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誤薬

「〇〇さんですね?」と聞いてはいけない理由

配薬のとき、つい「〇〇さんですね?」と聞いてしまいます。

認知症の方は、ほとんど「はい」と答えます。 名前が違っていても「はい」と言います。これでは、確認になりません。

本人確認は最後のとりでです。ここで止められれば、それまでの間違いは全部消えます。

やさしい日本語で読むくわしく読む

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 薬が動く道すじの、どこが最後のとりでか
  2. 聞き方を、ひとつに決める
  3. 名前を言えない方は、どう確認するか
  4. 配薬のときの6つの確認(6R)
  5. 間違いは「似ているもの」で起きます
  6. 間違いが増える時間帯・状況
  7. 飲んでもらうとき・飲んだあと
  8. まとめ

薬が動く道すじの、どこが最後のとりでか

薬は、受け取り → 保管 → セット → 持って行く → 本人確認 → 服薬 → 記録・残薬、と動いていきます。

①受け取り ②保管 ③セット ④持って行く ⑤本人確認 最後のとりで ⑥服薬 ⑦記録・残薬 ← ここまでは、まだ取り返せる 飲んだあとは、取り返せない → だから⑤で止められれば、それまでの間違いは全部消えます
図:薬が動く7つの工程(模式図)。色は「どこを過ぎると取り返せなくなるか」を表しています

聞き方を、ひとつに決める

✕ 「〇〇さんですね?」

「はい」としか答えようがありません。
名前が違っていても「はい」と言います。確認したことになりません。

〇 「お名前を教えてください」

ご本人に名乗っていただきます。
違う名前が返ってきたら、そこで気づけます。

そのまま言える言い方

「お薬をお持ちしました。お名前を教えていただけますか。」

Xin cho tôi biết tên của ông/bà ạ.

名前を言えない方は、どう確認するか

「返事があったから本人」は確認ではありません。名前・写真・部屋番号のうち、2つ以上が一致するかで見ると、迷いが減ります。 何で確認するかは、施設で1つに決めてください。人によって方法が違うのがいちばん危険です。

配薬のときの6つの確認(6R)

確認することやり方
1 正しい利用者フルネームを声に出して読む。本人にも名前を言ってもらう
2 正しい薬袋の名前・日付・薬の数を見る
3 正しい量包の数、半錠の指示、数字を指さして読む
4 正しい方法飲む/貼る/さす/塗る/入れる。まちがえると危険です
5 正しい時間朝・昼・夕・就寝前/食前・食後・食間
6 正しい記録飲んだのを見てから記録する。先に記録しない

いちばん多い間違いは「先に記録してしまう」ことです。 配る前や、渡した時点で記録すると、実際には飲んでいなくても「飲んだ」記録が残ります。 飲み込んだのを見てから、記録する。これを崩さないでください。

間違いは「似ているもの」で起きます

似ているもの対策(一例)
名前が似ている人
同姓の2人
記録と一包化に色分けシール/フルネームで呼ぶ/部屋番号も一緒に確認
名前が似ている薬読み上げて確認(目で見るだけでは同じに見えます)/迷ったら看護師へ
見た目が似た包み氏名と日付と「朝・昼・夕・寝る前」を必ず読む/1人分ずつ手に取る
時間の表示一包化に時間帯を大きく印字してもらう/食間=食事と食事の間(食事中ではありません)
似た容器点眼薬と点鼻薬、軟膏のチューブ。使う前にラベルを声に出して読む
数字0.5錠と5錠、1日1回と1日3回。指さして読む(「〇〇を、0.5錠、1回」)

間違いが増える時間帯・状況

状況なぜ増えるか
急いでいるとき朝の忙しい時間、食事の準備と重なる時間。誤薬の大半はここです
話しかけられたときセット中・配薬中に中断すると、まちがえます
人が足りないときひとりで全員に配る。二重チェックができない
いつもと違う日受診後・退院後・処方変更の直後・行事の日
慣れてきたころ入職3か月〜半年。「確認しなくても分かる」と思ったときが危ない

チームで決めておくとよいこと:配薬中の職員には話しかけない。 「配薬中」の札やビブスを使う施設もあります。中断は間違いの最大の原因です。

飲んでもらうとき・飲んだあと

薬を食事に混ぜるのは、医師・看護師の指示があるときだけです。

Xin mở miệng ra ạ. / Ông/Bà nuốt được chưa ạ?

まとめ

やさしい 日本語(にほんご)

1 ⚠ 「〇〇さん ですね?」と 聞(き)かないで ください

⚠ 認知症(にんちしょう)の 方(かた)は、ほとんど「はい」と 答(こた)えます。
⚠ 名前(なまえ)が ちがって いても「はい」と 言(い)います。

◎ これでは、たしかめた ことに なりません。

2 ◎ こう 聞(き)きます

「お名前(なまえ)を 教(おし)えて ください」

◎ その人(ひと)に 言(い)って もらいます。
◎ チーム みんなで、この 言(い)いかたに そろえます。

3 ◎ 名前(なまえ)が 言(い)えない 方(かた)は

◎ 顔(かお)の しゃしん + へやの ばんごう など
⚠ やりかたは、事業所(じぎょうしょ)で 1つに きめて ください。
 ⚠ 人(ひと)に よって ちがう と、まちがいます。

4 ◎ くすりを わたす とき、6つを たしかめます

⚠ のむ まえに 記録を 書(か)かないで ください。

5 ⚠ まちがいは 「にて いる もの」で おきます

◎ 声(こえ)に 出(だ)して 読(よ)む。ゆびで さす。
◎ これだけで、まちがいが へります。

6 ⚠ くすりを くばって いる 人に、声(こえ)を かけないで ください

⚠ とちゅうで 止(と)まるのが、いちばん 多(おお)い 原因(げんいん)です。

※ この ページは 日本(にほん)の 法律(ほうりつ)と、現場(げんば)の きまりに ついて 書(か)いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
ふりがなと やさしい 日本語は、この 研究所(けんきゅうじょ)が つけた ものです。まちがいが あれば、教(おし)えて ください。

この方は、どこに気をつける?

利用者さんの状態を選ぶと、注意する場面と部位が出ます。印刷して、カンファレンスの資料に使えます。

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根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
  • 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(平成17年7月26日 医政発第0726005号)
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
  • 公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業(薬剤に関する報告書・再発防止に向けた提言)
  • 日本病院薬剤師会・日本薬剤師会 の一般向け資材(一包化・簡易懸濁法・粉砕の可否に関するもの)
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 手順・寸法・時間は、すべて目安と一例です。 判断に迷うこと、いつもと違うと感じたことは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。