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どこから考えるか

むせが増えたとき、どこから考えるか

まず、これだけ

最近むせることが増えた。刻みにするべきか、とろみを足すべきか、受診をすすめるべきか。決めきれないまま、食事の時間が怖くなります。

とろみを足す前に、確かめることがあります。覚醒・姿勢・一口量・ペース・時間帯。◎ この5つのほうが先に効くことがあり、しかも今日変えられます。

そして、いちばん怖いのは「むせないこと」です。むせは、気管に入りかけたものを出そうとしている反応です。むせずに入っていく方のほうが、見つけにくい。

やさしい日本語で読むくわしく読む

最終更新:2026年9月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 形を変える前に、見るところがあります
  2. 5つの方向に分けて確かめる
  3. ① 用具・設定 — いすと食器
  4. ② その方の変化 — 覚醒と体調
  5. ③ 環境 — 時間帯と、まわりの音
  6. ④ 手順・見守り — 一口量とペース
  7. ⑤ 体制・人数・伝達
  8. 確かめたことを、記録に残す
  9. まとめ

形を変える前に、見るところがあります

むせが増えると、まず食事の形(きざみ・とろみ)を変えたくなります。⚠ でも、形を変えるのは、いちばん大きな変更です。食べる楽しみが減り、量が減り、体力が落ちて、かえってむせやすくなる——という流れが起きることがあります。

先に確かめるのは、この5つです。全部、今日変えられます。

これを確かめずに形だけ変えると、「とろみを足したのに、まだむせる」になります。

いちばん怖いのは「むせないこと」です。むせは、気管に入りかけたものを出そうとする反応です。⚠ その反応が弱くなると、むせずに入っていきます。

だから、むせの回数だけを見ないでください。食後の声のかすれ、微熱、食事に時間がかかる、食べたがらない——これらのほうが先に出ることがあります。詳しくは むせない誤嚥の見つけ方

5つの方向に分けて確かめる

方向むせでは、とくにここ
① 用具・設定いすの高さ・足の裏・テーブルの高さ・スプーンの大きさ・食器の位置
② その方の変化覚醒(起きているか)・薬の変更・口の中・体調・体重
③ 環境時間帯・まわりの音・声かけのタイミング・急がせる空気
④ 手順・見守り一口量・ペース・声かけ。介助者によって違っていないか
⑤ 体制・人数・伝達その時間の人数。とろみの濃さが統一されているか

① 用具・設定 — いすと食器

1用具・設定

姿勢は、いすとテーブルで決まります。今日変えられます。

当てはまったら →スプーンを小さくするだけで変わることがあります。リハビリ職・管理栄養士・言語聴覚士に相談してください。

② その方の変化 — 覚醒と体調

2その方の変化

「起きているか」が、いちばん大きい要素になることがあります。

当てはまったら → 看護師に伝えてください。⚠ むせの回数だけでなく、「食後の声」「食事にかかる時間」「熱」を添えてください。そのほうが判断してもらえます。

③ 環境 — 時間帯と、まわりの音

3環境

ここも今日変えられます。

当てはまったら →席の位置を変える/食事の開始時刻を30分ずらす。これだけで変わることがあります。

④ 手順・見守り — 一口量とペース

4手順・見守り

介助者によって違っていないか。ここを見ます。

当てはまったら →「一口量はスプーン半分」「のどが動いてから次」を1行決めて、申し送りに書いてください。統一が、いちばん効きます。  とろみの濃さを統一する

⑤ 体制・人数・伝達

5体制・人数・伝達

食事の時間は、いちばん人手が足りなくなる時間帯です。それも書いてください。

当てはまったら →これは現場だけでは変えられません。「その時間の介助対象者数」を数字で書いて、管理者に上げてください。

確かめたことを、記録に残す

むせの記録は「回数」だけにしないでください。何を食べているときか/その日の覚醒/姿勢/一口量/食後の声。⚠ この5つが並ぶと、専門職が判断できる材料になります。「むせあり」だけでは、誰も次に進めません。

変えるのは、1つか2つだけ

✕ こう書くと動かない

「食事介助時に注意する」
「ゆっくり食べていただく」
「経過観察」

誰が・どのくらい・何をするかが、ありません。

〇 こう書くと動く

「一口量をスプーン半分にした(〇月〇日から)」
「朝食を8時から8時30分に変えた(〇月〇日から)」
「食後30分は座位を保つ、と決めた」

量と時刻と期日があります。

まとめ

やさしい 日本語(にほんご)

1 なにが おきますか

最近(さいきん)、むせる ことが ふえました。
「きざみに する?」「とろみを ふやす?」——決(き)められません。

2 形(かたち)を 変(か)える 前(まえ)に

5つ、たしかめて ください。ぜんぶ きょう 変えられます。

起(お)きて いますか(ねむく ないですか)
あごが 上(うえ)を 向(む)いて いませんか
ひと口(くち)が 大(おお)きすぎませんか
のみこむ 前(まえ)に、つぎを 入(い)れて いませんか
朝(あさ)ですか、夕方(ゆうがた)ですか

朝に 多(おお)い とき——ねむいかも しれません。夜(よる)の くすりが のこって いることも あります。

3 いちばん こわい こと

「むせない」ことが、いちばん こわいです。

むせるのは、体(からだ)が 出(だ)そうと して いるから です。
その 力(ちから)が よわく なると、むせないで 入(はい)って いきます。

◎ だから むせの 回数(かいすう)だけを 見(み)ないで ください。
食(た)べた あとの 声(こえ)が がらがら
すこし 熱(ねつ)が ある
食べるのに 時間(じかん)が かかる

4 記録(きろく)に 書(か)く こと

⚠ 「むせ あり」だけでは、だれも 次(つぎ)に 進(すす)めません。

何(なに)を 食べて いた とき/起きて いたか/すわり方/ひと口の 量(りょう)/食べた あとの 声

※ この ページは 答(こた)えを 出(だ)す ための ものでは ありません。たしかめる 順番(じゅんばん)を つくる ための ものです。食事(しょくじ)の 形(かたち)を 決(き)めるのは、お医者(いしゃ)さん・看護師(かんごし)・言語聴覚士(げんごちょうかくし)・管理栄養士(かんりえいようし)です。

食事の記録の様式を配っています

回数だけでなく、覚醒・姿勢・一口量・食後の声を残せる形にしています。いずれも一例です。事業所に合わせて書き換えてお使いください。登録は要りません。

様式をダウンロード → 困りごとから調べる

この記事の使い方

  • ①から順に見てください。①用具と③環境は、今日変えられます
  • 形(きざみ・とろみ)を変えるのは、いちばん最後です
  • 変えるのは1つか2つだけ
  • 確かめて「当たらなかった」方向も、記録に残してください
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。ここに挙げた質問は、原因を特定するためのものではありません。確かめる順番を作るためのものです。 嚥下の評価、食事形態の決定、とろみの濃さの指示は、医師・看護師・言語聴覚士・管理栄養士が行います。介護職の役割は、気づいて報告し、決まった形を守るところまでです。 事業所によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。 実際の対応は、所属事業所の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。