ヒヤリハットが0件の職場は、いちばん危ない
「今月はヒヤリハット0件でした」
報告としては、良い響きがします。けれど、これはいちばん危ないサインです。
水面の下が空っぽな氷山は、ありません。 0件なら、それは「起きていない」のではなく「見えていない」のです。
もくじ
重い事故の下には、たくさんの「あぶなかった」がある
見えていないものは、そのまま育って、いつか水面の上に出てきます。
"0 báo cáo" không có nghĩa là an toàn — mà là chúng ta không nhìn thấy.ヒヤリハットとは、どこまでを言うのか
| こういうもの | 例 |
|---|---|
| もう少しで事故になった | 薬を渡す直前に、名前を読んで気づいた/転びかけて、支えて止めた |
| やってしまったが、何も起きなかった | 薬を飲ませたあとに間違いに気づいたが、体調に変化がなかった |
| あぶないと感じた | 床が濡れていた/柵のすき間が広い気がした/ブレーキが効きにくかった |
| いつもと違った | いつも歩ける方が、今日はふらついていた/食事の時間が長くなった |
| 対応できなかった | ひとりで移乗するしかなかった/呼びたかったが呼べなかった |
| 分からなかった | やり方が分からず、迷いながらやった/指示の意味が分からなかった |
いちばん下の2つを、忘れないでください。
「ひとりでやるしかなかった」「分からないままやった」も、りっぱなヒヤリハットです。
これは職員の失敗ではなく、体制と教育の問題です。
でも、書かれなければ、施設には見えません。書いてください。
0件のとき、まずやること
「もっと出しなさい」と言っても、出ません。出せない理由のほうを、1つずつ点検してください。
- 出した人に、まず「ありがとう」と言えているか
- 用紙が、手の届くところにあるか
- 3行で終わる様式になっているか
- 記入例が、用紙のとなりに貼ってあるか
- 出したあと、「これは、こう変えました」を返しているか
- 過去に、出した人を責めてしまったことはないか
7つの理由は 職員がヒヤリハットを書かない7つの理由 に整理しました。
出しやすい職場のしるし/出なくなる職場のしるし
用紙が、手の届くところにある
3行で終わる
出したら「ありがとう」と言われる
1か月後に「変わったこと」が貼ってある
「これも書いていいですか」と聞ける
用紙を探すところから始まる
原因と対策の欄が大きい
出すと呼ばれて聞かれる
出しても何も変わらない
前に出したとき、責められた
事故だけを数えない
事故とヒヤリハットは、必ず両方数えてください。 事故だけを数えると「今月は0件でした」で終わります。 ヒヤリハットの数が、その職場の本当の状態を表します。
報告数が急に減ったときは、危険なサインです。 減ったのではなく、報告しにくくなった可能性があります。 まず「報告してくれてありがとう」を言えているか、チームで確認してください。
誤薬を工程べつに数える方法は 誤薬を工程べつに数える にあります。同じ考え方が、どの事故にも使えます。
1件では分からない。30件で見えてくる
「トレイで隣だった」という報告が1件では、何も分かりません。 30件たまると、「トレイの並べ方を変えれば事故が減る」ということが分かります。
だから、1件ずつの中身を深く聞くより、件数を集めるほうが先です。 3行の報告を100枚集めるほうが、詳しい報告を3枚集めるより役に立ちます。
まとめ
- 0件は安全ではなく、見えていないということ
- 「ひとりでやるしかなかった」「分からないままやった」も書く
- 出ないのは意識ではなく、出せない理由があるから
- まず「ありがとう」。次に結果を返す
- 事故とヒヤリハットを両方数える
- 報告数が急に減ったら、危険なサイン
- 1件では分からない。30件で見えてくる
あわせて読む
根拠にした資料
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
- 厚生労働省 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)に関する案内
- 厚生労働省 労働安全衛生法に基づく事業場におけるメンタルヘルス対策・産業保健に関する指針
- 公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業(ヒヤリ・ハット事例収集)
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。