車いすの寸法が合っているか、指とこぶしで測る
道具はいりません。自分の指と手のひらで測れます。 座幅は、おしりの横に指2〜3本。座の奥行きは、ひざの裏と座面の前にこぶし1つ。 5分で終わります。
体重が変わった方、拘縮が進んだ方は、寸法が合わなくなっています。合っていないと、ずり落ち・傾き・あざ・褥瘡として現れます。 介護職の仕事は、測って「合っていない」と気づき、報告すること。調整そのものは、福祉用具専門相談員・リハビリ職に頼みます。 この記事は、6か所の測り方と、合っていないと何が起きるか、相談に持っていくものをまとめたものです。
6か所 — 合っている状態と、合っていないと起きること
| 見るところ/合っている状態 | 合っていないと起きること |
|---|---|
| ① 座幅 後ろから見て、おしりの横に片側ずつ指2〜3本入る | 広すぎ → 体が傾く・こぎにくい・アームサポートに寄りかかってあざ 狭すぎ → 腰骨に当たる・褥瘡 |
| ② 座の奥行き ひざの裏と座面の前にこぶし1つ(指2〜3本) | 長すぎ → 前にずれて仙骨座り・ひざ裏が圧迫 短すぎ → ももが支えられず、坐骨に圧が集中 |
| ③ 座面の高さ ひざが90度、ももの裏全体が座面につく。足底が接地 | 高すぎ → 足が届かず、ずり落ちる・こげない 低すぎ → ひざが上がり、坐骨に圧が集中 |
| ④ アームサポートの高さ ひじが自然に乗り、肩が上がらない | 高すぎ → 肩が上がって疲れる 低すぎ → 体が傾く・寄りかかってあざ |
| ⑤ 背もたれの高さ 自走=肩甲骨の下/介助・ティルト=肩〜頭まで | 高すぎ → 腕が動かせず、こげない 低すぎ → 体幹が支えられない |
| ⑥ フットサポートの高さ ももの前が座面から浮かない高さ | 高すぎ → ひざが上がり、坐骨に圧が集中(褥瘡) 低すぎ → ももの裏が圧迫され、足がぶら下がる |
数字はいりません。指2〜3本、こぶし1つ、ひざ90度、肩が上がらない。それだけです。
寸法は「目安」です。測って合わないと思ったら、それを専門職に伝えるのが介護職の役目です。
測るときの順番と、コツ
- まず、深く座り直してもらう。ずり落ちたまま測ると、全部ずれます。移乗直後か、座り直しの直後に
- ①座幅は、後ろから見る。正面からは分かりません。手の指をおしりの横に入れる
- ②奥行きは、こぶしを横から入れる。ひざの裏と座面の前縁の間
- ③座面の高さは、足を見る。足底が床(またはフットサポート)に全部ついているか。かかとが浮いていないか
- ④アームの高さは、肩を見る。ひじを乗せたとき、肩がすくんでいたら高い
- ⑥フットサポートは、ももを見る。座面の前でももが浮いていたら高い。足がぶら下がっていたら低い
- 左右の両方を見る。片側だけ合っていないことがあります(麻痺側・傾く側)
クッションを入れた状態で測ってください。クッションの厚みで、座面の高さも奥行きも変わります。 クッションがへたっていると、測った数字そのものが変わります。クッションのことは座面クッションが合っていないと、何が起きるかに。
真横から、写真を1枚
座っているところを真横から撮ると、ずり落ち・傾き・ひざの角度・足の位置が、驚くほどよく分かります。 相談するとき、この1枚がいちばん強い資料になります。言葉10行より伝わります。
- 施設の機器で撮る。個人のスマートフォンでは撮らない
- 同意のルールに従う。ご本人・ご家族への説明と同意は、施設の規程どおりに。顔が写らない角度でも撮れます
- 真横から、いすの全体が入るように。足元まで入れる
- いつ撮ったかを残す。座ってから何分後か。「座り直し直後」と「30分後」の2枚があると、ずり落ちが見えます
写真とSNSの決まりは写真とSNS — 辞めたあとも守秘義務は続くに。 勉強のために記録を撮る、も個人の機器ではしてはいけないことになっています。
相談に持っていく5つ
| 持っていくもの | 中身 |
|---|---|
| 1 2週間の記録 | ずり落ちた回数/座り直した回数/離床していられた時間/傾く方向/むせの回数/あざと赤みの場所 |
| 2 真横からの写真 | 座っているところ。言葉10行より伝わります |
