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内出血・あざ

「虐待では」と疑われないための、あざの記録

あざの発見が続くと、「そのうち虐待を疑われるのではないか」と、こわくなります。
まじめに介助している人ほど、そう感じます。

先に、結論を書きます。疑いを晴らすのは、そのときの説明ではありません。 あざが出てから何を話しても、比べるものがなければ、確かめようがないからです。

疑いを晴らすのは、日ごろの記録です。 毎回おなじ形で残っている記録だけが、あとから事実を確かめる材料になります。

そのうえで、わき・上うで・首などの「赤ゾーン」は、自分で判断せず、先に看護師へ。これだけは変えないでください。

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 疑いを晴らすのは、そのときの説明ではありません
  2. 「確認が必要なあざ」は、場所と形で決まります
  3. 赤ゾーンの部位は、先に看護師へ
  4. 疑われない記録は、事実と推測が分かれています
  5. 犯人をさがさないまま、事実を確かめる
  6. まとめ

疑いを晴らすのは、そのときの説明ではありません

あざが見つかったあとで、どれだけ丁寧に説明しても、言葉だけでは確かめようがありません。 聞く側に残るのは「説明はされたが、確認はできなかった」という感触です。

確かめられるのは、記録が前からある場合だけです。 いつ・どこに・どのくらいの大きさで・何色のあざがあったか。前回はどうだったか。 それが同じ形式で並んでいれば、今回のあざが何日前のものかまで読み取れます。

その日の説明ではなく、3か月前から積み上がった記録が、現場を守ります。

記録は、あとから足せません。だからこそ、ふだんの1件が効いてきます。

もうひとつ。高齢の方は、強くぶつけていなくてもあざができます。 加齢で皮ふと血管を支える組織が弱くなるためで、前うでや手の甲によく見られます。 血をさらさらにする薬やステロイドを使っている方は、さらに出やすくなります。

「原因が分からないあざがある」ことは、めずらしくありません。 分からないこと自体が問題なのではなく、分からないまま記録されていないことが問題になります。
原因の探し方は「原因のわからないあざが増えるとき、まず見る5つのこと」にまとめています。

「確認が必要なあざ」は、場所と形で決まります

すべてのあざが同じ扱いになるわけではありません。 下に当てはまるものは、誰かを疑うためではなく、事実を確かめるために、必ず上へ上げるあざとされています。

見るところ「確認が必要」とされるもの
場所 顔・耳・首・わき・おなか・内もも・背中・おしり・手首・足首
ふつうは自分でぶつけない場所です
指の形・手のひらの形・棒状・バックルやひもの形など、物の形をしている
形は、当たった物の形になります。ここが最大の手がかりです
左右 両うで・両足首など、左右対称に同じ形で出ている
時期 ひとつの部位に色のちがうあざが混ざっている(=くり返している)
説明 説明とあざの形が合わない/説明が人によって違う
ようす 特定の職員が近づくとおびえる、体をこわばらせる、急に無口になる

この表は、職員をふるいにかけるための表ではありません。 当てはまったら上へ上げる、というだけの表です。
判断するのは、見つけた人ではありません。確かめる作業も、見つけた人の仕事ではありません。

赤ゾーンの部位は、先に看護師へ

体の場所は、3つに分けて考えると迷いません。 場所が決まれば、その場でやることも決まります。

みどり よくある きいろ ぶつけたかも あか すぐ報告 前うで・手の甲 記録する。保湿する すね・ひざ・ひじ・かかと・こし その場で現場を見て直す。記録して報告 顔・耳・首・わき・上うで・おなか・背中・おしり・内もも ひとりで判断しない。先に看護師・リーダーへつなぐ
図:部位べつの考え方。赤は「ふつうは自分ではぶつけない場所」です

赤ゾーンの部位は、自分で判断しないでください。
移乗のときに支えた場所だと分かっていても、先に看護師へつなぎます。 これは誰かを疑うためではなく、その場で上げた記録が、あとで現場を守るからです。

「たぶん◯◯だと思う」と書いて自分で終わらせない。ここだけは、例外を作らないでください。 Gọi ngay tổ trưởng. Không tự mình quyết định.

