すねのあざが何度もできる — 車いすのどこが当たっているか
同じ方の、同じあたりに、あざがくり返しできる。
ご本人に聞いても「わからない」。
すねは、座っているだけ・寝ているだけでは、なかなかあざになりません。 何かが当たっていると考えて探すほうが、見つかることが多い場所です。
そして、当たる物が見つかれば、減らせることがあります。 この記事では、車いすのどこを、どう探すかを整理しました。
もくじ
すねのあざは、減らせることが多いあざです
あざには、大きく分けて2種類あります。皮ふがうすくなったことでぶつけていなくてもできるもの。 そして、何かが当たっているもの。
前うでや手の甲は前者が多く、防ぎきれないことがあります。 けれどすねは違います。すねは、座っているだけ・寝ているだけでは、なかなかあざになりません。 当たっている物があると考えて探すほうが、見つかることが多いとされています。
- 前うで
- 手の甲
保湿と保護が中心になります
- すね・ひざ
- ひじ・かかと・こし
当たる物を直せば、減ることがあります
だから、すねのあざが続いているときは、「その方」ではなく「その車いす」を見てください。 ご本人の不注意ではなく、寸法と角度の話であることが多いためです。
すねに当たる物は、だいたい決まっています
目で見て安全そうでも、指でなでると分かることがあります。 まず、この4か所を手でさわって確かめてください。
探し方のコツは、ひとつだけです。目で見ないで、手でなでる。
樹脂のふちのバリ、ネジの頭、金具の角は、見ても分からず、指でさわると分かります。
新しく入られた方がいたら、その方の動線を職員が同じように移動してみると、見つかることがあります。
フットサポートは、種類で起きかたが変わります
同じ「車いす」でも、足を乗せる部分の作りで、事故の出かたが変わります。 まず、その方の車いすがどれかを確かめてください。
| 種類 | 起きやすいこと | 見るところ(一例) |
|---|---|---|
| 固定式 外れない |
移乗のたびにすねが当たります。構造上、避けにくいとされています | 角とふちにスポンジカバー/移乗前に必ず足を下ろす/車いすをベッドに寄せる角度 |
| 跳ね上げ式 上に上がる |
跳ね上げた金具にすねが当たる。戻し忘れると足が床を引きずります | 跳ね上げた状態の金具の位置を手で確認/座ったら必ず戻す/指を挟んでいないか |
| 着脱式 外して置ける |
付け忘れによる引きずり。ロックが甘いと走行中に外れることがあります | 付けたら引いてロックを確認/外したら置き場所を決める/左右そろっているか |
| エレベーティング 上げられる |
ふくらはぎ・かかとの圧迫。下ろすときに痛みが出ることがあります | レッグサポートの高さと角度/かかとが浮いていないか/ゆっくり下ろす |
跳ね上げ式・着脱式は、便利なぶん、事故の種類が増えます。
固定式にはない「戻し忘れ」「付け忘れ」「ロック不完全」「挟み込み」が加わるためです。
効く方法として知られているのが、手順を声に出すことです。
「フットサポート、上げます」「戻します」。声に出すと、周りも気づきます。
Hãy nói thành tiếng: "Tôi nâng chỗ để chân lên", "Tôi hạ xuống".
