訪問介護のヒヤリハットは3行でいい(訪問版 例文50本)
結論から書きます。訪問介護のヒヤリハットも、3行で十分です。
①いつ・どこで ②何があった ③どうした——施設の記事(ヒヤリハットは3行でいい)と同じ型です。ただ、訪問には訪問の場面があります。玄関の段差、家の中のコード、ペット、鍵、そして「一人で決めた」。
この記事には、訪問の場面の例文を50本並べました。自分の場面に近い1本を、時刻と名前だけ入れ替えて写してください。書くのは移動の車の中でも、次の訪問の前の5分でもかまいません。
もくじ
訪問のヒヤリハットが出てこない、3つの理由
施設よりも、訪問のほうがヒヤリハットは出にくいと言われます。理由は、だいたい次の3つです。
| 理由 | だから、こうする |
|---|---|
| 書く場所と時間がない | 事業所に戻るのは夕方。それまでに忘れます。次の訪問先に着く前の車の中で、1行だけメモ。「10:20 田中様 玄関で ふらつき」——これで十分です。清書はあとで |
| 見ているのが自分だけ | 「誰も見ていないから、書かなくても分からない」——逆です。あなたしか知らないから、価値があります。あなたが書かなければ、事業所には永遠に見えません |
| 利用者さんの家のこと | 「家の段差のことを書いたら、文句を言っているみたいだ」——違います。段差があると書けば、次に行くヘルパーが助かります。家の悪口ではなく、次の人への申し送りです |
施設のヒヤリハットは「みんなで見た場所」のこと。訪問のヒヤリハットは「あなたしか見ていない場所」のこと。
だから、訪問の1枚は、施設の1枚より重いのです。
3行の型 ——施設と同じです
| 欄 | 書く例(訪問) |
|---|---|
| ① いつ・どこで | 9月4日 10:20 田中様宅 玄関 |
| ② 何があった | 靴を脱ぐとき ふらついて、壁に手をついた |
| ③ どうした | 腕を支えた。次から 玄関に いすを置けないか、事業所に伝えた |
| + 書けたら(任意) | 気づいたこと:玄関の段差が 高い(20cmくらい) |
「原因」「対策」「再発防止」の欄は要りません。それを考えるのは、サービス提供責任者と事業所の仕事です。承認印の欄も要りません。
◎ 訪問の3行には、「場所」を少し詳しく。「田中様宅」ではなく「田中様宅 玄関」「〇〇様宅 台所の流しの前」。次に行く人が、その場所を見るためです。施設なら全員が場所を知っていますが、訪問先はそうではありません。
Chỉ cần 3 dòng: ①khi nào, ở đâu (ghi rõ chỗ trong nhà) ②chuyện gì ③đã làm gì. Viết trong xe, trước khi đến nhà tiếp theo cũng được.
