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どこから考えるか

誤薬が続くとき、どこから考えるか

まず、これだけ

誤薬が続く。そのたびに「確認を徹底する」と書く。ダブルチェックを増やす。それでもまた起きる。だんだん、誰も報告したくなくなります。

人を見ているからです。誤薬は、工程で分けてください。受け取り・保管・セット・本人確認・与薬・記録——この6つのどこで起きているかが分かると、対策が変わります。

「セットの段階で起きている」と「本人確認で起きている」では、打つ手がまったく別です。そこを分けずに「確認を徹底」と書くから、同じことが続きます。

やさしい日本語で読むくわしく読む

最終更新:2026年9月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 人ではなく、工程で分けます
  2. 5つの方向に分けて確かめる
  3. ① 用具・設定 — 薬袋とケース
  4. ② その方の変化 — 飲めているか
  5. ③ 環境 — 場所と時間帯
  6. ④ 手順 — 6つの工程のどこか
  7. ⑤ 体制・人数・伝達
  8. 確かめたことを、記録に残す
  9. まとめ

人ではなく、工程で分けます

誤薬の報告書には、たいてい「確認不足」と書かれます。⚠ これは原因ではなく、結果の言い換えです。そこからは、何も出てきません。

その月の誤薬を、工程べつに並べてください。

工程そこで起きること
① 受け取り薬局・ご家族から受け取るとき。変更が伝わっていない
② 保管置き場所。他の方の薬と隣り合っている
③ セットケースや配薬ボックスに入れるとき。ここで入れ違えると、あとで気づけません
④ 本人確認渡す相手を間違える。同姓・似た名前
⑤ 与薬時間帯を間違える/落とす/飲みきれていない
⑥ 記録飲んだのに書いていない/書いたのに飲んでいない

並べると、たいてい どこかに偏っています。偏ったところだけを直せば、対策は1つで足ります。

ダブルチェックを増やしても、同じ工程を2回見ているだけなら効きません。2人が同じ場所で同じように見ると、2人とも同じ見落とし方をします。

効くのは「別の工程で見る」ことです。セットした人と、渡す人を分ける。渡すときに薬袋の名前を声に出す。⚠ 見る回数ではなく、見る角度を変えてください。

5つの方向に分けて確かめる

方向誤薬では、とくにここ
① 用具・設定薬袋の書き方・配薬ボックス・保管場所。今日変えられます
② その方の変化飲み込めているか・拒否・吐き出し・薬の変更が続いているか
③ 環境セットする場所と時間帯。中断が入る場所ではありませんか
④ 手順6つの工程のどこか。ここがこの記事の中心です
⑤ 体制・人数・伝達その時間の人数。中止・再開が伝わる道があるか

① 用具・設定 — 薬袋とケース

1用具・設定

ここは今日変えられます。そして効きます。

当てはまったら →薬袋の名前を大きくする、ボックスの並びを居室順にする。今日できて、効きます。看護師・薬剤師にも相談してください。

② その方の変化 — 飲めているか

2その方の変化

「渡した」と「飲めた」は別です。

当てはまったら → 看護師に伝えてください。⚠ 「飲めていない可能性がある」は、誤薬と同じくらい大事な報告です。  飲ませ忘れに気づいたとき

③ 環境 — 場所と時間帯

3環境

セットの事故は、たいてい「中断」で起きます。

当てはまったら →「セット中は声をかけない」を、チームの決まりにしてください。物も人も増やさずにできます。

④ 手順 — 6つの工程のどこか

4手順

ここが中心です。工程ごとに、決まりがあるかを見ます。

当てはまったら →その月の誤薬を、この6つに振り分けてください。偏ったところが、直すところです。  本人確認のしかた

⑤ 体制・人数・伝達

5体制・人数・伝達

中止・再開が伝わらないのは、体制の問題です。個人の注意では防げません。

当てはまったら →これは現場だけでは変えられません。◎ とくに「中止の指示が届く道」は、管理者に上げる価値があります。

確かめたことを、記録に残す

誤薬の記録には、必ず「どの工程か」を書いてください。「確認不足」ではなく「セットの段階で、隣の方の袋から取った」。⚠ これがあると、次の月に集計できます。「確認不足」が10件並んでも、何も分かりません。

変えるのは、1つか2つだけ

✕ こう書くと動かない

「確認を徹底する」
「ダブルチェックを強化する」
「意識を高める」

どの工程を、どう変えるかが ありません。そして次も同じ言葉が並びます。

〇 こう書くと動く

「薬袋の氏名を14ポイントに大きくした(〇月〇日)」
「配薬ボックスを居室の並び順にした(〇月〇日)」
「セット中は声をかけない、と決めた(〇月〇日から)」

物と数字と期日があります。

まとめ

やさしい 日本語(にほんご)

1 なにが おきますか

くすりの まちがいが つづきます。
そのたびに「かくにんを しっかり する」と 書(か)きます。
でも また おきます。

2 なぜ なおらないのですか

「かくにん不足(ぶそく)」は、りゆうでは ありません。
 おきた ことを、べつの ことばに しただけ です。

3 6つに 分(わ)けて 見(み)ます

受(う)け取(と)る ② しまう ③ ケースに 入(い)れる
その人(ひと)か たしかめる ⑤ わたす ⑥ 記録(きろく)する

今月(こんげつ)の まちがいを、この 6つに 分けて ならべます。
どこかに かたよります。そこだけ 直(なお)せば いいです。

4 だいじな こと

2人(ふたり)で 見(み)ても、同(おな)じ ところを 見て いたら 意味(いみ)が ありません。
 2人とも 同じ ように 見おとします。

ちがう ところで 見ます。
 「ケースに 入れた 人」と「わたす 人」を べつの 人に する。
 わたす とき、ふくろの 名前(なまえ)を 声(こえ)に 出(だ)して 読(よ)む。

5 きょう できる こと

6 ⚠ わたした = のめた では ありません

口(くち)の 中(なか)に のこって いないか、見(み)て ください。
 ほっぺの 内側(うちがわ)、舌(した)の 下(した)。

※ この ページは 答(こた)えを 出(だ)す ための ものでは ありません。たしかめる 順番(じゅんばん)を つくる ための ものです。くすりの ことは、お医者(いしゃ)さん・看護師(かんごし)・薬剤師(やくざいし)に 聞(き)いて ください。

工程べつの集計表を配っています

6つの工程に振り分けるだけの形にしています。いずれも一例です。事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。

様式をダウンロード → 困りごとから調べる

この記事の使い方

  • まず、その月の誤薬を6つの工程に振り分けてください
  • 偏ったところだけを直します。全部やろうとしないでください
  • ①用具と③環境は、今日変えられます
  • 確かめて「当たらなかった」工程も、記録に残してください
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。ここに挙げた質問は、原因を特定するためのものではありません。確かめる順番を作るためのものです。 薬の内容・中止・再開の判断、飲み込みの評価は、医師・看護師・薬剤師が行います。介護職の役割は、決まった形で渡し、気づいて報告するところまでです。 誤薬が起きたときの対応と報告の基準は、事業所と保険者によって異なります。 実際の対応は、所属事業所の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。