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移乗

途中で崩れたら、引き上げない。ゆっくり床へ

移乗の途中で、ひざが折れた。急に力が抜けた。

とっさに引き上げようとします。そこを、こらえてください。

引き上げると、自分の腰が壊れます。そして支えきれずに、2人で倒れます。 ここを間違えると、2人ともけがをします。

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 1 引き上げようとしない。ゆっくり床へ下ろす
  2. 2 床に下ろしたら、そこで止める
  3. 3 その場で見る(30秒)
  4. 4 職員自身も確認する
  5. 5 リーダーへ第一報(5分以内)
  6. やってはいけないこと
  7. 床から起こすとき
  8. そのあとの観察
  9. 記録には、方法・人数・用具を残す
  10. まとめ

1 引き上げようとしない。ゆっくり床へ下ろす

体を自分に引き寄せ、自分の足とひざを使って、ゆっくり床にすべらせます。

床に座らせるのは、失敗ではありません。

支えきれないと分かった時点で、いちばん安全な場所は床です。

無理に持ち上げれば、2人とも転びます。下ろせた人は、うまく対処できた人です。
「落としてしまった」と思わないでください。

Đừng cố kéo lên. Hãy từ từ hạ xuống sàn — đó không phải là thất bại.

2 床に下ろしたら、そこで止める

すぐに起こさないでください。下ろす途中で、どこかを打っているかもしれません。 まず、そのままの姿勢で確認します。

3 その場で見る(30秒)

意識/出血/変形/痛み/頭を打ったか/どこかにぶつけたか(ベッドの角・車いすのフレーム・フットサポート)。

1つでも当てはまる

返事がない・ぼんやり/手足が変形している/動かせない・激しく痛がる/頭を打った・打ったか不明/股のつけ根を痛がる/抗凝固薬を飲んでいる
そのまま動かさない。すぐ応援と看護師。

どれも当てはまらない

バイタルを測る/手足をゆっくり動かしてもらう/2人以上で起こす/座位で数分ようすを見る
それでも必ず看護師へ報告。

4 職員自身も確認する

腰・肩・手首。「大丈夫です」と言わずに、痛みがあればその場で申告してください。

これは労災になる場合があります。あとから言うと、認められにくくなります。
くわしくは 介助での腰痛は、あなたのやり方が悪いからではない をご覧ください。

5 リーダーへ第一報(5分以内)

そのまま言える言い方(一例)

「〇〇さんの移乗中、途中で崩れたので床に下ろしました。 ひとりで介助していました。頭は打っていません。」

「ひとりで介助していた」を隠さないでください。 そこが、次に変えるべきところです。書かないと「2人でやる基準を作る」という対策が出せません。

やってはいけないこと

とっさに引き上げる □ ひとりで床から抱え上げる □ 「立てますか」と立たせる
自分の痛みを黙っている □ 「ひとりでやっていた」ことを隠す □ 片づけてから報告する

床から起こすとき

そのあとの観察

いつ見ること出たらどうする
直後意識・痛み・変形・出血・頭部打撲1つでも → 動かさず看護師へ
24時間あざ・皮ふのすり傷/立てるか・歩けるか/食事の量看護師へ報告。ボディマップに記録
数日かばう動き/急に立ち上がらなくなった/痛みの訴え骨折を見のがしている可能性。受診を検討
1〜2か月頭を打った場合:ぼんやりする・急に歩けなくなった慢性硬膜下血腫の疑い。受診

移乗事故のあとは、必ず全身の皮ふを見てください。 抱えたときに、わき・上うでを指でつかんでいることがあります。それは赤ゾーンのあざとして扱われます。

隠さずに、その場で記録してください。 「移乗介助中に、わきを支えた際についた可能性がある」と書いてあれば、それは事実の記録です。 書いていないほうが、あとで問題になります。

記録には、方法・人数・用具を残す

✕ よくない記録

「10:20 移乗介助中、ふらつきあり床に座り込む。外傷なし。経過観察。」
→ 方法も人数も用具も環境もありません。「次から気をつける」以外の対策が出せません。 すり傷があるのに「外傷なし」と書いているのも問題です。

〇 よい記録

「ベッド→車いすの移乗中、立位から回旋する途中で膝折れあり。支えきれず床へ緩やかに降ろした。実施は職員1名、用具の使用なし。車いすは正面向き・約50cm離れており、フットサポートは装着したままだった。…介助者に腰部の違和感あり、その場でリーダーへ申告。当面2名対応とする。」

距離と向きとフットサポートが書けていれば、対策がその場で決まります。 記録用紙は 様式のダウンロード から印刷できます。

まとめ

この方は、どこに気をつける?

利用者さんの状態を選ぶと、注意する場面と部位が出ます。印刷して、カンファレンスの資料に使えます。

困りごとから調べる → 様式をダウンロード

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
  • 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」(平成25年6月18日 基発0618第1号)
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
  • 厚生労働省 労働者災害補償保険(労災保険)制度に関する一般向け案内
  • 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 介護作業の腰痛予防に関する資料
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 手順・寸法・時間は、すべて目安一例です。 判断に迷うこと、いつもと違うと感じたことは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。