ホーム記事 > ヒヤリハット > 0件の危険
ヒヤリハット

ヒヤリハットが0件の職場は、いちばん危ない

「今月はヒヤリハット0件でした」

報告としては、良い響きがします。けれど、これはいちばん危ないサインです。

水面の下が空っぽな氷山は、ありません。 0件なら、それは「起きていない」のではなく「見えていない」のです。

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 重い事故の下には、たくさんの「あぶなかった」がある
  2. ヒヤリハットとは、どこまでを言うのか
  3. 0件のとき、まずやること
  4. 出しやすい職場のしるし/出なくなる職場のしるし
  5. 事故だけを数えない
  6. 1件では分からない。30件で見えてくる
  7. まとめ

重い事故の下には、たくさんの「あぶなかった」がある

重い事故 骨折・入院・受診 1件 軽いけが あざ・すり傷・むせ 数十件 ヒヤリハット 「あぶなかった」「もう少しで」 何百件 下の緑を集めれば、 上の赤を減らせます
図:事故とヒヤリハットの関係(模式図)。件数は考え方を示す目安です

見えていないものは、そのまま育って、いつか水面の上に出てきます。

"0 báo cáo" không có nghĩa là an toàn — mà là chúng ta không nhìn thấy.

ヒヤリハットとは、どこまでを言うのか

こういうもの
もう少しで事故になった薬を渡す直前に、名前を読んで気づいた/転びかけて、支えて止めた
やってしまったが、何も起きなかった薬を飲ませたあとに間違いに気づいたが、体調に変化がなかった
あぶないと感じた床が濡れていた/柵のすき間が広い気がした/ブレーキが効きにくかった
いつもと違ったいつも歩ける方が、今日はふらついていた/食事の時間が長くなった
対応できなかったひとりで移乗するしかなかった/呼びたかったが呼べなかった
分からなかったやり方が分からず、迷いながらやった/指示の意味が分からなかった

いちばん下の2つを、忘れないでください。
「ひとりでやるしかなかった」「分からないままやった」も、りっぱなヒヤリハットです。
これは職員の失敗ではなく、体制と教育の問題です。 でも、書かれなければ、施設には見えません。書いてください。

0件のとき、まずやること

「もっと出しなさい」と言っても、出ません。出せない理由のほうを、1つずつ点検してください。

7つの理由は 職員がヒヤリハットを書かない7つの理由 に整理しました。

出しやすい職場のしるし/出なくなる職場のしるし

〇 出しやすい職場

用紙が、手の届くところにある
3行で終わる
出したら「ありがとう」と言われる
1か月後に「変わったこと」が貼ってある
「これも書いていいですか」と聞ける

✕ 出なくなる職場

用紙を探すところから始まる
原因と対策の欄が大きい
出すと呼ばれて聞かれる
出しても何も変わらない
前に出したとき、責められた

事故だけを数えない

事故とヒヤリハットは、必ず両方数えてください。 事故だけを数えると「今月は0件でした」で終わります。 ヒヤリハットの数が、その職場の本当の状態を表します。

報告数が急に減ったときは、危険なサインです。 減ったのではなく、報告しにくくなった可能性があります。 まず「報告してくれてありがとう」を言えているか、チームで確認してください。

誤薬を工程べつに数える方法は 誤薬を工程べつに数える にあります。同じ考え方が、どの事故にも使えます。

1件では分からない。30件で見えてくる

「トレイで隣だった」という報告が1件では、何も分かりません。 30件たまると、「トレイの並べ方を変えれば事故が減る」ということが分かります。

だから、1件ずつの中身を深く聞くより、件数を集めるほうが先です。 3行の報告を100枚集めるほうが、詳しい報告を3枚集めるより役に立ちます。

まとめ

この方は、どこに気をつける?

利用者さんの状態を選ぶと、注意する場面と部位が出ます。印刷して、カンファレンスの資料に使えます。

困りごとから調べる → 様式をダウンロード

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
  • 厚生労働省 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)に関する案内
  • 厚生労働省 労働安全衛生法に基づく事業場におけるメンタルヘルス対策・産業保健に関する指針
  • 公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業(ヒヤリ・ハット事例収集)
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 手順・寸法・時間は、すべて目安一例です。 判断に迷うこと、いつもと違うと感じたことは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。