栄養士・管理栄養士は、何をする人か
◎ 食事の「中身」を決める側の人です。何を、どの形で、どの濃さで出すか。介護職はそれを運び、食べる様子を見て、気づいたことを返します。
⚠ 「栄養士」と「管理栄養士」は、別の資格です。どちらも法律に定義があり、できることの書き方が違います。
◎ 特養には1人以上置くことになっています。ただし小さい施設には、置かなくてよい条件があります。
もくじ
ひとことで言うと
◎ 「栄養の指導」を仕事にする人です。施設では、献立と食事の形、そしてひとりひとりの栄養状態の管理を担います。
⚠ 介護職が「この方、最近食べにくそう」と気づいたとき、それを受け取って形を考える側の人です。 きざみ食は、安全とは限らない
法律にある定義——栄養士と管理栄養士
栄養士法(昭和22年法律第245号)第1条
栄養士とは、都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者。
管理栄養士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、個人の身体の状況・栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導、特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における…特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等を業とする者。
◎ 読み比べると、管理栄養士のほうに「傷病者」「特別の配慮を必要とする給食管理」が入っています。 ⚠ どちらが上、ではありません。免許を出す人(知事か大臣か)と、条文が書いている仕事の範囲が違う、ということです。
条文にある配置——「1以上、ただし」
指定介護老人福祉施設の基準(平成11年厚生省令第39号)第2条第1項第4号——栄養士又は管理栄養士 1以上
同 第2条第1項 ただし書——入所定員が40人を超えない施設で、他の社会福祉施設等の栄養士又は管理栄養士との連携を図ることにより効果的な運営が期待でき、入所者の処遇に支障がないときは、置かないことができる。
⚠ だから、栄養士が常にいる施設と、隣の施設の栄養士と兼ねている施設があります。◎ 小さい施設で「栄養士さんは週に1回」でも、条文の中です。 解釈通知も、隣接施設の栄養士との兼務や、地域の栄養指導員との連携で適切な栄養管理が行われている場合を挙げています。
条文が決めている仕事——食事・栄養管理・口腔
| 条文 | 決めていること |
|---|---|
| 省令39号 第14条第1項 (食事) | ◎ 栄養並びに入所者の心身の状況及び嗜好を考慮した食事を、適切な時間に提供する |
| 同 第14条第2項 | 入所者が可能な限り離床して、食堂で食事を摂ることを支援する |
| 同 第17条の2 (栄養管理) | ◎ 各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行う |
| 同 第17条の3 (口腔衛生の管理) | 口腔衛生の管理体制を整備し、各入所者の状態に応じた口腔衛生の管理を計画的に行う |
◎ 主語はどれも「施設は」です。栄養士はそれを担う人。⚠ 「嗜好を考慮」も条文にあります。好き嫌いを聞くのは、わがままに応えることではなく、条文の中の仕事です。 ◎ そして「計画的に」。ひとりひとりの栄養管理を、その場の判断ではなく計画で行う、と書かれています。
食事の形を、誰が決めるのか
⚠ 食事の形(きざみ・ソフト・とろみの濃さ)を決めるのは、介護職ではありません。 ◎ 医師・歯科医師・言語聴覚士・管理栄養士などが、その方の状態を見て決めます。栄養士・管理栄養士は、その「決める側」のひとりです。
◎ 介護職の仕事は、「どこで、どう困っているか」を具体的に伝えること。 「口の中に残る」「むせが増えた」「食事の時間が延びた」「体重が減った」——この報告が、形を変える根拠になります。 とろみの濃さが職員でバラバラなのは、それ自体が事故要因
⚠ 逆に、介護職がその場でとろみを濃くする・薄くするのは、決める側の仕事に入ることになります。◎ 報告して、変えるかどうかは決める側へ。
条文が決めていないところ
- 食事の形を変えるとき、誰が集まって、いつ決めるか(会議の形)
