とろみの濃さが職員でバラバラなのは、それ自体が事故要因
とろみは、水分がのどを速く流れすぎるのを抑えるためのものです。
けれど、職員によって濃さが違うと、その方ののどは毎回ちがうものに対応することになります。
これ自体が事故の原因です。濃すぎるとろみも危険です。
なぜ水にとろみをつけるのか
水・お茶・みそ汁・ジュースのようなサラサラのものは、のどを速く流れます。 飲み込む動きが間に合わず、気管のほうへ入ってしまいます。
実は、水がいちばん危ないのです。
とろみは、そのスピードを落とすためのものです。
濃すぎるとろみも、危険です
スピードが落ちきらず、のどが追いつきません。
とろみをつけた意味がありません。
べたついて、のどに残ります。
残ったものが、あとから気管に入ることがあります。
「濃いほうが安全」ではありません。その方に決められた濃さが、いちばん安全です。
統一するための4つ
□ 使うとろみ剤を1種類に決める(製品が違うと、同じ量でも濃さが変わります)
□ 計量の道具を決める(計量スプーン・計量カップ。目分量にしない)
□ 「薄い・中間・濃い」の見本を作って掲示する
□ その方の濃さを、記録と食札に書く
この4つがそろうと、誰が作っても同じ濃さになります。「なんとなく」で作らない仕組みにするということです。
作るときに、間違えやすいこと
| よくあること | どうするか |
|---|---|
| 目分量でつけている | 計量スプーン・計量カップを使う |
| すぐ出してしまう | とろみをつけたら2〜3分待つ。あとから濃くなります |
| ストローを使っている | ストローは使わない(速く入りすぎます) |
| ふつうのコップで飲んでいる | ふちの切れたコップにすると、上を向かずに飲めます |
| 職員によって濃さが違う | 見本を掲示する。作った人の名前を書く運用にする |
| 薬を水で飲ませている | とろみ水で飲む(水よりも安全) |
とろみの濃さを自分で変えることは、介護職はできません。 「今日はむせるから濃くしよう」と現場で判断しないでください。 むせたことを報告し、濃さを変えるかどうかは、医師・言語聴覚士・看護師・管理栄養士が決めます。
食事の前に、姿勢を整える
とろみをどれだけ丁寧に作っても、あごが上がっていれば、まっすぐ気管に落ちます。
- 90度に座る。浅く座らせない
- 足の裏を床につける(車いすはフットレストから下ろす)
- あごを軽く引く(枕・クッションで調整)
- テーブルはひじの高さ
- ベッド上なら30度以上起こし、頭の後ろに枕
- 介助する人は必ず座る。立ったまま介助すると、あごが上がります
- スプーンは少し下から運ぶ。上から入れない
- 麻痺のある方は健側から入れる
一口目は、とろみ水から
食前に口とのどを湿らせておくと、飲み込みがスムーズになります。
- 食前の口腔ケア・うがい(口を湿らせる)
- 義歯が入っているか、ずれていないか
- 口の体操・唾液腺のマッサージ
- 一口目は水分(とろみ付き)から
記録と、数えかた
記録にはその方の濃さを書いてください。「とろみ付き」だけでは、次の人が同じものを作れません。
そして、むせの回数を食形態・とろみの濃さべつに数えます。 「濃さを変えてから、むせが減った」が数字で見えると、変更を続ける根拠になります。 集計表は 様式のダウンロード から使えます。
まとめ
- 水はのどを速く流れる。とろみはスピードを落とすためのもの
- 濃すぎるとろみも危険。べたついて のどに残る
- とろみ剤1種類・計量の道具・見本の掲示・記録と食札。この4つで統一
- つけたら2〜3分待つ。ストローは使わない
- 濃さを現場で変えない。報告して、判断は専門職へ
- 姿勢が崩れていれば、とろみだけでは守れない
あわせて読む
根拠にした資料
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
- 厚生労働省「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく喀痰吸引等研修および認定特定行為業務従事者の制度
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
- 消費者庁 高齢者の窒息事故に関する注意喚起(もち等による窒息)
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類・とろみの段階に関する一般向け資料
- 日本蘇生協議会(JRC)蘇生ガイドライン 気道異物除去・一次救命処置
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。