管理者は、何をする人か
◎ 条文に書かれている管理者の仕事は、2つです。「従業者と業務の管理を一元的に行う」こと。「従業者に決まりを守らせるための指揮命令を行う」こと。
⚠ つまり、管理者は「決まりを守らせる側」に立つ人です。職員が「なぜこんなに言われるのか」と感じる場面の多くは、この条文の形から来ています。
◎ そして、管理者が現場に入るかどうかは、条文に書いてありません。そこは事業所ごとです。
もくじ
ひとことで言うと
◎ 事業所全体の「人」と「仕事」を、ひとりでまとめて見る人です。 条文の言い方では「一元的に」。誰かと分けて持つのではなく、最後は管理者に集まります。
⚠ だから、運営指導(行政の確認)で対応するのも、事故を市町村に報告するのも、管理者の名前で行われます。 運営指導で、実際に何を見られるのか
条文にある配置——常勤・専従、ただし
指定介護老人福祉施設の基準(平成11年厚生省令第39号)第21条
管理者は、専ら当該施設の職務に従事する常勤の者でなければならない。 ただし、管理上支障がない場合は、他の事業所、施設等又はサテライト型居住施設の職務に従事することができる。
◎ 訪問介護・通所介護も同じ形です(省令37号第6条・第94条:専従の常勤、ただし管理上支障がなければ他の職務・他の事業所と兼務可)。
⚠ 「ただし」があるので、管理者が別の役目を兼ねている事業所は少なくありません。◎ 兼ねているかどうかで、管理者が現場に見える頻度が変わります。それは条文が認めている形です。
条文が決めている仕事——2つ
| 条文 | 決めていること |
|---|---|
| 省令39号 第22条第1項 | ◎ 従業者の管理、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行う |
| 同 第22条第2項 | ◎ 従業者にこの章の規定を遵守させるために必要な指揮命令を行う |
◎ 訪問介護も同じ2つです(省令37号第28条第1項・第2項)。⚠ それ以上、条文は管理者の仕事を書いていません。「相談に応じる」「現場を見る」とは書かれていない、ということです。
「決まりを守らせる」の中身
◎ 第22条第2項の「この章の規定」とは、運営基準のことです。その中には、職員が日々触れているものが入っています。
- 身体的拘束の記録と、委員会・指針・研修 4点柵は身体拘束にあたるのか
- 事故発生の防止のための指針・報告の体制・委員会・研修・担当者(省令39号第35条第1項)
- 事故が起きたときの市町村・家族への連絡と、記録(同第35条第2項・第3項)
- 運営規程を定め、概要を掲示・ウェブサイトに載せること(同第23条・第29条)
- 虐待の防止のための措置
⚠ 「委員会が増える」「記録にこだわる」——職員から見た管理者の言動の多くは、ここから出ています。 ◎ 守らせる義務が管理者に置かれているので、そう見えます。意地悪ではなく、条文の形です。 なぜ委員会・指針・研修・担当者が、増え続けるのか/なぜ看護師は記録にこだわるのか
事故のとき、管理者に何が乗るか
省令39号 第35条第2項——事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
⚠ 主語は「施設は」です。◎ 施設を代表して連絡と措置を行うのが、管理者の立ち位置です。発見した職員が背負うものではありません。
◎ だから、ご家族への説明に、発見者をひとりで行かせない。⚠ それは管理者の仕事の側にあります。 事故を発見した職員のこころのケア/ご家族へのあざの説明
条文が決めていないところ
- 管理者が現場に入るかどうか、どれくらい入るか
- 職員からの相談を、いつ・どうやって受けるか
- ご家族対応に、管理者がどこまで出るか(⚠ 相談員・ケアマネと分けている事業所もあります)
- ヒヤリハットの結果を、どう職員に返すか
- 職員の腰痛や事故のあとの申告を、誰が受けるか
◎ これらは、事業所の運営規程で決まっています。運営規程には 「従業者の職種、員数及び職務の内容」を書くことになっています(省令39号第23条第2号/省令37号第29条第2号)。 その概要は掲示されているか、ウェブサイトに載っています(省令39号第29条)。
この人に頼めること/頼めないこと
人手・用具・ベッドの高さなど、体制の相談(◎ 数字を持って行くと通ります)
ご家族への説明に同席してもらうこと
腰痛・けがの申告を受けてもらうこと
ヒヤリハットの結果を返してもらうこと
運営規程を見せてもらうこと
医療的な判断
法令の決まりを外すこと(守らせる側の人です)
利用者ごとの計画を、その場で変えること
⚠ 「決まりだから」と返ってくるのは、管理者がそう言わなければならない立場のためです。
◎ そのかわり、決まりの中でどうするかの相談はできます
まとめ
- ◎ 条文にある仕事は2つ。従業者と業務の管理を一元的に行う/決まりを守らせるための指揮命令(省令39号第22条/省令37号第28条第1項・第2項)
- ◎ 常勤・専従が原則。ただし管理上支障がなければ兼務できる(省令39号第21条/省令37号第6条・第94条)
- ⚠ 「守らせる側」に立つ人です。委員会・記録・指針は、この条文から出ています
- ◎ 事故のときの市町村・家族への連絡と措置は「施設」の義務。それを代表するのが管理者(省令39号第35条第2項)
- ◎ だから、発見者をひとりで家族に行かせない
- ⚠ 現場に入るか、相談をいつ受けるかは、条文にありません。事業所によって違います
- ◎ 体制の相談は、数字を持って行くと通ります
やさしい 日本語(にほんご)
1 ◎ どんな 人(ひと)ですか
事業所(じぎょうしょ)の「人」と「しごと」を、ぜんぶ まとめて 見(み)る 人です。
◎ 法律(ほうりつ)に 書(か)いて ある しごとは、2つです。
① 人と しごとを、ひとりで まとめて 見る
② きまりを まもらせる
2 ⚠ 「きまりを まもらせる 側(がわ)」の 人です
⚠ 「記録(きろく)を 書いて」「会議(かいぎ)に 出て」と 言(い)われるのは、この 人が そう 言わなければ いけない 立場(たちば)だからです。
◎ いじわる では ありません。
3 ◎ じこの とき
◎ やくしょと ご家族(かぞく)に れんらくするのは、しせつの しごとです。その 代表(だいひょう)が 管理者です。
◎ だから、あなたが ひとりで ご家族に あやまりに 行(い)かなくて いいです。管理者に いっしょに 来(き)て もらいます。
4 ◎ この 人に たのめる こと
- 「人が 足(た)りません」「ベッドが 高(たか)すぎます」——◎ 数(かず)を もって 行くと つたわります
- 「こしを いためました」——◎ その日(ひ)の うちに 言います
- 「ヒヤリハットを 出(だ)しました。どう なりましたか」
5 ⚠ 決(き)まって いない ところ
⚠ 管理者が 現場(げんば)に 入(はい)るか。そうだんを いつ 受(う)けるか。
◎ これは 事業所に よって ちがいます。あなたの 事業所の やり方を 聞(き)いて ください。
※ この ページは 一般(いっぱん)の せつめいです。しごとの わけかたは、事業所(じぎょうしょ)に よって ちがいます。かならず あなたの 事業所(じぎょうしょ)で たしかめて ください。
あわせて読む
根拠にした資料
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第21条(管理者による管理)、第22条(管理者の責務)、第23条(運営規程)、第29条(掲示)、第35条(事故発生の防止及び発生時の対応)
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第6条(訪問介護の管理者)、第28条第1項・第2項(管理者の責務)、第29条第2号(運営規程)、第94条(通所介護の管理者)