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どこから考えるか

転倒がくり返すとき、どこから考えるか

まず、これだけ

同じ方が、何度も転ぶ。そのたびに報告書を書いて、対策を書いて、それでもまた起きる。だんだん、書くことがなくなってきます。

1件ずつ見ているからです。くり返す転倒は、1件では見えません。◎ その方の転倒を、月単位で並べてください。

並べるのは3つだけです。①何時ごろか ②どこか ③そのとき、何をしようとしていたか。この3つを並べるだけで、見えるものが変わります。たいてい、どれかが偏っています。

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最終更新:2026年9月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 1件ずつ見ていると、見えません
  2. 5つの方向に分けて確かめる
  3. ① 用具・設定 — 今日変えられます
  4. ② その方の変化 — 薬をいちばん先に
  5. ③ 環境 — 時間帯もここに入ります
  6. ④ 手順・見守り
  7. ⑤ 体制・人数・伝達
  8. 確かめたことを、記録に残す
  9. まとめ

1件ずつ見ていると、見えません

1件ごとの報告書は、その1件を書くようにできています。だから、くり返しは見えません。「ベッドから立ち上がろうとして転倒」が5回並んでいても、5枚の紙に分かれていると、5回とも別の出来事に見えます。

紙を1枚用意して、その方の転倒だけを並べてください。3列でかまいません。

〇月〇日 5:40/居室のベッドサイド/トイレに行こうとした
〇月〇日 16:20/廊下/食堂へ向かっていた
〇月〇日 5:10/居室のベッドサイド/トイレに行こうとした
〇月〇日 4:55/居室のベッドサイド/トイレに行こうとした

これで、話が変わります。「転倒が4件」ではなく、「早朝、ベッドから、トイレに行こうとして、3件」です。

くり返す転倒は、たいてい時間帯・場所・目的のどれかに偏っています。

偏っていれば、そこを変えればよいことになります。⚠ 偏っていない場合は、②その方の変化を疑ってください。体のほうが変わってきているサインのことがあります。

「見守りを強化する」と書かないでください。4回書いても、4回とも実行できません。誰が・いつ・何をするかが無いからです。

「5時前後に居室をのぞく順番を、〇〇さんから先にする」——これは実行できます。

5つの方向に分けて確かめる

方向くり返す転倒では、とくにここ
① 用具・設定ベッドの高さ/靴と靴下/歩行器・杖の状態。今日変えられます
② その方の変化薬の変更がいちばん多い。そして痛み・むくみ・尿路感染・夜間の頻尿
③ 環境時間帯もここです。早朝・夕方。照明・床・動線に置かれた物
④ 手順・見守りその時間、誰がどこにいたか。ラウンドの順番
⑤ 体制・人数・伝達その時間帯の人数。前回の転倒が、申し送りで共有されていたか

① 用具・設定 — 今日変えられます

1用具・設定

なぜ最初か。今日、その場で変えられるからです。

当てはまったら → リハビリ職・福祉用具専門相談員に相談してください。介護職の仕事は、気づいて報告するところまでです。  困りごとから調べる

② その方の変化 — 薬をいちばん先に

2その方の変化

くり返す転倒では、ここがいちばん見落とされます。「前からよく転ぶ人」で片づけてしまうからです。

当てはまったら → 看護師に伝えてください。⚠ 「薬のせいでは」と言う必要はありません。「〇月〇日から、夜のトイレが2回から4回に増えています」——事実だけで十分です。  なぜ「数値だけ報告して」と言われるのか

③ 環境 — 時間帯もここに入ります

3環境

①と同じで、今日変えられるところが多い方向です。

当てはまったら → 今日のうちに動かしてください。物の位置は、会議を待たなくても変えられます。◎ 変えたら、それも記録に書いてください。

④ 手順・見守り

4手順・見守り

⚠ ここは、人を責める方向に行きやすいところです。書くのは「誰が悪かったか」ではなく「どういう決まりだったか」です。

当てはまったら →ラウンドの順番を変えるのが、いちばん早い対策になることがあります。人も物も増やさずにできます。

⑤ 体制・人数・伝達

5体制・人数・伝達

ここを書かないと、対策が現場の努力だけになります。隠さず書いてください。

当てはまったら →これは現場だけでは変えられません。管理者に上げる材料として、事実を並べてください。

確かめたことを、記録に残す

「当たらなかった」も書いてください。「ベッドの高さと靴は確認、問題なし」——これがあるだけで、次の人はそこを探さなくてすみます。答えが出なくても、確かめていない方向から探せます。

変えるのは、1つか2つだけ

✕ こう書くと動かない

「見守りを強化する」
「情報共有を徹底する」
「本人に声をかける」

誰が・いつまでに・何をするかが、ありません。忙しい日には元に戻ります。

〇 こう書くと動く

「5時台のラウンドを、〇〇さんから回る(〇月〇日から)」
「ポータブルトイレをベッドの右側へ移した(〇月〇日・〇〇)」
「かかとのある靴に替えた(〇月〇日)」

物と時刻と期日があります。

まとめ

やさしい 日本語(にほんご)

1 なにが おきますか

同(おな)じ 人(ひと)が、何回(なんかい)も 転(ころ)びます。
そのたびに 紙(かみ)を 書(か)きます。でも また 転びます。

2 なぜ わからないのですか

1件(けん)ずつ 見(み)て いる からです。
5枚(まい)の 紙に 分(わ)かれて いると、5回とも べつの ことに 見えます。

3 やって みて ください

紙を 1枚(まい)だけ 出(だ)して、その人の 転倒(てんとう)を ならべます。

ならべるのは 3つ だけです。
何時(なんじ)ごろ ② どこ ③ 何(なに)を しようと して いたか

これだけで、見(み)える ものが かわります。
「転倒 4回」ではなく
朝(あさ)5時ごろ・ベッドの よこ・トイレに 行(い)こうと して 3回

4 かならず 見(み)て ほしい もの

5 これは 書(か)いても ダメです

「見守(みまも)りを 強化(きょうか)する」
 ——だれが、いつ、何を するか が ありません。できません。

◎ こう 書(か)きます。
 「5時の 見回(みまわ)りを、〇〇さんから 先(さき)に する

※ この ページは 答(こた)えを 出(だ)す ための ものでは ありません。たしかめる 順番(じゅんばん)を つくる ための ものです。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。

月の集計表を配っています

時間帯・場所・何をしようとしていたか。3つを並べるだけの形にしています。いずれも一例です。事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。

様式をダウンロード → 困りごとから調べる

この記事の使い方

  • ①から順に見てください。①用具と③環境は、今日変えられます
  • 当てはまったものを、全部書き出してください。1つに絞るのは、そのあとです
  • 変えるのは1つか2つだけ。全部やろうとすると、何も実行されません
  • 確かめて「当たらなかった」方向も、記録に残してください
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。ここに挙げた質問は、原因を特定するためのものではありません。確かめる順番を作るためのものです。 薬の影響の評価、医学的な判断、用具の適合は、医師・看護師・薬剤師・リハビリ職・福祉用具専門相談員が行います。ここに書いたのは、気づいて報告するまでの範囲です。 事業所によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。 実際の対応は、所属事業所の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。