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転落

低床ベッドと衝撃吸収マット — 拘束せずにけがを軽くする

転落をゼロにする方法は、ありません。

けれど、けがを軽くする方法はあります。しかも、身体拘束にならない方法です。

低床ベッド、衝撃吸収マット、離床センサー、柵カバー。 それぞれ何ができて、何に気をつけるかを並べました。

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 「防ぐ」ではなく「軽くする」へ
  2. 用具べつ — できることと、気をつけること
  3. 衝撃吸収マットで、よくある失敗
  4. 離床センサーは「人数とセット」でしか効きません
  5. 組み合わせの例
  6. まとめ

「防ぐ」ではなく「軽くする」へ

柵で囲って落ちないようにする、という考え方は、 けがを重くしますし、 身体拘束にあたる場合があります。

かわりに、落ちる高さを下げる・落ちたときの衝撃を減らす・早く気づくの3方向で考えます。

落ちることを完全には防げなくても、けがを軽くすることはできます。

高さと床材は、数字と物で変えられます。

用具べつ — できることと、気をつけること

用具・方法できること気をつけること
低床ベッド 落ちる高さを下げます。いちばん確実で、拘束になりません 介助のときは上げてよい。終わったら必ず戻す
起き上がるとき、足底が床につくか
衝撃吸収マット 落ちたときの衝撃を減らします 厚すぎると、立ったときにふらつきます
めくれ・ずれを毎日見る
車いすが乗り上げないか
離床センサー 早く気づけます。防ぐのではなく、見つける道具です 位置と反応を毎晩確認
鳴っても行けなければ意味がありません。人数とセットで考える
ご本人・ご家族への説明
柵カバー・すき間パッド はさまれと打撲を防ぎます ずれていないか毎日確認
タオル巻きはずれるので固定式を
メーカーの専用品を販売店に聞く
柵そのものの見直し 高さ・長さ・形が合っているものに替えます マットレスを替えたら、柵も見直す
ベッドと同じメーカーの純正品か
がたつき・変形がないか(月1回)
ベッドの位置 壁側を頭側にすると、降りる方向を1つにできます 壁でふさぐのは拘束になりえます。ケアプランと相談
本人が降りたい側を尊重する
マットレスの選択 端が硬いものは、端座位が安定します やわらかすぎると端から滑ります
エアマットは端が沈みます

✕ 4点柵 身体拘束にあたる場合があります。そのうえ、けがも重くなります。
✕ ベルト・つなぎ服 身体拘束です。抜け出そうとして、かえって危険な落ち方をすることがあります。

衝撃吸収マットで、よくある失敗

効く道具ですが、置きっぱなしにすると別のリスクを作ります。

「マットがあった件数」を月1回数えてください。 マットなしのときにけがが重い、という結果が出れば、それがそのまま予算要求の根拠になります。 集計表は 様式のダウンロード から使えます。

離床センサーは「人数とセット」でしか効きません

センサーは、落ちるのを防ぐ道具ではありません。落ちる前に気づくための道具です。 だから、鳴ったときに行ける人がいなければ、意味がありません。

「センサーを入れたのに減らない」というときは、センサーの問題ではなく、 その時間帯に何人を見ているかの問題であることがあります。 それはカンファレンスで言葉にしてよいことです。

センサーの位置と反応は、毎晩確認してください。マットレスを替えた、ベッドの向きを変えた、 それだけで反応しなくなることがあります。
ご本人・ご家族への説明も忘れずに。見張られていると受け取られると、関係が壊れます。

組み合わせの例

その方の状態(一例)組み合わせの一例
端座位はとれるが、立つとふらつく 足底が床につく高さ+柵1〜2本(つかまるため)+ベッド脇にすべり止めマット
夜間、たびたび降りようとする 夜間は最低位+衝撃吸収マット+離床センサー+降りようとする理由の解決
寝返りで柵を乗り越えたことがある 低床ベッド+マット+柵の高さの見直し(マットレスの厚さとあわせて)
やせていて、すき間に入り込みやすい すき間パッド(固定式)+柵とマットレスの組み合わせ見直し(→ 柵のすき間

これはあくまで一例です。実際の組み合わせは、その方の状態・ベッドの機種・施設の方針で変わります。 福祉用具の相談員や販売店に、実物を見てもらうのがいちばん早いことも多くあります。

まとめ

用具の適否は、その方の身体状況と機種によって変わります。 導入・変更の前に、看護師・ケアマネジャー・福祉用具専門相談員にご相談ください。

この方は、どこに気をつける?

利用者さんの状態を選ぶと、注意する場面と部位が出ます。印刷して、カンファレンスの資料に使えます。

困りごとから調べる → 様式をダウンロード

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故の発生又はその再発を防止するための指針」に関する基準・通知
  • 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」および身体拘束にあたる具体的な行為(11項目)
  • 厚生労働省「介護保険施設等における事故報告様式の統一化について」(令和3年3月19日 老高発0319第1号ほか)
  • 消費者庁・独立行政法人国民生活センター 高齢者のベッドまわりの事故に関する注意喚起
  • 日本工業規格(JIS)在宅用電動介護用ベッドおよびサイドレールのすき間に関する安全基準
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 手順・寸法・時間は、すべて目安一例です。 判断に迷うこと、いつもと違うと感じたことは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。