職員が続かないとき、どこから考えるか
入っては辞め、入っては辞める。「給料が安いから」「どこも人手不足だから」と言われて、そこで話が止まります。
⚠ 止まるのは、原因を1つに決めているからです。◎ 給料も人手も、現場ではすぐに変えられません。でも、現場でしか変えられないことが、たしかにあります。
◎ 5つに分けてください。最初の3か月/教え方/シフトと体/言える空気/この先の見通し。⚠ 辞める人の多くは、この5つのどれかで決めています。
「給料」で止めないために
辞めるときに本当の理由を言う人は、あまりいません。⚠ 「家庭の事情で」「体調が」——最後の面談で出てくる言葉は、たいてい角の立たない言葉です。そして「やっぱり給料かな」で片づきます。
⚠ 給料が理由なら、辞める時期はバラバラになるはずです。◎ でも実際は、辞める時期は かたまります。
◎ まず、この2年で辞めた人が「入って何か月目」だったかを数えてください。3か月以内に集まっているのか、1年前後なのか、3年目なのか。時期が違えば、理由の場所が違います。
◎ 辞めた時期で、見るところが変わります。
| 辞めた時期 | まず見るところ |
|---|---|
| 1か月以内 | 受け入れの準備。聞いていた話と違う/置いていかれた |
| 3か月前後 | ⚠ 教え方。教える人が毎回違う/1人にされるのが早すぎた |
| 半年〜1年 | シフトと体。夜勤の入り方/腰/休みの取りにくさ |
| 1〜3年 | ⚠ 言える空気。言っても変わらない/人間関係 |
| 3年以上 | この先の見通し。資格・役割・給料の上がり方が見えない |
⚠ ここを分けずに全部やろうとすると、何も進みません。◎ いちばん多い時期から、1つだけ手をつけてください。
5つの方向に分けて確かめる
| 方向 | とくに、ここ |
|---|---|
| ① 最初の3か月 | 受け入れの準備・持ち物・その日の担当。今日変えられます |
| ② 教え方 | ⚠ 教える人が毎回違いませんか。ここがこの記事の中心です |
| ③ シフトと体 | 夜勤の入り方・連続勤務・腰。数えれば見えます |
| ④ 言える空気 | 言ったことに、何か返っていますか |
| ⑤ この先の見通し | 3年後に何をしている人か、その人に見えていますか |
① 最初の3か月
◎ ここは、お金をかけずに今日変えられます。そして効きます。
- ⚠ 初日、その人を迎える担当は決まっていましたか(決まっていないと、その日じゅう立っているだけになります)
- ロッカー・名札・上履き・記録の入り方は、初日に用意されていましたか
- 入る前に聞いていた勤務時間・夜勤の回数と、実際は同じでしたか
- ⚠ 初日に、フロアの人全員に紹介されましたか
- 休憩のとき、誰かと一緒でしたか(1人で食べる日が続いていませんか)
- 入って1か月のとき、話を聞く場がありましたか(◎ 15分でいいです)
- ⚠ 「分からないことは聞いてね」だけで終わっていませんか(聞ける相手が決まっていないと、聞けません)
- その人が最初に覚えることの順番は、決まっていますか
当てはまったら → ◎ 初日の担当を1人決める。1か月目に15分話す。この2つだけで、1か月以内の離職はかなり変わります。
② 教え方
⚠ 「教える人が毎回違う」は、辞める理由の上位です。
- ⚠ 教える人は、決まっていますか(その日いた人が教える形になっていませんか)
- ⚠ 人によって、やり方が違っていませんか(◎ 新人は「どちらが正しいか」を聞けません)
- いつから1人で入るかは、決まっていますか(何日目、ではなく何ができたらですか)
- 夜勤に入るまでの回数は決まっていますか
- ⚠ 教える側に、教える時間はありますか(自分の受け持ちを持ったまま教えていませんか)
- できていないとき、その場で、他の職員やご利用者の前で言っていませんか
- 教える人が、何を教えたかを残す紙はありますか
- ⚠ 日本語が母語でない職員に、同じやり方で教えていませんか(◎ 言葉ではなく、順番を見せてください)
当てはまったら → ◎ 教える人を1人決めて、その日の受け持ちを減らしてください。やり方が2つあるなら、どちらかに決めて紙に書いてください。 教科書どおりにいかない方への移乗
③ シフトと、体の負担
◎ これは、数えれば見えます。感覚で話さないでください。
- 1人あたり、月に何回夜勤に入っていますか(人によって偏っていませんか)
- ⚠ 連続で何日入っている人がいますか
- 希望の休みは、どれくらい通っていますか(◎ 通った割合を数えたことがありますか)
- シフトはいつ出ますか(前の月の何日ですか。直前だと、生活が組めません)
- ⚠ 急な変更を頼むとき、頼む相手は決まっていませんか(断らない人に集まっていませんか)
- 腰や肩の痛みを言っている人はいませんか(◎ 言えている時点で、まだ間に合います)
- 移乗の道具は足りていますか。使われていますか
- 休憩は、実際に取れていますか(取ったことになっているだけになっていませんか)
当てはまったら → ◎ まず数えて、紙にしてください。「夜勤が月6回の人と3回の人がいる」と数字で出ると、話が動きます。⚠ 勤務時間や休憩の決まりそのものについては、労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。 介助での腰痛は、やり方が悪いからではない
④ 言える空気
⚠ 「言っても変わらない」が続くと、人は言うのをやめ、そのあと辞めます。
- この半年で、現場から出た意見が通った例が1つでもありますか
- ⚠ 通らなかったとき、「なぜ通らなかったか」は返っていますか(◎ 通らなくても、理由が返れば人は言い続けます)