わき・上うでの「丸い点が並んだあざ」

わきや上うでを指でつかむと、点に力がかかり、丸いあざが残ります。 これは赤ゾーンとして扱われ、虐待を疑われる形でもあります。急いでいるときほど出ます。

✕ 指でつかむ

わきの下に手を入れて引き上げる。手首をつかんで引く。そで口を持って腕を通す。

力がに集まり、丸い跡が残ります。

〇 手のひら全体で支える

手のひら全体()で支える。腕は引かず、自分の体を近づける。 スライディングシート・ボード・リフトを使う。

人手が足りないときは、待たずに応援を呼ぶ。

「急いでいたから」は、いちばん多い背景です。 人手が足りない時間帯にあざが増えるなら、それは個人の技術の話ではなく、人員配置の話として扱ってください。

疑われない記録は、事実と推測が分かれています

記録は、この順番で書きます。毎回おなじ順番であることが、いちばん効きます。 順番が同じなら、前の記録と横に並べて比べられるからです。

項目書きかたの例
① いつ8月25日 14:20 入浴介助中に発見
② どこ右下腿の前面(ボディマップに●を打つ)
③ 大きさ3cm × 2cm(指の幅で比べてよい)
④ 色青 → 2〜5日前にできたと推定
⑤ 痛み・腫れ触れると「痛い」と発語あり/腫れなし/動きの制限なし
⑥ 本人の言葉「わからない」(言葉どおりに書く。要約しない
⑦ 前回の確認8月22日の入浴時にはなし
⑧ やったことリーダーへ報告/看護師へ連絡/フットレストにカバー設置

色を書いておくと、いつできたかを幅で言えます。 赤むらさきは0〜2日、青・黒っぽいものは2〜5日、緑は5〜7日、黄色は7〜10日、茶色は10日〜消えるころ。 ひとつのあざに色が混ざっているときは、時期のちがうあざが重なっているので、必ず報告してください。

✕ よくない記録

「右足に内出血あり。移乗時にぶつけたと思われる。経過観察。」

大きさも色もない。推測を事実のように書いている。これでは比べられず、あとから確かめる材料になりません。

〇 よい記録

「14:20 入浴介助中、右下腿前面に3×2cmの青色内出血を発見。触れると『痛い』と発語。腫れ・熱感なし。 本人に確認するも『わからない』。原因は特定できず。8/22入浴時にはなし。リーダーへ報告、フットレストにカバーを設置。8/26に再確認予定。」

「原因は特定できず」と正直に書くのが、いちばん強い記録です。 分からないから書かない、が最も危ない。書かなかった期間は、あとから復元できません。 Nếu không rõ nguyên nhân, hãy ghi đúng là "không rõ nguyên nhân".

主語を書かない。個人名を出さない

記録に残すのは、誰がやったかではなく、何があったかです。 見ていない出来事に主語を立てると、それは推測になります。推測は、書いた人の意図と関係なく、あとで人を指します。

✕ 主語を立てている

「移乗の際に強くつかんだためと思われる」
「◯◯が介助した後に発見」

見ていないことを、人と結びつけて書いています。

〇 事実だけ

「左上うで内側に、直径1cmほどの点状のあざが4か所。発生の瞬間は目撃していない。看護師へ報告。」

形と部位が残るので、あとから確かめられます。

いっぽうで、報告した相手と時刻は、事実なので書きます。 「何時に、誰へ、何を伝えたか」は、推測ではなく起きたことです。ここを省くと、報告した事実そのものが残りません。

推測を事実として書くと、記録全体の信頼が落ちます。 1か所でも推測が混じっていると、正しく書いた部分まで「そう思って書いたのでは」と読まれます。
事実の欄と、気づいたことの欄を、はっきり分けてください。

ご家族へは、あざが出る前に伝えておく

あざが出てから説明すると、どんなに正しくても言い訳に聞こえます。 入所のときに先に伝えておくのが、いちばん確実です。

「ご高齢になると皮ふと血管を支える組織が弱くなり、強くぶつけていなくても内出血ができることがあります。 特に前うでや手の甲によく見られます。お薬によってもできやすくなります。
私たちは、見つけたあざをすべて記録し、場所を図に残し、ご報告します。 原因が分かるものは対策をとり、分からないものは『分からない』とお伝えします。隠すことはいたしません。

