「〇〇さんですね?」と聞いてはいけない理由
配薬のとき、つい「〇〇さんですね?」と聞いてしまいます。
認知症の方は、ほとんど「はい」と答えます。 名前が違っていても「はい」と言います。これでは、確認になりません。
本人確認は最後のとりでです。ここで止められれば、それまでの間違いは全部消えます。
もくじ
薬が動く道すじの、どこが最後のとりでか
薬は、受け取り → 保管 → セット → 持って行く → 本人確認 → 服薬 → 記録・残薬、と動いていきます。
聞き方を、ひとつに決める
✕ 「〇〇さんですね?」
「はい」としか答えようがありません。
名前が違っていても「はい」と言います。確認したことになりません。
〇 「お名前を教えてください」
ご本人に名乗っていただきます。
違う名前が返ってきたら、そこで気づけます。
そのまま言える言い方
「お薬をお持ちしました。お名前を教えていただけますか。」
Xin cho tôi biết tên của ông/bà ạ.名前を言えない方は、どう確認するか
- 顔写真+部屋番号で確認する(施設で決めた方法に統一する)
- リストバンドなど、施設で決めた手段がある場合はそれに従う
- 席が変わっていないかを見る(食堂は席が動きます)
- 少しでも迷ったら、渡さずに確認する
「返事があったから本人」は確認ではありません。名前・写真・部屋番号のうち、2つ以上が一致するかで見ると、迷いが減ります。 何で確認するかは、施設で1つに決めてください。人によって方法が違うのがいちばん危険です。
配薬のときの6つの確認(6R)
| 確認すること | やり方 |
|---|---|
| 1 正しい利用者 | フルネームを声に出して読む。本人にも名前を言ってもらう |
| 2 正しい薬 | 袋の名前・日付・薬の数を見る |
| 3 正しい量 | 包の数、半錠の指示、数字を指さして読む |
| 4 正しい方法 | 飲む/貼る/さす/塗る/入れる。まちがえると危険です |
| 5 正しい時間 | 朝・昼・夕・就寝前/食前・食後・食間 |
| 6 正しい記録 | 飲んだのを見てから記録する。先に記録しない |
いちばん多い間違いは「先に記録してしまう」ことです。 配る前や、渡した時点で記録すると、実際には飲んでいなくても「飲んだ」記録が残ります。 飲み込んだのを見てから、記録する。これを崩さないでください。
間違いは「似ているもの」で起きます
| 似ているもの | 対策(一例) |
|---|---|
| 名前が似ている人 同姓の2人 | 記録と一包化に色分けシール/フルネームで呼ぶ/部屋番号も一緒に確認 |
| 名前が似ている薬 | 読み上げて確認(目で見るだけでは同じに見えます)/迷ったら看護師へ |
| 見た目が似た包み | 氏名と日付と「朝・昼・夕・寝る前」を必ず読む/1人分ずつ手に取る |
| 時間の表示 | 一包化に時間帯を大きく印字してもらう/食間=食事と食事の間(食事中ではありません) |
| 似た容器 | 点眼薬と点鼻薬、軟膏のチューブ。使う前にラベルを声に出して読む |
| 数字 | 0.5錠と5錠、1日1回と1日3回。指さして読む(「〇〇を、0.5錠、1回」) |
間違いが増える時間帯・状況
| 状況 | なぜ増えるか |
|---|---|
| 急いでいるとき | 朝の忙しい時間、食事の準備と重なる時間。誤薬の大半はここです |
| 話しかけられたとき | セット中・配薬中に中断すると、まちがえます |
| 人が足りないとき | ひとりで全員に配る。二重チェックができない |
| いつもと違う日 | 受診後・退院後・処方変更の直後・行事の日 |
| 慣れてきたころ | 入職3か月〜半年。「確認しなくても分かる」と思ったときが危ない |
チームで決めておくとよいこと:配薬中の職員には話しかけない。 「配薬中」の札やビブスを使う施設もあります。中断は間違いの最大の原因です。
飲んでもらうとき・飲んだあと
- 起きているか確認。眠っている方に飲ませない
- 座位で、あごを引いて(あごが上がると誤嚥します)
- 水またはとろみ水を先に一口
- 一度に何錠も入れない
- 飲み込むのを見る(のどが動くのを確認)
- 飲んだあと、口を開けてもらって中を見る(ほお・舌の下に残っていないか)
- 数分そばにいる(あとで出す方がいます)
薬を食事に混ぜるのは、医師・看護師の指示があるときだけです。
Xin mở miệng ra ạ. / Ông/Bà nuốt được chưa ạ?まとめ
- 「〇〇さんですね?」は確認にならない。「お名前を教えてください」に統一
- 言えない方は、顔写真+部屋番号など施設で1つに決めた方法で
- 本人確認は最後のとりで。ここで止まれば全部消える
- 6R。とくに「飲んだのを見てから記録する」
- 似た名前・似た包み・数字は、声に出して・指さして読む
- 配薬中は話しかけない。中断は最大の原因
あわせて読む
根拠にした資料
個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
- 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(平成17年7月26日 医政発第0726005号)
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
- 公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業(薬剤に関する報告書・再発防止に向けた提言)
- 日本病院薬剤師会・日本薬剤師会 の一般向け資材(一包化・簡易懸濁法・粉砕の可否に関するもの)
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。
施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。
手順・寸法・時間は、すべて目安と一例です。
判断に迷うこと、いつもと違うと感じたことは、看護師・医師にご相談ください。
実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。