あざの記録の書き方(そのまま使える例文つき)
あざを見つけた。でも、どう書けばいいか分からない。
結局いつも「原因不明。経過観察」で終わってしまう——。
先に結論です。「原因は特定できず」と書いてかまいません。 それはいい加減な記録ではなく、いちばん正確な記録です。
大事なのは、見たことと、推測を、混ぜないこと。 この記事では、書く順番と、そのまま書き写せる例文を場面べつに並べました。
「原因は特定できず」と書いてよい
記録の前で手が止まるのは、たいてい「原因が書けないから」です。 空欄にはできない。だから「移乗時にぶつけたと思われる」と書いてしまう。 ——ここが、いちばん多い落とし穴です。
見ていないことを「〜と思われる」と書くと、それは推測が事実として残るということです。 あとで別の原因が分かったとき、記録全体が食いちがいます。
「なぜできたか、分かりません」——これは正しい記録です。
分からないことを分からないまま、正確に残す。それができる記録が、いちばん強い記録です。
ベテランでも、看護師でも、原因の分からないあざはたくさんあります。 原因が分からないのは、あなたの力不足ではありません。
そのまま書いてよい言い方(コピーして使えます)
・原因は特定できず。
・発生の場面は目撃していない。
・ご本人に伺うと「わからない」とのこと。
・現時点では原因が分かっていない。引き続き確認する。
ただし「分からない」だけで終わらせないでください。
分からないからこそ、大きさ・部位・形を残します。
それがなければ、翌月に読み返しても比べようがありません。
記録は、この8つの順番で書く
順番を決めておくと、迷いません。慣れると1分で書けます。 この8つを、上から順に埋めるだけです。
| 項目 | 書き方と、書き出しの例 |
|---|---|
| ① いつ | 日付・時刻に加えて、どの場面で見つけたかまで書きます 例:「8/25 14:20 入浴介助中に発見」 |
| ② どこ | 左右と面(前面・外側・内側)まで。ボディマップに●を打つのがいちばん早い 例:「右下腿の前面」「左上うで内側」 |
| ③ 大きさ・形 | cmは目安でかまいません。指の幅で比べても十分です。形は丸・線じょう・指のあと・わからない 例:「約3×2cm。形は帯状」 |
| ④ 色 | 見えた色を、そのまま。「青むらさき」「うすい茶色」など 色は時期の手がかりの一つとされますが、あくまで目安です |
| ⑤ 痛み・腫れ | 「なし」も必ず書く。腫れ・熱感・動きの制限を、あり/なしで 例:「触れると『痛い』と発語あり。腫れ・熱感なし」 |
| ⑥ 本人の言葉 | 要約しない。「わからない」も、そのままかぎかっこで残す 例:「ご本人に伺うと『わからない』とのこと」 |
| ⑦ 前回の確認 | いつ見て、なかったか。ここがないと、いつできたか誰にも分かりません 例:「8/22の入浴時にはなし」 |
| ⑧ やったこと | 報告した相手と時刻/その場でした対応/次にいつ誰が見るか 例:「リーダー〇〇へ14:35報告。8/26朝に再確認予定」 |
いちばん忘れられるのが⑦と⑧です。
⑦がないと「いつできたか」が永久に分かりません。⑧がないと、次の人が動けません。
「経過観察」とだけ書くのは、⑧を書いていないのと同じです。誰が、いつ、もう一度見るのかを書いてください。
その場で書く。あとでは、必ず忘れます
大きさも、色も、本人の言葉も、勤務が終わるころには曖昧になります。 見つけたその場で、メモでいいので残してください。清書はあとでできます。
Ghi chép ngay tại chỗ.
