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どこから考えるか

移乗で崩れることが増えたとき、どこから考えるか

まず、これだけ

移乗の途中で、体が崩れる。とっさに支えて、なんとかいすに下ろす。そういう日が増えてきました。そのうち、職員の腰も痛くなります。

見るところは3つです。距離と角度/その方の変化/人手。この3つで、ほとんど説明がつきます。

そして、いちばん大事なのはこれです。「1人でやるか、2人でやるか」を、その場の判断にしないでください。忙しい日ほど1人になり、崩れるのは、たいていその日です。

やさしい日本語で読むくわしく読む

最終更新:2026年9月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 「力が足りない」で終わらせない
  2. 5つの方向に分けて確かめる
  3. ① 用具・設定 — 高さをそろえる
  4. ② その方の変化 — 立てなくなってきた
  5. ③ 環境 — スペース
  6. ④ 手順 — 距離と角度
  7. ⑤ 体制 — 1人か2人かを決めておく
  8. 確かめたことを、記録に残す
  9. まとめ

「力が足りない」で終わらせない

崩れると、どうしても「自分の力が足りなかった」と思います。⚠ でも、力で解決する方向に行くと、次は職員が壊れます。腰痛は、介護の労災でいちばん多い形のひとつです。

「もっと しっかり支える」は、対策になりません。そして、腰を痛めた人が現場から抜けると、残った人がもっと1人でやることになります。悪くなる方向にしか進みません。

崩れるのは、たいてい「遠い」か「ねじれている」ときです。

ベッドと車いすが遠い。角度がついていて、体をひねって移す。この2つを直すだけで、必要な力が大きく減ります。◎ そして、これは今日変えられます。

5つの方向に分けて確かめる

方向移乗では、とくにここ
① 用具・設定ベッドと車いすの高さ・ブレーキ・アームサポート・フットサポート・スライディングボード
② その方の変化立てなくなってきた・痛み・薬・むくみ・その日の調子の波
③ 環境スペース・床・靴。物が置かれていないか
④ 手順距離と角度。持つ場所。介助者によって違っていないか
⑤ 体制・人数1人か2人かが決まっているか。時間帯によって変わっていないか

① 用具・設定 — 高さをそろえる

1用具・設定

いちばん効くのは、高さです。今日、その場で変えられます。

当てはまったら →ベッドの高さを合わせるだけで、必要な力が変わります。リハビリ職・福祉用具専門相談員に相談してください。

② その方の変化 — 立てなくなってきた

2その方の変化

やり方を変えていないのに崩れるようになったなら、その方が変わっています。

当てはまったら → 看護師・リハビリ職に伝えてください。◎ 「〇月ごろから、右足に力が入らないことが増えました」——事実で十分です。  なぜ「数値だけ報告して」と言われるのか

③ 環境 — スペース

3環境

ここも今日変えられます。

当てはまったら →家具を30cm動かすだけで、角度が変えられることがあります。会議は要りません。

④ 手順 — 距離と角度

4手順

ここが中心です。そして介助者ごとに違っていることが多いところです。

当てはまったら →「この方は、ベッドと車いすを30度・こぶし1つ分の距離で」と1行決めて、申し送りと記録に書いてください。統一が、いちばん効きます。  背の合図を統一する  脇の下をつかまない

⑤ 体制 — 1人か2人かを決めておく

5体制・人数・伝達

この記事で、いちばん大事なところです。

当てはまったら →これは現場だけでは変えられません。「その方は2人」と紙に書いて決めるだけでも、大きく変わります。管理者に上げてください。

確かめたことを、記録に残す

崩れたときは、「崩れた」だけでなく、そのときの条件を書いてください。時間帯/1人だったか2人だったか/どこからどこへ/その日の様子。とくに「1人だったか」は、隠さず書いてください。これが無いと、体制の話にたどり着けません。

変えるのは、1つか2つだけ

✕ こう書くと動かない

「移乗時に注意する」
「ボディメカニクスを意識する」
「声かけを徹底する」

誰が・どうするかが ありません。そして、腰痛だけが残ります。

〇 こう書くと動く

「〇〇さんの移乗は2人、と決めた(〇月〇日から)」
「ベッドの高さを50cmに固定した(〇月〇日)」
「車いすを30度に置く、と申し送りに書いた」

人数と数字と期日があります。

まとめ

やさしい 日本語(にほんご)

1 なにが おきますか

移乗(いじょう)の とちゅうで、体(からだ)が くずれます。
あわてて ささえます。あなたの こしも いたく なります。

2 「力(ちから)が たりない」と 思(おも)わないで ください

力で なんとか すると、こんどは あなたが こわれます。
 こしを いためる 人(ひと)は、とても 多(おお)いです。

3 くずれるのは、たいてい この2つ

とおい …… ベッドと 車(くるま)いすが はなれて いる
ねじれて いる …… 角度(かくど)が ついて いる

この2つを 直(なお)すと、いる 力が すごく へります。きょう できます。

4 きょう できる こと

5 いちばん だいじな こと

「1人(ひとり)で やるか、2人(ふたり)で やるか」を、その場(ば)で 決(き)めないで ください。

いそがしい 日(ひ)ほど 1人に なります。
くずれるのは、たいてい その日です。

紙(かみ)に「この人は 2人」と 書(か)いて おきます。それだけで かわります。

6 記録(きろく)に 書(か)く こと

「1人だったか、2人だったか」を、かくさず 書いて ください。
 これが ないと、人(ひと)を ふやす 話(はなし)に なりません。

※ この ページは 答(こた)えを 出(だ)す ための ものでは ありません。たしかめる 順番(じゅんばん)を つくる ための ものです。体(からだ)の 評価(ひょうか)と 用具(ようぐ)は、リハビリの 人・福祉用具(ふくしようぐ)の 人が 決(き)めます。

移乗の手順を1行で決める様式を配っています

距離・角度・持つ場所・1人か2人か。1枚に収まる形にしています。いずれも一例です。事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。

様式をダウンロード → 困りごとから調べる

この記事の使い方

  • ①の高さから見てください。いちばん効いて、今日できます
  • ⑤の「1人か2人か」は、紙に書いて決めてください
  • 変えるのは1つか2つだけ
  • 確かめて「当たらなかった」方向も、記録に残してください
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。ここに挙げた質問は、原因を特定するためのものではありません。確かめる順番を作るためのものです。 身体機能の評価、移乗方法の決定、福祉用具の選定は、医師・看護師・リハビリ職・福祉用具専門相談員が行います。 介助方法は、その方の状態と事業所の規程によって変わります。 実際の対応は、所属事業所の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。