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移乗

移乗は力ではなく距離と角度 — 車いすの置き方

移乗が「うまい人」と「そうでない人」の差は、力ではありません。

準備にかける30秒の差です。 車いすを寄せる、角度をつける、高さを合わせる、ブレーキを確認する、フットサポートをどける。

これをやると、持ち上げる必要がなくなります。やらないと、力で何とかするしかなくなります。

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 移乗を4つに分けて見る
  2. 距離と角度で、力はいらなくなります
  3. 高さも、そろえます
  4. 準備の7つを、声に出す
  5. 立ち上がりは「おじぎ」から
  6. この形どおりにいかないほうが、ふつうです
  7. まとめ

移乗を4つに分けて見る

段階起きることやり直しがきくか
① 準備距離・角度・高さ・ブレーキやり直しがききます。ここで9割決まります
② 立つ立ちくらみ・ひざ折れ/足が床についているかまだ座り直せます
③ 回るいちばん崩れる場面。足が回らない・ねじれる途中でやめられません
④ 座る浅く座ってずり落ちる/尻もち・すねを打つ途中でやめられません

①をきちんとやれば、③④はほとんど起きません。事故は「準備の省略」から起きます。

距離と角度で、力はいらなくなります

↓ 真上から見た図です(車いすを かたむける という意味ではありません) ✕ 遠い・向かい合わせ ベッド 車いす 遠い 回る量 180度 〇 近い・斜めに置く ベッド 車いす 20cm以内 約30度 回る量 60度くらい
図:車いすの置き方と回る量(模式図・一例)。数字は目安で、部屋の広さと麻痺の側によって変わります

「斜め」とは、車いすを かたむける(傾ける)ことではありません。 上から見たときに、ベッドに対して斜めの向きに置く、という意味です。車いすは水平のままです。

ねらいは「本人が回る量を減らすこと」だけです。回る量が減れば、足がついてきて、ねじれず、崩れません。

"Đặt chéo" nghĩa là đặt xe lăn chéo góc so với giường khi nhìn từ trên xuống — KHÔNG phải nghiêng xe lăn.

「30度」も「20cm」も、目安です。大事なのは数字ではなく、回る量と距離を減らすこと。 ベッドの向き、部屋の広さ、麻痺の側によって、置ける位置は変わります。 その方にとって回りやすい向きを、チームで決めて共有してください。

高さも、そろえます

場面合わせかた
ベッド → 車いすベッドを車いすの座面と同じか、わずかに高く。下り坂のほうが移りやすい
車いす → ベッドベッドをわずかに低く。またはいったん端座位で止める
本人の足足の裏が床にしっかりつく高さ。宙に浮いていると立てません
職員の腰介助の前にベッドを上げる。そして終わったら必ず下げる

ベッドの高さは、2回変えます。「介助のために上げる」→「終わったら下げる」。
下げ忘れが、転落事故になります(→ 介助のあと、ベッドを下げ忘れていませんか)。

Nâng giường lên để chăm sóc, xong PHẢI hạ xuống. Hãy nói thành tiếng.

準備の7つを、声に出す

確認すること今日できること
① ブレーキかけたら、押して効きを確かめる/タイヤの空気が抜けているとブレーキは効きません(月1回、全台)/ベッドのキャスターも固定されているか/「かけたつもり」がいちばん危ない
② 距離と角度20cm以内まで寄せる/斜め(30度くらい)に置く/麻痺のある方は健側へ回る
③ 高さ移る先とほぼ同じ高さ(わずかに下り坂だと楽)/足の裏が床につく高さか
④ フットサポート足を必ず下ろす/どけられる型なら、どける/固定式なら角にカバー/座ったら必ず戻す(引きずり防止)
⑤ アームサポート跳ね上げ式・着脱式なら上げる/外す/戻すときは手と腕の位置を見てから(挟み込み)
⑥ 周りと足元床の物をどける(スリッパ・コード・ゴミ箱・オーバーテーブル)/床が濡れていないか/履物(かかとを踏んでいないか)/点滴・カテーテル・酸素チューブが引っかかっていないか
⑦ 本人の準備これから何をするか伝える/いったん座って30秒(立ちくらみ)/眠っている・ぼんやりしているなら待つ/痛みがないか聞く/本人にできることは、してもらう

この7つを、順番に声に出してください。 「ブレーキ、よし」「フットサポート、上げます」「高さ、合わせます」。
声に出すと、飛ばさなくなります。そして、まわりの職員も気づけます。 はじめて日本の現場で働く職員にも、これがいちばん伝わる教え方です。

立ち上がりは「おじぎ」から

やること
1浅く座り直す(深く座ったままでは立てません
2足を手前に引く。ひざより後ろに足首がくるように
3おじぎをしてもらう。おでこが つま先の上に来るくらいまで前へ
4その勢いでおしりが自然に浮きます。職員は支えるだけ
5足ごと向きを変える。腰をひねらない
6座るときはゆっくり。座面を手で確かめてもらう。深く座れたか確認

この形どおりにいかないほうが、ふつうです

ここに書いたのは基本の形です。実際には、体が大きい方、急に力が抜ける方、足が絡まる方、抱えられるのを嫌がる方。 「この形どおりにいかない方」のほうが多いかもしれません。

それは、あなたの技術の問題ではありません。 そういう場合にできることは 教科書どおりにいかない方への移乗 にまとめました。

Thực tế thường KHÔNG diễn ra đúng như sách vở. Đó không phải lỗi kỹ thuật của bạn.

まとめ

この方は、どこに気をつける?

利用者さんの状態を選ぶと、注意する場面と部位が出ます。印刷して、カンファレンスの資料に使えます。

困りごとから調べる → 様式をダウンロード

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
  • 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月18日 基発0618第1号)
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
  • 厚生労働省 労働者災害補償保険(労災保険)制度に関する一般向け案内
  • 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 介護作業の腰痛予防に関する資料
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 手順・寸法・時間は、すべて目安一例です。 判断に迷うこと、いつもと違うと感じたことは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。