そのまま書き写せる例文(場面べつ)
下の例文は、日付・時刻・部位・名前を入れ替えれば、そのまま使えます。 利用者さんのお名前は、ここでは「田中様」としています。
「8/25 9:40 更衣時、田中様の左前うで外側に、約2×2cmの内出血を発見。押しても消えない。腫れ・熱感なし。触れても痛みの訴えなし。ご本人に伺うと『わからない』とのこと。原因は特定できず。8/23の入浴時には確認されていない。保湿を実施し、アームカバーの着用をご案内。8/26の朝に再確認予定。」
前うで・手の甲は、ぶつけていなくても出やすい部位です。それでも書かない理由にはなりません。数えることではじめて見えてくるものがあります。
「8/25 14:20 入浴介助中、田中様の右下腿前面に、約3×2cmの青むらさき色の内出血を発見。形は帯状。触れると『痛い』と発語あり。腫れ・熱感なし、動きの制限なし。ご本人に伺うと『わからない』。発生の場面は目撃していない。原因は特定できず。8/22の入浴時にはなし。
車いすのフットサポートを手で確認したところ、ふちに硬い出っぱりあり。同日中にカバーを設置。リーダー〇〇へ14:35報告。8/26に再確認予定。」
当たりそうな物が見つかっても、「これが原因」と断定して書かない。「当たる可能性のある箇所を確認し、対応した」と書けば、事実だけで足ります。
「8/25 7:10 起床時の更衣で、田中様の左上うで内側に、約1cm大の円形の内出血が4か所、横に並んでいるのを発見。押しても消えない。腫れなし。ご本人に伺うと『わからない』。発生の場面は目撃していない。原因は特定できず。7:15 リーダー〇〇へ報告。7:25 看護師〇〇へ連絡。以降の対応はリーダー〇〇へ引き継いだ。」
この場面で、あなたが原因を書く必要はありません。見たことを書き、報告した時刻と相手を残す。判断するのは、あなたではありません。くわしくは「虐待では」と疑われないための、あざの記録へ。
「8/25 11:05 居室で、田中様が立ち上がられた際に、右ひじがベッド柵の角に当たるのを目撃。ご本人『大丈夫』との発語。右ひじ外側に約2cmの発赤あり、腫れ・変形なし。ひじの曲げ伸ばしは可能。11:10 リーダー〇〇へ報告。看護師〇〇の指示により対応。11:40 再確認、腫れの増強なし。8/26に再確認予定。」
見たときは、はっきり「目撃」と書きます。これが書けるのは強い記録です。逆に、見ていないのに「目撃」と読める書き方をしないでください。
「ご本人に伺うが、返答なし。触れても表情の変化なし。」
「お声かけしたが、痛みの有無については確認できず。」
「認知症のため分からない」とは書きません。確認しようとしたことと、その結果を書きます。書けることは、必ずあります。
「8/25 10:00 入浴時、田中様の右すねに新しい内出血(約3cm)を発見。
痛みの訴えなし、腫れなし。原因は分からない。
10:15 看護師〇〇へ報告。8/26に再確認予定。」
完璧に書けないから書かない、がいちばんまずい。3行でも残っていれば、翌月に数えられます。(ヒヤリハットは3行でいい)
「見たこと」と「推測」は、行を分ける
記録が混乱するのは、ほとんどの場合この2つが1文に混ざっているからです。 分けて書けば、推測を書いてもかまいません。
「右足に内出血あり。移乗時にぶつけたと思われる。経過観察。」
大きさも部位の詳細もない。推測が事実として残る。誰がいつ見るのかも分からない。
「14:20 入浴介助中、右下腿前面に約3×2cmの内出血を発見。腫れ・熱感なし。原因は特定できず。リーダー〇〇へ報告。8/26に再確認予定。」
言い方を、置きかえるだけでよくなります
| ✕ よく書かれている言い方 | 〇 置きかえる言い方 |
|---|---|
| ぶつけたと思われる | 発見した。発生の場面は目撃していない |
| 原因不明 | 原因は特定できず。ご本人に伺うと「わからない」 |
| 経過観察 | 8/26 朝の更衣時に、〇〇が再確認予定(誰が・いつ) |
| 内出血あり | 右下腿前面に、約3×2cmの内出血あり |
| 少し腫れている | 腫れなし/腫れありと、熱感の有無を分けて書く |
| だいぶ良くなっている | 大きさは前回と変化なし。色は前回より薄い |
| 認知症のため分からない | ご本人に伺うが、返答なし/確認できず |
