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内出血・あざ

わき・上うでのあざは、なぜ「赤ゾーン」なのか

すねのあざは「またぶつけたのかな」で済むのに、
わきのあざは、なぜ報告しなければいけないのか。

理由は、ひとつです。わきと上うでの内側は、ご自分ではぶつけにくい場所だからです。

これは、誰かを疑うための分類ではありません。 見つけた職員が、ひとりで判断しなくてよいようにするための分類です。

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 「赤ゾーン」とは、自分ではぶつけにくい場所のことです
  2. わきのあざは、多くが「支えかた」から来ています
  3. かわりに、どう支えるか
  4. 用具のせいで、抱え上げになっていることがあります
  5. 見つけたときに、何をするか
  6. 責める話にしないための、進め方
  7. まとめ

「赤ゾーン」とは、自分ではぶつけにくい場所のことです

あざの部位は、ご自分でぶつけられる場所と、ぶつけにくい場所に分けて考えると整理できます。 この記事で扱うわき(腋窩)上うで(上腕)の内側は、後者です。

すねやひじは、歩いても、車いすでも、寝返りでも当たります。 けれど、わきの下や上うでの内側は、日常の動作でぶつかる物がほとんどありません。 だから、あざがあること自体が「何かがあった」というサインになります。

みどり
  • 前うで・手の甲

ぶつけていなくてもできます

きいろ
  • すね・ひざ・ひじ
  • かかと・こし

当たる物を直せば減ることがあります

あか
  • わき・上うで
  • 顔・耳・首・おなか
  • 背中・おしり・内もも

件数に関係なく、1件ずつ検討します

赤ゾーンは「疑うための分類」ではありません。 ひとりで判断しないための分類です。
原因が推定できていても、リーダー以上に上げる。それだけが決まりごとです。

わきのあざは、多くが「支えかた」から来ています

わき・上うでの内側にあざができる状況として、まず挙がるのが移乗のときの支えかたです。

急いでいるとき、人は無意識にわきの下に手を入れて引き上げようとします。 このとき、力は指先の数点に集まります。点に力がかかると、丸いあざが並んで残ります。

✕ 指でつかむ(点) ← 丸い跡が並びます 力が数点に集まります。 わき・上うでの内側は皮ふがうすく、 血管も浅いところを通っています。 急いでいるときほど、この形が出ます。 〇 手のひら全体で支える(面) ← 力が散ります 手のひら全体で、肩甲骨と骨盤を支える。 腕は引かず、自分の体を近づける。 スライディングシート・ボード・リフトを 使えば、力も皮ふも守れます。
図:点で支えるか、面で支えるか。同じ介助でも、皮ふにかかる力が変わります

これは、技術が足りないという話ではありません。
急いでいると、誰でもこうなります。人手が足りない時間帯に、この形のあざが増えるなら、 それは個人の問題ではなく人の配置と用具の問題として扱ってください。

かわりに、どう支えるか

やめる方法だけを決めても、現場は動きません。かわりの動作を、セットで決めてください。

✕ やりがちなこと〇 かわりにやること(一例)
わきの下に手を入れて引き上げる肩甲骨と骨盤を面で支える。または、立ち上がりを待つ
手首をつかんで引く前うでの下に手を添える。引かずに、方向だけ示す
ベッド上で体を引きずるスライディングシートを敷いて滑らせる
そで口を持って腕を通す職員の手を先に通し、本人の手を迎えに行く
足を持ってひねるひざを立て、ひざと骨盤を一緒に動かす
ひとりで無理をする応援を呼ぶ。呼べることが技術ですXin hãy giúp tôi. (Cần hai người.)

職員の身なりも、あざの量に関わります。
つめは短く。指輪・腕時計・ブレスレット・名札のストラップは外す。 面で支えていても、つめが長ければ点になります。

用具のせいで、抱え上げになっていることがあります

「わきを持たないように」と伝えても減らないとき、そうせざるを得ない事情がないか見てください。

こんな状況起きること
アームサポートが固定式 横から移せません。スライディングボードも使えないため、抱え上げになりがちです
車いすがベッドから遠い 距離を体で埋めることになり、引っぱる動きが出ます
ベッドの高さが合っていない 持ち上げる動きになります。高さを合わせるだけで変わることがあります
スライディングシートが詰所にしかない 取りに行く時間がないと、使われません。居室に置いてあるかを見てください

「気をつけましょう」で減らないものは、たいてい環境のほうに理由があります。

道具の置き場所、ベッドの高さ、機種。ここを変えるほうが、確実なことが多いとされています。

見つけたときに、何をするか

わき・上うでのあざを見つけたときの手順です。順番を変えないでください。

やること
1手を止めて、ご本人に聞く。「ここ、痛いですか」「いつからですか」Ông/Bà có đau ở đây không ạ? Từ khi nào ạ?
2その場で記録する。時刻・部位・大きさ・色・・本人の言葉。ボディマップに●
3すぐリーダーを呼ぶ。ひとりで判断しない。「たぶん◯◯」と書かない
4看護師へつなぐ。次の勤務者へ、口でも申し送る
524時間後・3日後にもう一度見る。広がっていないか、増えていないか

記録で、いちばん大事なのは「形」です。
丸い点が並んでいるのか、帯状なのか、面で広がっているのか。 形は、当たった物の形をしています。ここを書き落とすと、あとから何も分かりません。

「疑われるのが怖い」と思ったときこそ、報告してください

高齢者虐待防止法では、「疑い」の段階で通報・報告してよいと定められており、 報告した人は保護されます。調査するのは、見つけた職員の役割ではありません。

報告して違っていたなら、それでよいのです。 報告しなかったことのほうが、はるかに重い問題になります。

この点をくわしく書いた記事があります → 「虐待では」と疑われないための、あざの記録

責める話にしないための、進め方

赤ゾーンのあざが出たあと、カンファレンスの最初の一言で、その後が決まります。

言ってはいけない
  • 「なんで気づかなかったの」
  • 「誰が担当だった?」
  • 「ちゃんと見てって言ったよね」
  • 「これくらい常識でしょう」
言ってほしい
  • 「報告してくれて、ありがとう」
  • 「見つけてくれたから対策できます」
  • 「どこが危ないと思いますか」
  • 「分からないままでいいので、出してください」

報告が急に減ったときは、危険なサインです。 あざが減ったのではなく、報告しにくくなった可能性があります。 そうなると、本当に確認が必要なあざを見つけられなくなります。 Cảm ơn bạn đã báo cáo.

集計では、件数で扱わない

すねのあざは「今月8件」と数えて設備の話にできます。 けれど赤ゾーンは、1件でも個別に検討します。時間帯・状況・その方の状態を、1件ずつ見てください。

まとめ

この記事は、原因を決めるためのものではありません。 赤ゾーンのあざの原因を判断するのは、見つけた職員ではありません。 事実を、形まで含めて正確に残し、上げる。そこまでが役割です。

この方は、どこに気をつける?

利用者さんの状態を選ぶと、注意する部位が体の図で出ます。印刷して、カンファレンスの資料に使えます。

あざのリスクを調べる → 様式をダウンロード

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)
  • 厚生労働省「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」
  • 厚生労働省「介護施設・事業所等における高齢者虐待防止に向けた手引き」
  • 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 手順・寸法・時間は、すべて目安一例です。 皮ふの異常、押しても消えない赤み、急に広がるあざ、痛みを伴うものは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。