当たります(避けられません)。

7組に共通するのは、「我慢しているぶんを、手順と観察で補う」ことです。 そして補いきれないもの——⑤の「自分で動けなくなる」——は、代用を長引かせないことが対策です。 部品の型べつのリスクはフットサポート・アームサポートの型べつリスクに、わき・上うでのあざはわき・上うでのあざに。

記録に残す一文 — 3つのときに効く

「現在はティルトのみで代用中。本来はリクライニング併用が望ましい。血圧低下時に角度調整ができないため、1日1回ベッドで臥床の時間を設けている。」

この一文が、記録にあるかないかで、あとの3つの場面が変わります。

いつどう効くか
予算・購入の話が出たとき根拠として出せます。「合っていない車いすが〇台、代用中が〇名」と数で言える
事故が起きたとき「分かったうえで対策していた」ことを示せます。何もしていなかったのとは、まったく違います
職員が替わったときなぜこの使い方なのかが伝わります。「なんでこの人、毎日1回ベッドに戻すの?」に、記録が答えます

書き方の型は、「今は◯◯で代用中。本来は△△が必要。そのために□□をしている」の3つ。 ケアプランや個別の記録に1行あれば足ります。 Hãy ghi lại rõ: "Hiện đang dùng tạm loại này. Loại phù hợp thực sự là ___".

倉庫を見る — 買わなくても解決することがある

使われていない車いすが眠っていることが、本当によくあります。 退所された方のティルト。体重が変わって使わなくなったモジュール型。他のフロアで余っている自走用。

買わなくても、施設の中で組み替えるだけで解決することがあります。 月1回の点検(全台15分)のときに、使っていない台も一緒に見ておくと、この突き合わせができます。 点検の表はフットサポート・アームサポートの型べつリスクの最後に。

費用と手続き — 施設の種類で違う

どこで扱い(一例)
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)車いすは原則として施設が備えるものです。介護保険の福祉用具貸与は、施設入所中は原則として使えません。現実の選択肢は ①施設内で別の車いすと交換 ②施設が新たに購入・入替え ③ご本人・ご家族が個人で購入
在宅・通所の方介護保険の福祉用具貸与の対象になることがあります。ケアマネジャーへ
オーダーメイド(座位保持装置)制度が別になります。医師の意見書が必要な場合があります。相談員・ケアマネへ

制度は変わります。また、施設の種類・その方の状況によって扱いが違います。 費用の話は、必ず生活相談員・ケアマネジャーに確認してください。介護職がご家族に費用の説明をしてはいけません。 ご家族から聞かれたら、「相談員からお返事します」と返します。

まとめ

やさしい 日本語(にほんご)

1 ちょうど いい 車(くるま)いすが、ない ことが あります

ある もので つかう ことは、わるい ことでは ありません。
⚠ でも、「何(なに)が 足(た)りないか」を 知(し)って いる ことが 大事(だいじ)です。

2 足りない ときの 気(き)を つける こと

3 記録(きろく)に 書(か)きます

◎ 「いまは ◯◯を つかって います。本当(ほんとう)は △△が いいです。だから □□を して います
◎ この 1行(ぎょう)が あると、事故(じこ)の ときも、人が かわった ときも、つたわります。 Hãy ghi lại rõ: "Hiện đang dùng tạm loại này. Loại phù hợp thực sự là ___".

4 お金(かね)の 話(はなし)

ご家族(かぞく)に、お金の 話は しません。「相談員(そうだんいん)から お返事(へんじ)します」と 言(い)います。

※ この ページは 日本(にほん)の 法律(ほうりつ)と、現場(げんば)の きまりに ついて 書(か)いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
ふりがなと やさしい 日本語は、この 研究所(けんきゅうじょ)が つけた ものです。ベトナム語は 参考訳(さんこうやく)です。まちがいが あれば、教(おし)えて ください。

「代用中」を、数で見せる

合っていない車いすが何台、代用中が何名、すねのあざが今月何件。数字があると、購入の話が動きます。部位べつの集計表は様式のページにあります。

様式を見る → 困りごとから調べる

根拠にした資料

個人の経験や、特定の施設の事例ではありません。次の資料と、当研究所が編集している実務マニュアルをもとに整理しています。
  • 『介護事故防止 実務マニュアル』巻末付録C「車いすの選び方と、替えどき」(理想の車いすがないとき、どう補うか/費用と手続き)本のご案内
  • 厚生労働省「介護保険における福祉用具」(福祉用具貸与の対象と、施設入所中の扱い)
  • 車いす・クッションの各メーカーが公表している取扱説明書と、適合の考え方
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 補い方は一例です。実際の選定・調整は、理学療法士・作業療法士・福祉用具専門相談員・医師の評価によります。 費用・制度について 介護保険制度の取り扱いは改正され得ます。施設の種類や個々の状況で異なります。必ず生活相談員・ケアマネジャーに確認してください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。