| 本人は痛くないと言っている | ご本人の言葉を「 」でそのまま/触れても痛みの訴えなし |
「〜と思われる」を消すだけで、記録は見ちがえます。
どうしても推測を残したいときは、「〜の可能性がある。目撃はしていない」と、
推測だと分かる形で、別の行に書いてください。
書いてはいけないこと
・特定の職員を、原因として名ざしで書く(事実として確認できていない限り)
・分からないから、書かない・次の人に言わない
・記録の写真を個人のスマートフォンで撮る/個人の端末に残す/SNSに載せる
写真を撮るときのルール
写真は、記録を助けます。ただしルールを先に決めておくことが前提です。
- 同意は入所のときに書面で。その場で初めてお願いしない
- 定規かメジャーを一緒に写す。全体が分かる1枚+近くの1枚
- 日付が記録される設定にする
- 撮影は施設の機器のみ。個人のスマートフォンは使わない
- 保存は施設の記録システムへ。個人の端末に残さない
申し送り・ご家族への報告・そのあとの記録
次の勤務者へ、口で伝えるとき
「田中様、右のすねに約3cmの内出血です。14時の入浴で見つけました。昨日はありませんでした。痛みの訴えはありますが、腫れはありません。原因は分かりません。フットサポートにカバーを付けました。明日の入浴でもう一度見てください。」
口頭でも順番は同じです。部位・大きさ・いつ・前回・対応・次に見る人。最後の一言があるかどうかで、次の日が変わります。
ご家族へお伝えするとき
あざが出てから説明すると、どんなに正しくても言い訳に聞こえます。 「分からないことは、分からないとお伝えする」と、先に約束しておくのが確実です。
「本日◯時ごろ、入浴のさいに、右のすねに約3cmの内出血を見つけました。腫れや、強い痛みの訴えはございません。現時点では原因が分かっておりません。当たる可能性のある箇所にカバーを付け、明日また確認いたします。ご心配をおかけします。何か分かりましたら、改めてご連絡いたします。」
言い方も、記録に残します。「16:10 長女〇〇様へ電話。上記の内容を報告。『分かりました』とのお返事」——報告した時刻・相手・伝えた内容・相手の反応まで書いてください。
賠償や責任の話は、その場で答えないでください。 「担当の者からご連絡いたします」とお伝えし、管理者へつなぎます。それも記録に残します。
そのあとの記録(ここが抜けがちです)
1回書いて終わりでは、大きくなっているのか、増えているのかが分かりません。 見た日を、短くていいので残します。
「8/26 9:30 更衣時に再確認。右下腿前面の内出血、大きさは約3×2cmで変化なし。色は前回より薄い。新しい内出血なし。痛みの訴えなし。8/28に再確認予定。」
「8/28 9:20 再確認。範囲の拡大なし。新しい内出血なし。9/1に再確認予定。」
「変化なし」も立派な記録です。書いてあるから、変わったときに気づけます。2週間ほどたっても消えないとき、同じ場所にくり返すときは、看護師へご相談ください。
言葉で「右足のあたり」と書くより、図に●を打つほうが、早くて正確です。
ボディマップは「絵で書く記録」です。日本語が母語でない職員にも、同じように伝わります。
記録用紙に体の図が入っていない場合は、様式のページのボディマップを印刷して、 記録に添えてください。見つけたところに○を打ち、①②③と番号をふって、番号ごとに大きさ・形を書くだけです。
まとめ
- 「原因は特定できず」と書いてよい。それがいちばん正確な記録です
- 順番は ①いつ ②どこ ③大きさ・形 ④色 ⑤痛み・腫れ ⑥本人の言葉 ⑦前回の確認 ⑧やったこと
- 大きさのcmは目安でよい。色から「いつできたか」を断定しない
- 「見たこと」と「推測」は、行を分ける。「〜と思われる」を消す
- 「経過観察」ではなく、誰が・いつ・もう一度見るかを書く
- ご本人の言葉は要約せず、「 」でそのまま。「わからない」も書く
- その場で書く。3行でもいいので、必ず残す
- 部位はボディマップに●。写真は施設の機器で、同意を得たときだけ
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ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。