事故を発見した職員のこころのケア
「自分のせいだ」「もっと早く行っていれば」「あのとき見ていれば」
ほとんどの人が、そう思います。 本人が口に出さなくても、思っています。 そして、何も言われないと、ひとりで抱えたまま働き続けます。
発見した職員に、起きること
| いつ | 起きること |
|---|---|
| 直後 | 手が震える/頭が真っ白になる/涙が出る/逆に何も感じない |
| 数日 | 眠れない/その場面が浮かぶ/同じ介助が怖くなる/食欲がない |
| 数週間 | 自信をなくす/必要以上に慎重になる/辞めたいと思う |
| 誰にも言えない | 「自分が悪いのに、つらいなんて言えない」と思っています |
これは、弱さではありません。
人の体に関わる仕事をしていれば、誰にでも起きることです。
ベテランほど、平気なふりをします。そして、ある日突然辞めます。
リーダー・管理者がやること
| やること | どうやって | |
|---|---|---|
| 1 | その日のうちに、声をかける | 「大丈夫だった?」ではなく「つらかったよね」。事情を聞くのではなく、気持ちに触れる |
| 2 | 「あなたのせいではない」と言う | 言葉にして言ってください。思っているだけでは伝わりません |
| 3 | ひとりで説明させない | ご家族対応、報告書作成、カンファレンス。すべて同席する |
| 4 | その日の業務を軽くする | 可能なら、その日は同じ介助を外す。早く帰れるようにする |
| 5 | 数日後、もう一度聞く | 直後より、数日後のほうがつらいことがあります |
| 6 | 続くなら、専門家へ | 眠れない・その場面が浮かぶ・仕事に行けない → 産業医・相談窓口へつなぐ |
絶対にやってはいけないこと
□ その職員を、名指しでカンファレンスの議題にする
□ 「なんで気づかなかったの」と、その日に言う
□ 反省文を書かせる
□ 始末書を求める(施設の規程による場合を除く)
□ ひとりでご家族に謝りに行かせる
□ 何も言わずに放っておく
これをやった職場では、次の事故が報告されなくなります。そして、いい職員から辞めていきます。
母語で話せる相手が、いないことがあります
日本語を母語としない職員は、さらに孤立します。 母語で気持ちを話せる相手が、職場の中にいないことが多いからです。 「帰国させられるのでは」と考えることもあります。
「あなたのせいではない」「仕事は続けられます」を、はっきり言葉にしてください。 必要なら、監理団体・登録支援機関を通じて、母語で話せる場を作ってください。
"Đây không phải lỗi của bạn. Bạn vẫn tiếp tục làm việc được." — Hãy nói rõ thành lời.自分が発見者になったときは
- その場で腰・肩などの痛みがあれば申告する(→ 介助での腰痛)
- 報告書は、ひとりで書かない。リーダーに横についてもらう
- ご家族への説明に、ひとりで行かない
- 眠れない・その場面が浮かぶ日が続くなら、言ってよい
- 「自分が悪いのに、つらいなんて言えない」と思わなくてよい
つらさを言うことは、責任から逃げることではありません。 抱えたまま働き続けるほうが、次の事故につながります。
数えること
| 数えること | 目標 |
|---|---|
| 事故のあと、声をかけた件数 | 全件に声をかける |
| 発見者ひとりで家族対応した件数 | 0でなければなりません |
| ご家族への連絡が当日中だった率 | 100%が目標 |
集計表は 様式のダウンロード から印刷できます。
まとめ
- 「自分のせいだ」とほとんどの人が思う。口に出さなくても
- これは弱さではない。誰にでも起きること
- ベテランほど平気なふりをして、突然辞める
- その日のうちに「つらかったよね」と声をかける
- 「あなたのせいではない」を、言葉にして言う
- 名指しで議題にしない。反省文を書かせない
- 数日後に、もう一度聞く
やさしい 日本語(にほんご)
1 ◎ じこを 見(み)つけた 人(ひと)は、ほとんどが「じぶんの せいだ」と 思(おも)います
◎ 口(くち)に 出(だ)さなくても、思って います。
2 ◎ これは よわさでは ありません
◎ だれにでも おきる ことです。
◎ 手(て)が ふるえる。ねむれない。その 場面(ばめん)が うかぶ。同(おな)じ かいじょが こわく なる。
3 ⚠ ベテランほど、へいきな ふりを します
⚠ そして、ある日(ひ) とつぜん やめます。
4 ◎ リーダーが、その日の うちに 声(こえ)を かけます
◎ 「だいじょうぶだった?」では なく、「つらかったよね」。
◎ 「あなたの せいでは ない」を、ことばに して 言(い)います。思って いるだけでは つたわりません。
5 ⚠ やっては いけない こと
- ⚠ 名前(なまえ)を 出して、カンファレンスの ぎだいに する
- ⚠ 「なんで 気(き)づかなかったの」と、その日に 言う
- ⚠ ひとりで ご家族(かぞく)に あやまりに 行(い)かせる
- ⚠ はんせい文(ぶん)を 書(か)かせる
6 ◎ 母語(ぼご)で 話(はな)せる 人が いない ときは、もっと こどくに なります
⚠ 「帰国(きこく)させられるのでは」と 考(かんが)える ことが あります。
◎ 「あなたの せいでは ない」「しごとは つづけられます」——この 2つを、はっきり ことばで。
7 ◎ あなたが 見つけた 人に なった ときは
- ◎ ほうこくしょは、ひとりで 書かない。リーダーに よこに いて もらう
- ◎ ご家族への 説明(せつめい)に、ひとりで 行かない
- ◎ ねむれない 日が つづくなら、言って いい
◎ つらいと 言う ことは、せきにんから にげる ことでは ありません。
※ この ページは 日本(にほん)の 法律(ほうりつ)と、現場(げんば)の きまりに ついて 書(か)いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
ふりがなと やさしい 日本語は、この 研究所(けんきゅうじょ)が つけた ものです。まちがいが あれば、教(おし)えて ください。
あわせて読む
根拠にした資料
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
- 厚生労働省 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)に関する案内
- 厚生労働省 労働安全衛生法に基づく事業場におけるメンタルヘルス対策・産業保健に関する指針
- 公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業(ヒヤリ・ハット事例収集)
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。