| 3 今の車いすの情報 | 種類・メーカー・型番・座幅。本体に書いてあります |
| 4 試したこと | 「クッションを替えて2週間みた」「深く座り直しを増やした」——ここが大事です |
| 5 困っていること | 職員が困っていること(移乗しにくい等)も、遠慮なく伝えてよい |
最初の相談先は、福祉用具専門相談員(レンタル・販売の事業者)です。寸法の測定、調整、機種の提案。多くは無料で見に来てくれます。 座位の評価とクッションの選定は理学療法士・作業療法士。費用と手続きは生活相談員・ケアマネジャー。 誰に何を頼めるかの表は車いすの替えどき 16のサインに。
合っていないときの、その場の補い方
理想の車いすは、たいてい施設にありません。調整が来るまでの間、あるもので補うことになります。 それは悪いことではありません。大事なのは「何を我慢しているのか」を分かったうえで補うことです。
| 合っていないところ | その場の補い方 |
|---|---|
| 座幅が広い | 体の横にクッションを詰めて、傾きを止める |
| 座面が高い(足が届かない) | 足台・踏み台を置いて、足底を接地させる |
| 奥行きが長い | 背中にクッションを入れて奥行きを詰める。背もたれが遠くなるので、背中の支えが減っていないかを必ず見る |
いずれも「本来はサイズが合っていない」と記録に残してください。 補い方の一覧は理想の車いすがないとき、何で補うかに。
まとめ
- 道具はいらない。座幅は指2〜3本、奥行きはこぶし1つ、ひざ90度、肩が上がらない
- 測る前に深く座り直す。クッションを入れた状態で。左右の両方
- 真横から写真を1枚。施設の機器で、同意のルールどおりに
- 相談に持っていくのは2週間の記録・写真・車いすの情報・試したこと・困っていること
- 調整は専門職の仕事。気づいて報告するまでが、介護職の仕事
- その場で補ったら、「本来は合っていない」と記録に残す
やさしい 日本語(にほんご)
1 道具(どうぐ)は いりません。指(ゆび)で はかります
- 横(よこ)の はば:おしりの 横に、指が 2〜3本(ほん)入(はい)る
- おくゆき:ひざの うらと いすの 前(まえ)に、こぶしが 1つ 入る
- 高(たか)さ:足(あし)の うらが、ゆかに ぜんぶ つく。ひざは 90度(ど)
- ひじかけ:ひじを のせて、かたが 上(あ)がらない
2 はかる 前に
◎ 深(ふか)く すわり直(なお)して もらいます。ずり落(お)ちた ままだと、ぜんぶ ちがって しまいます。
◎ 右(みぎ)と 左(ひだり)、どちらも 見(み)ます。
3 あって いない ときは
◎ 「あって いない かも しれません」と 報告(ほうこく)します。
⚠ 車(くるま)いすを じぶんで 直(なお)しません。専門(せんもん)の 人(ひと)の しごとです。
◎ 横から 写真(しゃしん)を 1まい とると、よく わかります。⚠ 施設(しせつ)の カメラで。じぶんの スマホでは とりません。
Đo bằng ngón tay và nắm tay là đủ. Nếu thấy không hợp, hãy báo cáo. Việc chỉnh sửa là của chuyên viên.
※ この ページは 日本(にほん)の 法律(ほうりつ)と、現場(げんば)の きまりに ついて 書(か)いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
ふりがなと やさしい 日本語は、この 研究所(けんきゅうじょ)が つけた ものです。ベトナム語は 参考訳(さんこうやく)です。まちがいが あれば、教(おし)えて ください。
あわせて読む
根拠にした資料
- 『介護事故防止 実務マニュアル』巻末付録C「車いすの選び方と、替えどき」(寸法が合っているかの見かた、相談のしかた——誰に、何を持っていくか)本のご案内
- 日本産業規格 JIS T 9201(手動車いす)の寸法の用語
- 車いす・クッションの各メーカーが公表している取扱説明書と、適合の考え方
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。