- 介護職が、何を・どの様式で栄養士に報告するか
- 体重をどれくらいの間隔で測るか
- 栄養士が食事の場面を直接見る機会があるか(⚠ 兼務の施設では、少ないことがあります)
- 行事食・おやつの安全を、誰が確かめるか
◎ これらは、栄養管理の計画と、事業所の運営規程で決まっています。運営規程には 「従業者の職種、員数及び職務の内容」を書くことになっています(省令39号第23条第2号)。
この人に頼めること/頼めないこと
食事の形・とろみの濃さの相談(報告→検討)
体重が減っている方の相談
水分がとれていない方の相談
好き嫌い・宗教上の食事の相談(嗜好は条文の中です)
行事食・おやつで詰まりやすいものの確認
飲み込みの評価そのもの(医師・言語聴覚士の仕事です)
薬のこと
介護職がその場で形を変える許可
⚠ 「とろみを濃くしていいですか」は、その場の返事では変わりません。
◎ 報告として上げて、計画として変わります
まとめ
- ◎ 「栄養の指導」を業とする人。栄養士は知事の免許、管理栄養士は大臣の免許で、条文が書く仕事の範囲が違う(栄養士法第1条)
- ◎ 特養は1人以上。⚠ 定員40人以下で他施設の栄養士と連携でき、処遇に支障がなければ置かなくてよい(省令39号第2条第1項第4号・ただし書)
- ◎ 食事は「栄養並びに心身の状況及び嗜好を考慮」して「適切な時間」に(第14条)
- ◎ 栄養管理は「各入所者の状態に応じて計画的に」(第17条の2)。口腔衛生の管理も計画的に(第17条の3)
- ⚠ 食事の形を決めるのは介護職ではない。栄養士は決める側のひとり
- ◎ 介護職の仕事は「どこで、どう困っているか」を具体的に報告すること
- ⚠ 会議の形・報告の様式・体重測定の間隔は、施設によって違います
やさしい 日本語(にほんご)
1 ◎ どんな 人(ひと)ですか
ごはんの「なかみ」を きめる 人です。
何(なに)を、どんな かたちで、どんな こさで 出(だ)すか。
◎ あなたは、ごはんを はこんで、食(た)べる ようすを 見(み)て、気(き)づいた ことを つたえます。
2 ⚠ 「栄養士(えいようし)」と「管理栄養士(かんりえいようし)」は べつの 資格(しかく)です
◎ どちらも 法律(ほうりつ)に 書(か)いて あります。⚠ どちらが 上(うえ)、では ありません。できる ことの 書き方が ちがいます。
3 ◎ 毎日(まいにち)いる しせつと、いない しせつが あります
◎ 小(ちい)さい しせつでは、となりの しせつの 栄養士と いっしょの ことが あります。これも きまりの 中(なか)です。
4 ⚠ ごはんの かたちを きめるのは、あなたでは ありません
◎ 医師(いし)・歯医者(はいしゃ)・ST・栄養士が きめます。
⚠ その場(ば)で とろみを こく したり、うすく したり しません。
◎ あなたの しごとは、「どこで、どう こまって いるか」を つたえる ことです。
5 ◎ こう 言(い)って いいです
- 「口(くち)の 中に のこって います」
- 「むせが ふえました」
- 「ごはんの 時間(じかん)が 長(なが)く なりました」
- 「体重(たいじゅう)が へって います」
◎ この ことばが、かたちを かえる りゆうに なります。
6 ◎ すききらいを 聞(き)くのも、しごとです
◎ 「すきな もの・きらいな ものを 考(かんが)えて 出す」と、きまりに 書いて あります。わがままに こたえて いるのでは ありません。
※ この ページは 一般(いっぱん)の せつめいです。しごとの わけかたは、事業所(じぎょうしょ)に よって ちがいます。かならず あなたの 事業所(じぎょうしょ)で たしかめて ください。
あわせて読む
根拠にした資料
- 栄養士法(昭和22年法律第245号)第1条(栄養士・管理栄養士の定義)
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第2条第1項第4号・同項ただし書(栄養士又は管理栄養士の配置と例外)、第14条(食事)、第17条の2(栄養管理)、第17条の3(口腔衛生の管理)、第23条第2号(運営規程)
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について(平成12年3月17日 老企第43号)第二の2(栄養士を置かないことができる場合)