例文① 家の中の危険(転倒・転落・移乗)
ここから、そのまま書き写して使える例文です。時刻・場所・お名前を、自分の場面に入れ替えてください。
玄関・廊下・段差
- 「10:20 田中様宅 玄関。靴を脱ぐとき ふらついて、壁に手をついた。腕を支えた。」
- 「9:00 佐藤様宅 廊下。延長コードが 通り道を横切っていた。ご本人に聞いて、壁ぎわに寄せた。」
- 「14:00 鈴木様宅 玄関の外。雨で タイルが濡れて すべった。次から 手すり側を歩いてもらう。」
- 「11:00 高橋様宅 居間。新聞と雑誌が 床に積んであり、またいで歩いていた。事業所に伝えた。」
- 「16:00 山田様宅 トイレ前。夕方で 廊下が暗く、段差が見えにくかった。電気をつけた。」
ベッド・布団・いす
- 「10:00 伊藤様宅 寝室。ベッドの柵が 片方 外れていた。ご家族に聞いて、付け直した。」
- 「9:30 渡辺様宅。布団から 立つとき、たんすに 手をかけて 立った。たんすが 少し動いた。」
- 「13:00 中村様宅 居間。いすの脚が がたついていた。別のいすに 替えてもらった。」
- 「15:00 小林様宅。ベッドを 上げたまま 帰りそうになった。玄関で気づいて 戻って下げた。」
- 「11:30 加藤様宅。車いすの ブレーキが 片方 効きにくい。事業所に伝え、ケアマネジャーへ連絡してもらう。」
例文② 薬・食事・入浴
薬
- 「9:10 吉田様宅。お薬カレンダーの 今朝の袋が 残っていた。飲んだか 本人は『分からない』。事業所に電話。」
- 「12:00 山口様宅。テーブルの上に 別の袋の薬が 出ていた。ご家族の薬だった。しまってもらった。」
- 「10:00 松本様宅。一包化の袋に 日付が 印字されていなかった。事業所に伝えた。」
- 「8:30 井上様宅。『薬を出して』と言われたが、やっていいか 分からず、事業所に電話して 指示どおりにした。」
- 「17:00 木村様宅。夕食後の薬を セットする 袋の数が 合わない。数えて 事業所に報告。」
食事・入浴
- 「12:20 林様宅。みそ汁で 2回むせた。食事を止めて、落ち着いてから 再開。」
- 「11:50 斎藤様宅。眠そうだったが 時間だったので 食べ始めた。途中で 止めた。」
- 「12:00 清水様宅。冷蔵庫に 賞味期限が 1週間過ぎた 食品があった。ご本人に聞いて 処分。」
- 「14:00 山崎様宅 浴室。お湯が 急に 熱くなった。ご家族が 台所で 水を使っていた。」
- 「14:30 森様宅 脱衣所。暖房を 入れ忘れて 寒かった。次から 先に入れる。」
例文③ 物・家・ペット・鍵
訪問でいちばん多い事故は、けがではなく物です(→紛失・破損の記事)。だから、ここがいちばん大事な例文です。
物・家
- 「10:00 池田様宅 台所。掃除中に 花びんに 手が当たり、倒れかけた。割れなかった。」
- 「11:00 橋本様宅。掃除機の コードで、置き時計を 引っかけた。落ちなかった。」
- 「9:00 阿部様宅 浴室。蛇口を 閉めたつもりが、少し 出たままだった。帰る前に 気づいた。」
- 「13:00 石川様宅。洗濯物を 干すとき、ベランダの 鉢を 足で 動かした。壊れていない。ご本人に 言った。」
- 「15:00 前田様宅。車いすを 押していて、廊下の壁に こすった。あとは 付かなかった。」
ペット・鍵・戸締まり
- 「10:00 藤田様宅。犬が 足元に来て、つまずきそうになった。ご家族に 別の部屋へ お願いした。」
- 「14:00 後藤様宅。猫が 開いた玄関から 外に出そうになった。ドアを 閉めてから 荷物を置く。」
- 「9:00 岡田様宅。合鍵で 入るとき、鍵が 回りにくかった。事業所に 伝えた。」
- 「16:00 長谷川様宅。帰るとき、窓の鍵を 閉めたか 不安になり、戻って 確かめた。閉まっていた。」
- 「11:00 村上様宅。玄関の鍵を ポストに 戻したか 車の中で 不安になった。戻って 確かめた。」
例文④ 一人で決めた・分からなかった
訪問では、その場で一人で決めることが毎日あります。決めたこと、決められなかったことは、全部ヒヤリハットです。
一人で決めた
- 「10:30 近藤様宅。『庭の草を 取って』と 頼まれた。計画に ないので、事業所に 確認すると 伝えた。」
- 「9:00 坂本様宅。ご本人の 顔色が 悪く、掃除より 見守りを 先にした。事業所に 電話した。」
