看護師は、何をする人か
◎ 看護師の仕事は、法律に「2つ」と書かれています。ひとつは療養上の世話、もうひとつは診療の補助です。
⚠ そして、そのうち片方には重い決まりがついています。医師の指示がないとできない。破ったときに罰を受けるのは、事業所ではなくその看護師本人です。
◎ 「すぐに動いてくれない」と感じるとき、たいていこの線で止まっています。意地悪でも、人手不足でもありません。
もくじ
ひとことで言うと
◎ 療養上の世話と、診療の補助を行う人です。国家資格で、免許を受けています。
⚠ 介護の事業所では、もうひとつ役目があります。介護職が気づいたことを受け取って、医療につなぐかどうかを考える入口になっていることです。
法律にある定義 ― 仕事は2つです
保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第5条
「…傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう」
| 2つの仕事 | 中身 |
|---|---|
| 療養上の世話 | 体調の観察、清潔、食事や排せつの援助など。◎ 話が早く進むほうです |
| 診療の補助 | 注射、点滴、傷の処置、吸引など。⚠ 医師の指示が要ります |
片方には、医師の指示が要ります
同じ法律 第37条
「保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、 診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない」
⚠ これは事業所への決まりではなく、看護師本人への決まりです。 ◎ だから「私の判断ではできません」という返事になります。
⚠ そして、指示を出す医師が、その場にいるとは限りません。協力医療機関に連絡して、返事を待つことになります。 「時間がかかっている」ように見えるのは、この待ち時間であることがあります。 くわしくは、こちら
2つを区別した条文は、ありません
⚠ 「療養上の世話」と「診療の補助」を分ける条文は、法律のどこにもありません。 ◎ 区別は、解釈にゆだねられています。
⚠ だから、同じことでも看護師によって答えが違うことがあります。 「前の職場ではやってくれた」と感じるなら、目の前の看護師の姿勢の差ではなく、この解釈の幅かもしれません。
条文が決めていないところ
◎ 資格の中身は法律にありますが、事業所での動き方は事業所が決めています。
- 夜勤帯に看護師がいるかどうか(⚠ 施設によって違います。夜間の基準の条文は「介護職員又は看護職員」と書かれています) なぜ夜勤帯に看護師がいないのか
- いないときの連絡のしかた(オンコール、電話、翌朝まで待つ)
- 介護職が、何を、どの順番で報告するか
- どこまで介護職が判断してよいか
◎ これらは、事業所の運営規程と業務手順で決まっています。運営規程には 「従業者の職種、員数及び職務の内容」を書くことになっています(特養=省令39号第23条第2号)。 その概要は掲示されているか、ウェブサイトに載っています(同第29条)。
この人に頼めること/頼めないこと
体調の観察と、その見立て
受診が必要かどうかの相談
医師への連絡と、指示の確認
介護職が気づいたことの受け取り
薬や処置についての説明
医師の指示なしで薬を出す・止める
指示のない処置
「大丈夫」という保証
⚠ 「様子を見ましょう」は、放置ではありません。
指示を待っている、という意味のことがあります
伝え方 ― こう言えば通ります
◎ 看護師が受け取りやすいのは、判断ではなく「見たこと」です。
| △ 伝わりにくい | ◎ 伝わりやすい |
|---|---|
| 「なんとなく元気がないです」 | 「朝食を3割しか召し上がりませんでした。昨日は10割です」 |
| 「熱っぽいです」 | 「10時に37.8度です。8時は36.9度でした」 |
| 「痛そうです」 | 「右膝にふれると顔をしかめられます。昨日はありませんでした」 |
◎ 数字と、前との違い。この2つがあると、看護師は医師に連絡できます。 なぜ「数値だけ報告して」と言われるのか
まとめ
- ◎ 仕事は法律に2つ——療養上の世話と、診療の補助(保助看法第5条)
- ⚠ 診療の補助には、医師の指示が要ります(同第37条)
- ⚠ 罰を受けるのは事業所ではなく、その看護師本人です
- ⚠ 2つを区別した条文はありません。解釈にゆだねられています
- ⚠ 夜勤帯にいるかどうかは、施設によって違います
- ◎ 「様子を見ましょう」は放置ではなく、指示を待っている意味のことがあります
- ◎ 伝えるときは、判断ではなく「数字」と「前との違い」を
やさしい 日本語(にほんご)
1 ◎ 看護師(かんごし)の しごとは 2つです
① 療養上(りょうよう じょう)の 世話(せわ)
= からだの ようすを 見(み)る。せいけつに する。
② 診療(しんりょう)の 補助(ほじょ)
= ちゅうしゃ、てんてき、きずの てあて、きゅういん
2 ⚠ ②には お医者(いしゃ)さんの 指示(しじ)が いります
⚠ これは、しごとばの きまり では ありません。
⚠ 看護師(かんごし)さん じしんへの、法律(ほうりつ)の きまりです。
◎ まもらないと、しごとばでは なく その 人(ひと)が ばつを うけます。
◎ だから「わたしの はんだんでは できません」と 言(い)います。
3 ◎ おそい のでは ありません
お医者さんは、いつも そこに いません。
◎ でんわを して、へんじを まって います。
⚠ 「なにも して くれない」のでは ありません。
4 ◎ 「ようすを 見(み)ましょう」の いみ
⚠ ほうって おく、では ありません。
◎ 「お医者さんの へんじを まって います」の ことも あります。
◎ わからない ときは、こう 聞(き)いて いいです。
「いま、なにを まって いますか」
5 ◎ つたえかた ― 数字(すうじ)と、まえとの ちがい
| △ つたわりにくい | ◎ つたわりやすい |
|---|---|
| 「げんきが ないです」 | 「あさごはん、3わり です。きのうは 10わり でした」 |
| 「ねつが ある みたいです」 | 「10じ 37.8ど。8じは 36.9ど でした」 |
◎ 「いくつ」と「きのうと ちがう」。この2つ です。
6 ⚠ よるは、看護師(かんごし)さんが いない ことも あります
⚠ しせつに よって ちがいます。
◎ いない ときの れんらくの しかたを、さきに 聞(き)いて おいて ください。
※ この ページは 一般(いっぱん)の せつめいです。しごとの わけかたは、事業所(じぎょうしょ)に よって ちがいます。かならず あなたの 事業所(じぎょうしょ)で たしかめて ください。
あわせて読む
根拠にした資料
- 保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第5条(看護師の定義)、第37条(医師の指示)
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第23条第2号(運営規程)、第29条(掲示)
- ⚠ 「療養上の世話」と「診療の補助」を区別した規定は、法律・省令に見当たりませんでした。