見落とされやすいのが、タイヤの空気圧です
「フットサポートにカバーを付けたのに、すねのあざが減らない」というとき、 タイヤの空気を確かめてみてください。
空気が抜けると、車体が下がります。すると、当たる高さが変わります。
同じ車いす・同じ介助でも、ブレーキレバーやフレームがすねの高さに来ることがあります。
空気圧はもう一つ、ブレーキの効きにも直結します。空気が抜けたタイヤはブレーキが効きにくくなり、 移乗のときに車いすが動くことがあります。すねのあざと、移乗時の転倒は、同じ原因から出ていることがあります。
月に1回、全台まとめて15分。これが、いちばん費用のかからない対策とされています。
① タイヤの空気圧 ② すべての角・ふち・ネジの頭を手でなでる ③ カバーの破れ ④ ネジのゆるみ ⑤ ブレーキの効き
移乗のときに、できること
手順を増やす必要はありません。順番を決めておくだけで変わることがあります。
足を乗せたまま立ち上がってもらう。
車いすを遠くに置いたまま、体を引っぱって移す。
跳ね上げたフットサポートを戻さないまま座らせる。
いずれも、すねが金具の前を通ります。
① 足を床に下ろす(またはフットサポートを外す・跳ね上げる)
② 車いすをベッドに寄せる。ブレーキをかける
③ 移る
④ 座ったらフットサポートを戻す
⑤ 足底が乗っているか、ずり落ちていないか見る
「急いでいたから」は、最も多い背景です。 人手が足りない時間帯にすねのあざが増えるなら、それは個人の技術の話ではなく、人員配置の話として扱ってください。 そのために、次の集計が要ります。
数えると、対策が決まります
1件では、何も分かりません。1か月分を部位べつに数えると、見えてきます。
| 今月いちばん多かった部位 | 次の1か月でやること(一例) |
|---|---|
| すね・ひざ | 設備の問題として扱う。フットサポート・ベッド柵・家具の角を全台点検してカバーを付ける |
| ひじ・かた | 移乗の方法を見直す。スライディングシートの導入、2人介助の基準づくり |
| 前うで・手の甲 | 防ぎきれない種類が含まれます。保湿とアームカバー、ご家族への説明に力を入れる |
| わき・上うでなど | 件数に関係なく1件ずつ個別に検討。こちらの記事もあわせてご覧ください |
数字は、物を買うための理由になります。
「なんとなくすねが多い気がする」では会議は動きませんが、
「今月すねが8件、うち6件が同じ時間帯」と言えれば、カバーを買う話も、人の配置の話もできます。
部位べつの集計表を、無料で配布しています。
それでも減らないときは、用具を替える相談ができます
職員の工夫だけで補おうとすると、限界があります。 車いすが体に合っていないことが、原因のこともあります。
| こんなとき | 相談先(一例) |
|---|---|
| 固定式で、横移乗ができない | 福祉用具専門相談員。アームサポートが跳ね上げられる機種の検討 |
| 座る姿勢が崩れて、足が乗り上げる | 理学療法士・作業療法士。座面・クッション・角度の見直し |
| 体格に合っていない気がする | レンタル事業者。調整と提案を無料で受けられることがあります |
「合っていないかもしれない」と気づいた時点で、管理者にお伝えください。 職員の工夫で無理に補うより、確実なことが多いとされています。
まとめ
- すねのあざは、当たっている物があると考えて探すと見つかることが多い
- 探すときは、目で見ないで手でなでる
- まず見るのは フットサポートの角・ブレーキレバー・家具の脚・トイレと浴室の縁
- フットサポートは種類で起きかたが変わります。跳ね上げ式・着脱式は手順を声に出す
- 減らないときは タイヤの空気圧。車体が下がると、当たる高さが変わります
- 移乗は足を下ろしてから。順番を決めるだけで変わることがあります
- 月1回、部位べつに数える。数字が、物を買う理由になります
- それでも減らないときは、用具を替える相談ができます
ただし、すねだからといって「たぶんフットサポート」と記録に書かないでください。 見ていないことは推測です。「原因は特定できず」と書き、当たりそうな物を直した事実を、別に書く。 これがいちばん強い記録になります。
あわせて読む
根拠にした資料
- 厚生労働省「介護保険における福祉用具」および福祉用具貸与・販売に関する通知
- 医療・介護ベッド安全普及協議会「医療・高齢者施設におけるベッドの安全な使い方」
- 独立行政法人国民生活センター 車いす・介護ベッドに関する事故情報
- 日本産業規格(JIS T 9201)手動車いす
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。