- 「13:00 遠藤様宅。移乗のとき、いつもより 体が重く、一人では 危ないと 思った。ゆっくり 座り直してもらった。」
- 「11:00 青木様宅。訪問時間に 5分 遅れそうで、事業所に 電話した。ご家族への 連絡も お願いした。」
- 「15:00 藤井様宅。同居の お孫さんの 分も 作ってと 言われた。できないことを 説明した。」
分からなかった
- 「9:00 西村様宅。申し送りの 内容が 分からないまま 入った。訪問中に 事業所に 電話した。」
- 「10:00 福田様宅。湿布を 貼っていいか 分からなかった。事業所に 聞いてから 貼った。」
- 「12:00 太田様宅。食事の 形が いつもと 違うと 思ったが、聞けなかった。あとで 事業所に 言った。」
- 「14:00 三浦様宅。この方の 手すりの 使い方を 知らなかった。ご本人に 教えてもらった。」
- 「16:00 岡本様宅。何を 記録すればいいか 分からず、書けなかった。次の日に 事業所で 聞いた。」
例文⑤ ご家族・体制・自分のこと
ご家族のこと、事業所の体制のこと、自分の体のこと。言いにくいことほど、紙に書いてください。口で言っただけでは残りません。
ご家族
- 「10:00 松田様宅。ご家族から『これも やってよ』と 何度も 言われ、断りにくかった。事業所に 伝えた。」
- 「11:00 中島様宅。ご家族の 声が 大きく、こわいと 思った。玄関の 近くで 作業した。」
- 「9:00 中野様宅。ご家族が 不在で、鍵の場所が 前と 違った。事業所に 電話して 確かめた。」
- 「14:00 原田様宅。ご家族から『報告しないで』と 言われた。事業所の 決まりで 報告すると 説明した。」
- 「15:00 小野様宅。ご家族が 私の 電話番号を 聞いてきた。事業所に かけてもらうよう お願いした。」
体制・自分のこと
- 「13:00 移動中。前の 訪問が 長引き、次まで 5分しか なかった。急いで 運転した。」
- 「12:00 移動中。休憩が 取れず、車の中で 3分だけ 食べた。午後、集中できなかった。」
- 「16:00 竹内様宅。移乗のあと 腰が 痛くなった。サービス提供責任者に 言った。」
- 「14:00 移動中。暑くて 頭が 痛かった。コンビニで 水を 買って 飲んだ。事業所に 伝えた。」
- 「10:00 金子様宅。2人で 行くべき 方だと 思ったが、一人だった。ゆっくり やった。事業所に 伝えた。」
「2人で行くべきだと思ったが、一人だった」——この1本が10枚たまること。それだけが、体制を変える力になります。
文句ではありません。事業所が、ヘルパーの安全と利用者さんの安全を考えるための、いちばん確かな材料です。
書きにくい1本ほど、事業所を変えます
訪問のヒヤリハットには、施設にはない価値があります。事業所の人は、その家を知りません。サービス提供責任者は、初回と、ときどきしか行きません。あなたの3行が、事業所にとってその家の唯一の情報です。
- 「玄関の段差が高い」が3枚たまれば、事業所からケアマネジャーに、手すりや踏み台の相談ができます
- 「薬の袋が残っていた」が続けば、訪問の時間や、お薬カレンダーの置き方を変える相談ができます
- 「ご家族の声がこわい」が書かれれば、2人訪問や担当の変更を考える材料になります(→ハラスメントの記事)
- 「一人では危ないと思った」が書かれれば、計画の見直しにつながります
⚠ ただし、次のものはヒヤリハットではなく「すぐ電話」です。実際にけがをした・頭を打った・薬を飲ませてしまった・詰まらせた・倒れているのを見つけた・状態が急に変わった・虐待を見た、疑った・物を壊した、なくした。まず事業所に電話。紙はそのあとです(→事故が起きたとき、誰に、何を、どの順で)。
まとめ
- 訪問のヒヤリハットも3行。①いつ・どこで ②何があった ③どうした。原因・対策・承認印は要らない
- 場所は少し詳しく(「玄関」「台所の流しの前」)。次に行く人のために
- 書く時間は次の訪問の前の車の中。1行のメモでよい。清書はあとで
- あなたしか見ていない。だから価値がある
- 訪問で多いのは物のこと。花びん・コード・蛇口・鍵・ペット
- 「一人で決めた」「分からなかった」「2人で行くべきだと思った」を書く。それが体制を変える
