「せーの」の合図を、施設で統一する
「せーの」「1・2・3」「いきますよ」。施設によってバラバラです。
2人介助のとき、合図が違うとタイミングがずれて、崩れます。
そして「せーの」は、教科書に載っていない言葉です。 はじめて日本の現場で働く職員には、必ず最初に教えてください。
合図がずれると、何が起きるか
2人で支えているとき、片方が先に動くと、その瞬間、もう片方に全部の重さがかかります。
支えきれなければ崩れます。支えきれても、その職員の腰に一気に負担がかかります。
合図は、技術ではなく「決めごと」です。
決めていなければ、うまい職員どうしでもずれます。
決めておくこと
| 決めること | 中身(一例) |
|---|---|
| 合図の言葉 | 「せーの」/「1・2・3」/「いきますよ」のどれかに1つに決める |
| どのタイミングで動くか | 「せーの」のあとに動くのか、「の」で動くのか。ここがいちばんずれます |
| 誰が出すか | 頭側の職員など、役割で決める。その場の空気で決めない |
| 利用者さんへの声かけ | 合図の前に「立ちますよ」と伝える。本人にも参加してもらう |
| 中止の合図 | 「ストップ」を決めておく。途中でやめられることが大事です |
「中止の合図」を決めている施設は、意外と少ないです。 途中で「おかしい」と思ったとき、止められる言葉があるかどうかで、崩れかたが変わります。 「ストップ」「いったん座ります」など、短い言葉を1つ決めてください。
準備の声出しも、そろえる
合図だけでなく、準備の確認も声に出すと、飛ばさなくなります。
- 「ブレーキ、よし」
- 「フットサポート、上げます」
- 「高さ、合わせます」
- 「ベッド、下げます」(介助のあと)
声に出すと、まわりの職員も気づけます。 そして、はじめて日本の現場で働く職員にも、これがいちばん伝わる教え方です。
はじめての職員に、最初に教えること
| 教えること | なぜ |
|---|---|
| 合図の言葉と、動くタイミング | 教科書に載っていない言葉だからです |
| 中止の合図 | 止められないと、無理に続けてしまいます |
| 「手伝ってください」の言い方 | 呼べることが技術です |
| 「ひとりでは不安です」と言ってよいこと | 言える職場が、事故の少ない職場です |
| わきをつかまないこと | 母国での習慣と違うことがあります(→ わきをつかまない) |
「せーの」で一気に持ち上げない
合図をそろえることと、力で一気に持ち上げることは別です。
本人におじぎをしてもらってから、前へ重心を移す。 職員は支えるだけ。足ごと向きを変える。腰をひねらない。
立ち上がりの手順は 移乗は力ではなく距離と角度 にまとめてあります。
2人で入るときの、役割分担
- 合図を出す人を決める(頭側など)
- 足が絡まる方は、1人が足を担当する
- ストレッチャーへの移乗は、高さを合わせてから、合図をそろえて
- 移ったらすぐ柵を上げる
- 終わったらベッドを下げる(どちらが下げるかも決めておく)
「どちらが下げるか決まっていなかった」は、下げ忘れのよくある原因です。 2人介助のときこそ、最後の1つを誰がやるかを決めてください。
まとめ
- 合図がずれると、片方に全部の重さがかかる
- 言葉を1つに決める。「の」で動くのか、あとで動くのかまで
- 中止の合図も決める
- 準備の確認も声に出す(ブレーキ・フットサポート・高さ)
- 「せーの」は教科書に載っていない言葉。最初に教える
- 合図をそろえることと、力で持ち上げることは別
- 2人のとき、ベッドを下げる担当も決めておく
やさしい 日本語(にほんご)
1 ⚠ あいずが ずれると、かた方(ほう)に 全部(ぜんぶ)の おもさが かかります
⚠ これで こしを いためます。
2 ◎ ことばを 1つに きめます
◎ 「せーの」で うごくのか、「せーの」の あとで うごくのか。ここまで きめます。
⚠ 人(ひと)に よって ちがうと、あぶないです。
3 ◎ やめる あいずも きめます
◎ 「ストップ」——みじかい ことばに します。
4 ◎ じゅんびの かくにんも 声(こえ)に 出(だ)します
- ブレーキ
- フットサポート(足(あし)を のせる ところ)
- ベッドの 高(たか)さ
◎ 「ブレーキ、いいですか」と 聞(き)いて ください。
5 ⚠ 「せーの」は、教科書(きょうかしょ)に ない ことばです
⚠ 日本(にほん)の 学校(がっこう)でも ならいません。
◎ 知(し)らなくて あたりまえです。さいしょに 聞いて ください。
6 ⚠ あいずを そろえる ことと、力(ちから)で もちあげる ことは べつです
◎ あいずが そろっても、ひとりで もちあげては いけません。
7 ◎ 2人(ふたり)の ときは、ベッドを 下げる 人も きめます
※ この ページは 日本(にほん)の 法律(ほうりつ)と、現場(げんば)の きまりに ついて 書(か)いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
ふりがなと やさしい 日本語は、この 研究所(けんきゅうじょ)が つけた ものです。まちがいが あれば、教(おし)えて ください。
あわせて読む
根拠にした資料
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
- 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月18日 基発0618第1号)
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
- 厚生労働省 労働者災害補償保険(労災保険)制度に関する一般向け案内
- 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 介護作業の腰痛予防に関する資料
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。