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両側から

「わかりました」と言うのに、できていない

「わかりました」と言ったのに、できていなかった。
これは、うそをついたのではありません。その場で「分かりません」と言えなかったのです。

分からないのに頷いてしまう——これは事故の最大の入口です。 そして、本人の問題にすると、絶対に解決しません。

やさしい日本語で読むくわしく読む

最終更新:2026年9月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 何が起きているのか
  2. なぜ「わかりました」と言ってしまうのか — 6つの理由
  3. 外国人職員へ — 3つだけ
  4. 日本人職員へ — 確認のしかたを変える
  5. 日本人どうしでも起きています
  6. まとめ

何が起きているのか

頼んだ仕事が、頼んだとおりになっていない。聞くと「わかりましたと言ったのに」となる。 ここで「うそをつかれた」と受け取ると、間違えます。

「わかりました」は、「理解した」ではなく、「聞きました」の意味で使われていることがあります。

悪意はありません。その場で「分かりません」と言えなかった。それだけです。

忙しそうだった。何度も聞くと迷惑だと思った。分からないと言うと評価が下がると思った。 どこが分からないのか、自分でも分からなかった——理由はいくつもあります。 そしてどれも、叱っても消えない理由です。

なぜ「わかりました」と言ってしまうのか — 6つの理由

理由中で起きていること
聞き返すのが失礼だと思っている目上の人に聞き返すことを避ける文化圏があります
評価が下がると思っている「質問が多い=能力が低い」と考える職場を経験している場合があります
相手が忙しそう実際に忙しい。声をかけるタイミングが見つからない
半分は分かっている7割分かると「分かった」と感じます。残り3割に事故が潜みます
どこが分からないか分からない知らない言葉がひとつあると、文全体が分からなくなります
前に聞いたことがある「前も聞いたよね」と言われた経験があると、二度と聞きません

6つに共通するのは、「本人の能力」ではないことです。 どれも「言える空気があるか」の問題です。だから、変えられるのは受け入れる側です。

外国人職員へ — 3つだけ

そのまま使える言い方は、日本の介護現場の用語(対訳表)のフレーズ集にあります。 「分かりません。教えてください」「紙に書いてください」「やって見せてください」——全部、言ってよい言葉です。

日本人職員へ — 確認のしかたを変える

覚えることは3つです。

✕ 伝わらない確認

「分かった?」
「大丈夫?」
「できる?」
「質問ある?」

→ 全部「はい」と答えられます。何も確認できていません。

〇 伝わる確認

「今から何をするか、教えて」
「順番を言ってみて」
「何時までにやる?」
「ひとりでやる? 誰か呼ぶ?」

→ 答えられなければ、伝わっていないと分かります。

「分かりません」と言える職員は、危険な職員ではありません。いちばん安全な職員です。
分からないまま黙って進む人が、事故を起こします。その一言が出る空気を作るのは、日本語が母語である側の仕事です。

日本人どうしでも起きています

この問題は、外国人職員に限った話ではありません。 新人が先輩に「分かりません」と言えないのは、日本人どうしでも同じです。 言語の問題として片づけると、本質を見失います。

同じ構図は、ヒヤリハットが出てこない理由にもあります。 書かないのは日本語力の問題ではなく、「怒られると思っている」から——受け入れる側が変えられる部分が、いちばん大きいのです。

まとめ

やさしい 日本語(にほんご)

1 なにが おきますか

「わかりましたか?」と 聞(き)かれて、「わかりました」と 答(こた)えました。
でも、あとで できて いませんでした。
先輩(せんぱい)が こまった 顔(かお)を します。

2 これは うそでは ありません

◎ あなたが わるいのでは ありません。
「わかりません」と 言(い)いにくい 空気(くうき)が ある だけです。
⚠ 日本人(にほんじん)どうしでも 同(おな)じ ことが おきて います。

3 いちばん つよい 方法(ほうほう)= 復唱(ふくしょう)

◎ 聞(き)いた ことを、そのまま 言(い)い返(かえ)します。

「〇〇を、10時までに、2人(ふたり)で やる。これで いいですか?」

◎ これだけで、まちがいが その場(ば)で 見(み)つかります。
「わかりました」より、ずっと あんぜんです。

4 「わかりません」は いつ 言(い)っても いいです

5 日本人(にほんじん)の 職員(しょくいん)へ

⚠ 「わかった?」と 聞(き)かないで ください。「はい」しか 返(かえ)ってきません。
◎ 「いまから 何(なに)を しますか?」と 聞いて ください。
⚠ 「前(まえ)も 言(い)ったよね」は、チームの 禁句(きんく)に して ください。

※ この ページは 日本(にほん)の 法律(ほうりつ)と、現場(げんば)の きまりに ついて 書(か)いて います。あなたの 事業所(じぎょうしょ)の きまりも、かならず 見(み)て ください。
ふりがなと やさしい 日本語は、この 研究所(けんきゅうじょ)が つけた ものです。まちがいが あれば、教(おし)えて ください。

確認の言い方を、施設でそろえませんか

「今から何をする?」「順番を言ってみて」——伝わる確認の言い方は、チームでそろえると効きます。用語対訳のフレーズ集は印刷して詰所に貼ってお使いください。

用語対訳を見る → 困りごとから調べる

根拠にした資料

個人の経験や、特定の施設の事例ではありません。次の一次情報と、当研究所が編集している実務マニュアルをもとに整理しています。
  • 『介護事故防止 実務マニュアル』第10章 日本の介護現場で特に注意すること(④「わかりました」問題/教え方の4ステップ)全文公開しています
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。 施設によって、職員によって、正しい運用は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 実際の対応は、所属施設の規程および自治体の定めに従ってください。制度・法令は改正されることがあります(法令の記載は2026年9月時点の確認です)。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。