- けが・誤薬・発見・破損はヒヤリハットではなく、すぐ電話
やさしい 日本語(にほんご)
1 ◎ ヒヤリハットは、3行(ぎょう)で いいです
- ① いつ・どこで →「9月4日 10:20 田中(たなか)さんの 家(いえ)の 玄関(げんかん)」
- ② 何(なに)が あった →「くつを ぬぐ とき、ふらついた」
- ③ どうした →「うでを ささえた」
◎ げんいん・たいさく・はんこ は、いりません。
2 ◎ 場所(ばしょ)は、すこし くわしく
◎ 「田中さんの 家」では なく、「田中さんの 家の 玄関」「台所(だいどころ)の 前(まえ)」。つぎに 行(い)く 人(ひと)が、その 場所を 見(み)られます。
3 ◎ 書(か)く 時間(じかん)は、車(くるま)の 中(なか)で いい
◎ 1行の メモで いいです。「10:20 田中さん 玄関 ふらつき」。きれいに 書くのは、あとで。
4 ◎ あなた しか 見て いません
◎ だから、あなたが 書かないと、じぎょうしょは ずっと わかりません。文句(もんく)では ありません。つぎの 人への 申(もう)し送(おく)りです。
5 ◎ 訪問(ほうもん)で 多(おお)いのは、物(もの)の こと
◎ 花(はな)びん・コード・じゃぐち・かぎ・ペット。「たおれかけた」「わすれそうに なった」も 書きます。
6 ◎ これも 書きます
- 「ひとりで きめた」——「にわの 草(くさ)を たのまれた。できないと 言(い)った」
- 「わからなかった」——「しっぷを はって いいか わからず、じぎょうしょに 聞(き)いた」
- 「2人(ふたり)で 行くべきだと 思(おも)った」——これが たまると、じぎょうしょが かわります
- 「ご家族(かぞく)の 声(こえ)が こわかった」——書いて いいです
7 ⚠ これは ヒヤリハットでは なく、すぐ 電話(でんわ)
⚠ けがを した・あたまを うった・くすりを まちがえた・たおれて いるのを 見つけた・物を こわした、なくした。まず じぎょうしょに 電話。紙(かみ)は あと。
※ この ページは 日本(にほん)の 法律(ほうりつ)と、現場(げんば)の きまりに ついて 書(か)いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
ふりがなと やさしい 日本語は、この 研究所(けんきゅうじょ)が つけた ものです。まちがいが あれば、教(おし)えて ください。
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そのまま印刷して使えます。原因・対策・承認印の欄はありません。丸をつけるだけの版もあります。いずれも一例です。事業所の規程と市町村の要領に合わせて読み替えてお使いください。
様式をダウンロード → 困りごとから調べる根拠にした資料
- 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚生省令第37号) 第19条(サービスの提供の記録)・第28条(サービス提供責任者の責務)
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」平成11年9月17日 老企第25号(解釈通知)
- 公益財団法人介護労働安定センター「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業」報告書(平成29年度老人保健健康増進等事業、平成30年3月)——福祉共済制度(賠償責任補償)の事故報告676件の分析 ——訪問サービス142件のうち紛失・破損の賠償が56.3%
- 厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」令和4年3月改訂版 および同「介護現場におけるハラスメント事例集」令和4年3月(平成30年度老人保健健康増進等事業「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究」の実態調査を含む) ——訪問系サービスの備え(定時・随時の電話連絡、複数人の派遣の検討)
- 当研究所『介護事故防止 実務マニュアル』第8章「ヒヤリハット」——3行の型・例文の元
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。