実際に見つかったときは、その日のうちに。翌日以降になるほど不信につながります。 伝えるのは原則リーダー以上で、発見者ひとりに背負わせません。 分からないことは「現時点では原因が分かっておりません」と正確に伝え、報告した時刻・相手・内容・相手の反応まで記録に残します。

犯人をさがさないまま、事実を確かめる

あざが続くと、どうしても「誰の勤務のときか」を見たくなります。 しかしそこから始めると、報告そのものが止まります。

報告が減ることのほうが、あざが増えることより危険です。

見つからなくなったのではなく、見えなくなっただけだからです。

月に1回、集計します。見るのは部位と件数だけです。 1件ずつでは何も分かりませんが、1か月分を部位べつに数えると、対策のほうから見えてきます。

多かった部位次の1か月でやること
前うで・手の甲防ぎきれない種類です。保湿とアームカバー、そしてご家族への説明に力を入れる。ここを事故として職員を追及しない
すね・ひざ設備の問題。フットレスト・ベッド柵・家具の角を全台点検してカバーを付ける
ひじ・かた移乗の方法を見直す。スライディングシートの導入、2人介助の基準づくり
赤ゾーンが出た件数に関係なく1件ずつ個別に検討。時間帯・状況を確認する
特定の時間帯に集中その時間の人員配置と業務量を見る。急いでいる時間帯にあざは増えます
報告数が急に減った危険なサインです。あざが減ったのではなく、報告しにくくなった可能性を先に疑う

カンファレンスは30分。最初の5分で集計表を見ますが、ここで「誰がやったか」は話しません。 次の10分で、いちばん多い部位をひとつ選び、どこで起きていそうかを全員で出す。 次の10分で対策をひとつだけ決め、最後の5分で先月の対策ができたかを見ます。

✕ 言ってはいけない
  • 「なんで気づかなかったの」
  • 「ちゃんと見てって言ったよね」
  • 「誰が担当だった?」
  • 「また増えてる。どうなってるの」
  • 「これくらい常識でしょう」
〇 言ってほしい
  • 「報告してくれて、ありがとう」
  • 「見つけてくれたから対策できます」
  • 「分からないままでいいので、出してください」
  • 「どこが危ないと思いますか」
  • 「これは防げないほうのあざですね」

報告がたくさん上がるのは、報告できる職場だという証拠です。 「なんで気づかなかったの」と言われた人は、次から報告しなくなります。そうなると、本当に危険なあざを見つけられなくなります。 Cảm ơn bạn đã báo cáo.

それでも虐待が疑われるときは、通報してよい

ここまでと矛盾するようですが、分けて考えてください。 犯人さがしをしないことと、疑いを黙っていることは、別のことです。

高齢者虐待防止法では、「虐待を受けたと思われる」高齢者を見つけたときは、市町村に通報すると定められています。 そして、「疑い」の段階で通報してよいとされています。

通報について、決まっていること

あなたが調べる必要はありません。判断するのも、あなたではありません。 記録に残し、上へ上げ、それでも動かないときに窓口がある——その順番だけ知っておけば十分です。 Chỉ cần "nghi ngờ" là có thể trình báo. Người trình báo được pháp luật bảo vệ, không bị sa thải hay đối xử bất lợi. Bạn không cần phải tự điều tra.

通報のしかたは「虐待を見たとき — 疑いだけで通報していい」に、 もとになった章の全文は「第10章 全文公開」に置いています。

まとめ

この方は、どこに気をつける?

利用者さんの状態を選ぶと、注意する部位が体の図で出ます。印刷して、カンファレンスの資料に使えます。

あざのリスクを調べる → ボディマップをダウンロード

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」および関連通知
  • 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」
  • 医療・介護ベッド安全普及協議会「医療・高齢者施設におけるベッドの安全な使い方」
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 皮ふの異常、押しても消えない赤み、急に広がるあざ、痛みを伴うものは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。