介助のあと、ベッドを下げ忘れていませんか
オムツ交換や清拭のとき、職員は腰を守るためにベッドを上げます。 それ自体は、正しいことです。
問題は、そのまま戻し忘れること。 次にご本人が動いたとき、高いところから落ちます。
転落対策のなかで、いちばん忘れられて、いちばん効く1つです。
高さは、けがの重さを直接決めます
転落は、高いところから低いところへ落ちることです。落ちる高さがあるぶん、けがが重くなります。
ベッドの高さ設定は、そのまま落ちる高さです。数字で変えられる、数少ないもののひとつです。
「上げたら戻す」を、声に出す習慣にしてください。
「ベッド、下げます」
声に出すことには、2つの意味があります。
ひとつは、自分が忘れないため。もうひとつは、まわりの職員が気づけるためです。
2人介助のとき、片方が言えば、もう片方が確認できます。
ふだんの高さの目安
| 場面 | 高さの目安(一例) |
|---|---|
| ふだん | 足の裏が床につく高さ。端に座ったときに、かかとまで床に届くか |
| 介助中 | 職員の腰を守れる高さ。上げてかまいません |
| 介助のあと | 必ず低い位置に戻す。ここがいちばん忘れられます |
| 夜間 | さらに低くする。夜間だけ最低位にする施設もあります |
| 転落のリスクが高い方 | 低床ベッドを検討する(→ 低床ベッドと衝撃吸収マット) |
数値そのものは機種とマットレスの厚さで変わります。cmで覚えるより、「足の裏が床につくか」で見てください。
下げ忘れが起きやすい場面
- オムツ交換のあと(いちばん多い)
- 清拭・更衣のあと
- 体位変換のあと
- 途中でナースコールが鳴って、そのまま部屋を出たとき
- 2人介助で、どちらが下げるか決まっていなかったとき
- 夜勤で、次の方の居室へ急いだとき
「気をつける」では防げません。手順にしてください。
途中で呼ばれても、その場を離れる前に、柵を戻してベッドを下げる。
どんなに短い時間でも同じです。1分あれば落ちます。
離れる瞬間を、手順で守る
転落の多くは、職員が「ちょっとだけ」離れた瞬間に起きています。オムツを取りに行く、タオルを取りに行く、 ナースコールに出る、ほかの職員に呼ばれる、ゴミを捨てに行く。
対策は1つです。「始める前に、全部そろえる」。
- オムツ・清拭タオル・着替え・ゴミ袋・保湿剤を、先に持ってくる
- 途中で足りなくなったら、その場から動かずに人を呼ぶ
- どうしても離れるなら、柵を戻し、ベッドを下げてから
- 居室に持ち込む物のチェック表を作る
体位変換やオムツ交換では、反対側の柵を必ず上げてから体を向けます。 そして、ベッドを低くしてから作業を始めると、途中で離れることになっても被害が小さくなります。 ひとりで難しければ2人で。
Hãy chuẩn bị đầy đủ TRƯỚC khi bắt đầu. Đừng rời khỏi người bệnh.記録には、高さを必ず書く
転落を発見したとき、ベッドの高さと柵の状態を、記録する前に戻さないでください。
あわてて元に戻してしまうと、「ベッドが高いままだった」という事実が消えます。そして同じことがくり返されます。
「3:15 ベッドより転落。外傷なし。経過観察。」
→ 高さも柵の状態も床材もありません。次に何を変えればいいのかが分かりません。
「ベッド高さ設定『中』(約45cm)、柵3本すべて上がっていた。床はクッションフロア、マットなし。」
→ 次の対策が、その場で決まります。
これは誰かを責めるための記録ではありません。 「高さが原因だった」と分かれば、施設として設定基準を作れます。それが次の人を守ります。 書き分けについては 「転倒」と「発見」の書き分け もあわせてどうぞ。
数えると、基準が決まります
月1回、「ベッドの高さ設定 × 柵の本数」で数えてみてください。この2つで数えると、施設の設定基準がそのまま決まります。
| こうなっていたら | 次の1か月でやること(一例) |
|---|---|
| 高さ「中」「高い」で多い | 施設として「ふだんは最低位」を基準にする。介助後に下げる手順を声出し確認に |
| 柵3〜4本のときに多い | 柵が原因です。柵を減らして、ベッドを下げ、マットを敷く |
| 「不明・記録なし」が多い | 記録様式の問題です。事故報告書に「高さ」「柵の本数」「床材」の欄を作る |
| 深夜〜早朝に集中 | 夜間の高さ設定と訪室。そして夜勤の人数の議題になります |
集計表は 様式のダウンロード から印刷して使えます。
まとめ
- 介助でベッドを上げるのは正しい。戻し忘れが問題
- ふだんは足の裏が床につく高さ。夜間はさらに低く
- 「ベッド、下げます」と声に出す
- 離れる前に、柵を戻してベッドを下げる。1分あれば落ちます
- 始める前に、必要な物を全部そろえる
- 記録する前に、高さと柵を元に戻さない
あわせて読む
根拠にした資料
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
- 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」および身体拘束にあたる具体的な行為(11項目)
- 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
- 消費者庁・独立行政法人国民生活センター 高齢者のベッドまわりの事故に関する注意喚起
- 日本工業規格(JIS)在宅用電動介護用ベッドおよびサイドレールのすき間に関する安全基準
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。