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転倒

時間帯×場所で数えると、転倒対策が決まる

記録は残している。事故報告書も書いている。
それでも、次に何をすればよいかが決まらない。

理由は、1件ずつ見ているからです。

1か月分を「時間帯 × 場所」のマス目に置くと、かたよりが出ます。 「2〜4時 × 居室」に印が集まっていたら、それはもう個人の話ではありません。

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 1件ずつでは、対策が決まりません
  2. 「時間帯 × 場所」のマス目を作る
  3. 時間帯から読めること
  4. 場所から読めること
  5. マスに集まったら、そこを1つだけ選ぶ
  6. 報告数が急に減った月の、読み方
  7. まとめ

1件ずつでは、対策が決まりません

転倒の記録は残っている。事故報告書も書いている。 それでも、次に何をすればよいかが決まらない。

理由は、1件ずつ見ているからです。1件ごとに考えると、 「この方は夜にトイレへ行こうとした」で終わります。次の1件も、同じ形で終わります。

1か月分を「時間帯 × 場所」のマス目に置くと、かたよりが出ます。

「2〜4時 × 居室」に印が集まっていたら、それはもう、個人の話ではありません。

数えるのは、時間帯と場所です。担当者ではありません。
一度でも「誰の勤務のときか」を突き合わせると、次の月から小さな転倒が上がってこなくなります。 そうなると、大きな事故の前ぶれを見つけられなくなります。

「時間帯 × 場所」のマス目を作る

縦に時間帯、横に場所。正の字でかまいません。

転倒 集計表(時間帯 × 場所)の一例 時間帯 居室 トイレ 浴室 廊下 食堂 その他 0-2時 2-4時 4-6時 6-8時 起床 8-12時 12-14時 食後 14-16時 16-18時 夕方 18-22時 22-24時
図:マス目の一例。時間帯の区切りは、施設の勤務帯に合わせて変えてください

この形の集計表を、無料で配布しています。登録もメールアドレスも要りません。 項目を書き換えて、施設の様式としてお使いいただけます。
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数えるときの、細かいきまり

迷うところ決めておくこと(一例)
見ていない転倒(発見)数える。時間帯は発見時刻で。ただし最終確認時刻も併記しておく
ベッドからの転落転倒と分けて数えるか、備考に「転落」と書く。混ぜると対策がぼやけます
尻もちをついただけ数える。けがの有無で除外しない。数が減ると、かたよりが見えなくなります
同じ方が月に何度も件数として数えたうえで、備考に「同一者」と書く。個別のケース会議へ
1か月の区切り暦月でそろえる。比べられることのほうが大事です

時間帯から読めること

多かった時間帯読み方と、次の1か月でやること(一例)
深夜〜早朝
(0〜6時)
照明と動線。足元灯、ベッド周りの物、ナースコールの位置。
夜勤の人数と訪室の回数を見直す議題になります
起床時
(6〜8時)
立ちくらみ。起きたら30秒座る、ベッドの高さ、起床介助の時間配分。
睡眠薬の残り方を看護師と確認
食後
(12〜14時)
眠気と血圧の低下。食後の移動を見守る人を配置する。
食後30分は席を立たない声かけ
夕方
(16〜18時)
疲れ・薄暗さ・落ち着かなさ。早めに照明をつける。
この時間の業務量を見る

この時間帯には、共通点があります。 「本人が急いでいる」「職員が少ない」「体が思うように動かない」。
時間帯を集計すると、人員配置の話になります。個人の注意不足の話にしないでください。

場所から読めること

多かった場所読み方と、次の1か月でやること(一例)
居室 ひとりの時間の問題。訪室の間隔と離床センサー。居室内の家具配置
トイレ 間に合わない・急いでいる。排泄パターンを記録して、先に誘導できないか
手すりの位置と高さ、便座の高さ、ナースコールに手が届くか
浴室・脱衣所 ぬれた床、裸足、段差、のぼせ。目を離す時間をゼロにする(必要な物は入る前に全部そろえる)
廊下 物を置いている可能性が高い。配膳車・掃除用具・空の車いす・延長コード。
全員で15分歩き回って点検する
食堂 いすにキャスターが付いていないか。テーブルが動かないか。席と席の間隔

いちばん安く、いちばん効くのが「廊下の物」です。 廊下の物、履物、杖のゴム、床のぬれ。この4つはお金をかけずに減らせると言われています。 月1回、全員で15分歩き回るだけで見つかります。

マスに集まったら、そこを1つだけ選ぶ

集計の目的は、次の1か月でやることを1つに絞ることです。

時間カンファレンスの進め方(30分)
5分集計表を見る。誰が担当だったかは話さない。時間帯と場所だけを見る
10分いちばん多いマス(時間×場所)を1つ選び、「その時間、そこで何が起きているか」を全員で出す。
夜勤の職員と外国人職員に必ず聞く。見ている場面がちがうので、気づきがあります Vào giờ đó, ở đó đang xảy ra chuyện gì? Xin cho ý kiến.
10分対策を1つだけ決める。「誰が」「いつまでに」「何を」まで。
「注意する」「徹底する」は対策になりません(→ こちらの記事
5分先月決めた対策が実行できたか確認。できなかったなら、なぜかを話す

特定の方に集中しているとき

マス目ではなく、その方の側に理由があることがあります。

個別に見ること
  • (睡眠薬・安定剤・降圧薬・利尿薬の内服時刻)
  • 体調の変化(発熱・脱水・痛み)
  • 動線と家具の配置
  • 履物・杖・歩行器
  • 目・耳(めがねが合っているか)
「急に転ぶようになった」は別扱い

先週まで歩けていた方が、今週たびたび転ぶ。 これは本人の不注意ではなく、体の変化であることがあります。 感染症・脱水・薬の変更・骨折・脳の病気が隠れていることも。
「最近よく転ぶ」と感じたら、それ自体を報告してください。

報告数が急に減った月の、読み方

集計を続けていると、いつか「今月は少なかった」という月が来ます。 喜ぶ前に、一度だけ確かめてください。

確かめること見るところ
対策を打ったマスだけが減っているかそのマスだけなら、効果の可能性があります
全部のマスが一様に減っていないか一様に減るのは、報告が減ったサインのことがあります
けがのない転倒が消えていないか尻もちの報告がゼロの月は、要注意です
新人・外国人職員から上がっているか言いにくい人ほど、先に止まります

転倒の報告が上がってくるのは、報告できる職場だという証拠です。そこを崩さないでください。 Cảm ơn bạn đã báo cáo ngay. Nhờ vậy chúng ta mới có thể phòng ngừa.

まとめ

ここに書いた区分・きまり・進め方は、すべて一例です。 施設の勤務帯や記録システムに合わせて変えてください。 大事なのは、月ごとに同じ数え方で続けられることのほうです。

集計表を、無料で配布しています

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根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
  • 厚生労働省「介護現場におけるリスクマネジメントに関する調査研究事業」報告書
  • 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 手順・寸法・時間は、すべて目安一例です。 皮ふの異常、押しても消えない赤み、急に広がるあざ、痛みを伴うものは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。