- 会議で、いつも同じ人だけが話していませんか
- 新人や非常勤の方が、会議で発言したことがありますか
- ⚠ ミスをしたとき、その場で強く言われる場面がありませんか(見ている人も辞めます)
- 職員どうしの言い方について、決まりはありますか
- ⚠ ご利用者やご家族から強い言葉を受けたとき、1人で受けたままになっていませんか
- 相談する相手は、上司以外にもいますか
当てはまったら → ◎ 小さくていいので、現場から出た意見を1つ通してください。そして「あの意見でこう変えました」と、名前を出さずに全体に返してください。 ヒヤリハットが出てこないとき
⑤ この先の見通し
⚠ 3年目以降に辞める人は、たいてい「この先が見えない」と言います。
- 資格を取るとき、勤務の調整や費用の支えはありますか
- ⚠ 資格を取ったあと、何が変わりますか(◎ 変わらないなら、取る理由がありません)
- リーダーや相談員になる道は、示されていますか
- その人が「3年後に何をしている人か」を、話したことがありますか
- ⚠ 評価は、何を見ていますか(決まっていますか。人によって違いませんか)
- よくやっている人に、言葉で伝えていますか
- ⚠ 外国人職員に、在留資格ごとの この先の道が説明されていますか
- 辞めた人に、何が足りなかったかを聞けていますか
当てはまったら → ⚠ これは現場だけでは変えられません。◎ ただ「3年後の話を1回する」ことは、今日できます。 なぜ管理者は「記録がない」を問題にするのか
確かめたことを、記録に残す
◎ 残すのは「辞めた人の在職月数」だけで足ります。名前も理由も要りません。⚠ これを2年ぶん並べると、時期がかたまっているのが見えます。そこが、手をつける場所です。
⚠ 辞めた理由を、退職の面談だけで決めないでください。◎ まだ辞めていない人に、入って3か月・1年で聞くほうが、はるかに正確です。
変えるのは、1つか2つだけ
「職員の定着を図る」
「風通しのよい職場づくりに努める」
「働きやすい環境を整備する」
誰が、いつ、何をするのかがありません。来年も同じ言葉が並びます。
「新人の担当を1人決めた(〇月〇日から)」
「入って1か月目に15分話す場を作った(〇月〇日から)」
「移乗のやり方を1つに決めて紙にした(〇月〇日)」
「夜勤の回数を数えて、偏りを表にした(〇月)」
人と期日があります。
まとめ
- ⚠ 「給料」で止めると、そこから先がありません
- ◎ まず、辞めた人が「入って何か月目」だったかを数えてください
- ◎ 時期がかたまります。時期が違えば、見るところが違います
- ◎ 1か月以内なら受け入れ、3か月なら教え方、1年なら体、1〜3年なら空気、3年以上なら見通し
- ⚠ 「教える人が毎回違う」は、上位の理由です。1人に決めてください
- ◎ やり方が2つあるなら、どちらかに決めて紙に書く
- ◎ 現場から出た意見を、小さくていいので1つ通す。通らなくても理由を返す
- ⚠ 辞めた人ではなく、まだいる人に聞いてください
- ⚠ 勤務時間・休憩・賃金の決まりそのものは、労働基準監督署や社会保険労務士へ
やさしい 日本語(にほんご)
1 なにが おきますか
人(ひと)が すぐ やめます。
「お金(かね)が すくない から」と 言(い)われて、話(はなし)が おわります。
2 それでは、なにも かわりません
◎ まず、かぞえて ください。
やめた 人は、入(はい)って なんか月(げつ)目(め)でしたか。
◎ やめる 時期(じき)は、だいたい 同(おな)じ ところに あつまります。
3 時期(じき)で、見(み)る ところが ちがいます
- 1か月まで → むかえる 用意(ようい)(ロッカー・名札(なふだ)・その日の 担当(たんとう))
- 3か月ごろ → ⚠ おしえかた(おしえる 人が まいかい ちがう)
- 半年(はんとし)〜1年 → シフトと からだ(よるの しごと・こし)
- 1〜3年 → 言(い)える 空気(くうき)(言っても かわらない)
- 3年より あと → この先(さき)の みとおし(しかく・やくわり)
4 ⚠ おしえる 人は、1人(ひとり)に きめて ください
おしえる 人が まいかい ちがうと、やりかたも ちがいます。
⚠ 新(あたら)しい 人は、どちらが 正(ただ)しいか 聞(き)けません。
◎ やりかたが 2つ ある ときは、どちらかに きめて、紙(かみ)に 書(か)いて ください。
5 外国(がいこく)から 来(き)た 人に
◎ ことばで 説明(せつめい)する より、順番(じゅんばん)を 見(み)せて ください。
◎ 「3年後(ねんご)に なにが できる ように なるか」を、1回(かい)でも 話(はな)して ください。
6 きょう できる こと
- ◎ はじめの 日(ひ)の 担当(たんとう)を 1人 きめる
- ◎ 1か月目に、15分(ふん)だけ 話(はな)す
- ◎ げんばから 出(で)た いけんを、1つ とおす
※ この ページは 答(こた)えを 出(だ)す ための ものでは ありません。たしかめる 順番(じゅんばん)を つくる ための ものです。はたらく 時間(じかん)・やすみ・きゅうりょうの きまりは、労働基準監督署(ろうどう きじゅん かんとくしょ)や 社会保険労務士(しゃかい ほけん ろうむし)に 聞(き)いて ください。
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この記事の使い方
- まず、この2年で辞めた人の在職月数を並べてください
- いちばん多い時期の方向から、1つだけ手をつけます
- ①最初の3か月と②教え方は、お金をかけずに今日変えられます
- ③⑤は、管理者に上げる話です。数字にしてから上げてください