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誤薬

誤薬に気づいたら、最初にすること(現物を捨てない)

誤薬は、気づいてすぐ言えば、ほとんどの場合、対処できます。 看護師が観察し、医師が判断し、必要なら処置をします。

危険なのは、まちがいそのものではありません。 「怒られるかもしれない」と黙る時間です。その30分が、取り返しのつかない差になります。

まちがえた人が悪いのではありません。まちがいを言えない仕組みが、事故にします。

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 手順は6つです
  2. 1 すぐ言う。かくさない
  3. 2 現物を、ぜったいに捨てない
  4. 3 4つを確認する
  5. やってはいけないこと
  6. 薬べつに、見るところが変わります
  7. こんなときは、どうするか
  8. 報告を受けた側へ — 最初の一言を「ありがとう」に
  9. まとめ

手順は6つです

1 すぐ言う。かくさない。1分でも早く 2 現物を、ぜったいに捨てない 3 誰に/何を/どれだけ/いつ の4つを確認 4 看護師へ。いなければ管理者・オンコールへ 5 そばを離れず観察 意識・顔色・冷や汗・呼吸 6 記録・家族報告・再発防止 事故報告書は24時間以内
図:誤薬に気づいたときの手順(一例)。実際の連絡先と順序は、施設の規程に従ってください

1 すぐ言う。かくさない

「まちがえました」と、その場で声に出してください。あとで、はありません。

1分でも早く言えば、看護師と医師が対処できます。「朝まで待とう」は、してはいけません。 夜間でも休日でも、迷わず連絡してください。

Tôi đã cho uống nhầm thuốc. / Tôi quên chưa cho uống thuốc.

2 現物を、ぜったいに捨てない

空になった包み・シート・薬袋・こぼれた薬。これが「何をどれだけ飲んだか」の唯一の証拠です。 ゴミ箱に入れたなら、取り出してください。

現物がないと、医師は何に対して指示を出せばよいかが分かりません。 薬の名前と量が分かるかどうかで、そのあとの観察も処置も変わります。

Xin đừng vứt vỏ thuốc đi. Đó là bằng chứng duy nhất.

3 4つを確認する

分からなければ「分からない」と言ってください。 「たぶん飲んだ」と書かないこと。これがいちばん大事です。

やってはいけないこと

□ 自分で「大丈夫だろう」と判断する □ 吐かせようとする □ 水をたくさん飲ませる
□ 足りない分を勝手に追加で飲ませる □ 現物を捨てる □ 記録を書き直す
□ 「次から気をつけよう」と自分の中で終わらせる

吐かせる・追加する・薄めるは、すべて医療の判断です。あなたが決めることではありません。

薬べつに、見るところが変わります

危険サインやること(看護師の指示のもとで)
糖尿病の薬
インスリン
低血糖:冷や汗・手のふるえ・顔色が悪い・ろれつが回らない・ぼんやり・急に元気がない・意識がなくなる 最も緊急です
意識があればブドウ糖・砂糖・ジュース
意識がなければ、口に何も入れない。すぐ救急
何時間もあとに出ることがある
血圧の薬ふらつき・立ちくらみ・顔色が悪い・脈が遅い/速い 座らせる・寝かせる。歩かせない
血圧を測って記録/転倒に注意
血をサラサラにする薬鼻血・歯ぐきの出血・あざ・黒い便・血尿 出血がないか全身を見る
転倒させない(頭を打つと危険)
睡眠薬・安定剤
向精神薬
強い眠気・ふらつき・呼吸が浅い・呼びかけへの反応が鈍い ひとりにしない/呼吸を見る/誤嚥・転倒に注意
利尿薬尿の回数が増える・脱水・ふらつき水分と尿の回数を記録/夜間の転倒に注意
心臓の薬脈が遅い・吐き気・食欲がない・見え方がおかしい脈を1分間測る/すぐ看護師へ
下剤下痢・腹痛・脱水回数と量を記録/水分を勧める

低血糖は、いちばん怖いものです。 糖尿病の薬をまちがえたとき、あるいは食事を食べなかったのに薬だけ飲んだとき、数時間後に起きることがあります。
「急にぼんやりした」「急に元気がなくなった」を、認知症の症状だと思わないでください。血糖を測れば分かります。

Hạ đường huyết là nguy hiểm nhất. Nếu người bệnh đột nhiên lơ mơ, hãy báo y tá ngay.

こんなときは、どうするか

場面やること
飲んだあとに吐いた勝手に飲ませ直さない。何分後か/どれくらいの量か/薬が見えるか を記録して看護師へ
口の中に残っていたその場で取り出す(飲み込ませない)/何錠残っていたか記録/次回から口の中を見る手順を入れる
拒否された無理に入れない(誤嚥・虐待になります)/時間をおいて再度/飲まなかったことを必ず記録・報告/くり返すなら剤形の変更を医師に相談
寝ていて飲ませられなかった起こしてまで飲ませない(誤嚥の危険)/記録して看護師の指示を仰ぐ
こぼした・落とした拾って捨てず、看護師に見せる/何錠分か分かるようにする
飲んだかどうか分からない「分からない」と報告する。「たぶん飲んだ」と書かない

報告を受けた側へ — 最初の一言を「ありがとう」に

「なんで間違えたの」と言われた職員は、次から言いません。

次の誤薬は、報告されないまま起きます。原因を聞くのは、対処が終わってからです。

誤薬をゼロにすることはできません。けれど、「すぐ言える」職場にすることはできます。 この章のすべては、その一点のためにあります。

まとめ

この方は、どこに気をつける?

利用者さんの状態を選ぶと、注意する場面と部位が出ます。印刷して、カンファレンスの資料に使えます。

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根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
  • 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(平成17年7月26日 医政発第0726005号)
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
  • 公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業(薬剤に関する報告書・再発防止に向けた提言)
  • 日本病院薬剤師会・日本薬剤師会 の一般向け資材(一包化・簡易懸濁法・粉砕の可否に関するもの)
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 手順・寸法・時間は、すべて目安一例です。 判断に迷うこと、いつもと違うと感じたことは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。